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水の世紀を生きる<第5部>
「水全般についていえば、水をWTO(世界貿易機関)の自由化の枠組みに入れることへの反対を訴えたい。各国で水道事業を経営する多国籍企業にとってはビックビジネスになるのだろうが、それによって一般の人々が恩恵を受けることはない。利益を上げることが目的である限り、貧しい人たちが水にアクセスすることは難しくなる」 「そしてダムの問題だ。ダムは住民の生活を壊し、環境にも悪影響を与えるが、住民にとっての利益はない。先住民族にとっては土地と資源、そして文化すら取り上げられてしまう。ダム建設は民族抹消政策なのだ。世界のどんな地域であっても、これ以上ダムは必要ない」 −マニラで進められている水道の民営化についてどう評価しているか。 「反対している。民営化はアジア開発銀行などの提案だったが、水道料金が急に上がり、貧困層は水を得られなくなった。結局、お金持ちや企業が豊富に水を使える結果になった。政府は他の都市でも民営化を進めようとしているが、反対運動が広がっている」 「水の自由化でいえば、フィリピンでは水利権の問題も出てきている。金などの鉱山企業が水利権を売買できるような法整備を求めており、金銭によって水利権を得ようとしている。そうなれば、山に住む人々を苦しめ、農民から水を奪うことになる。水の汚染も深刻だ。政府は事実を認めていないが、鉱山企業は猛毒のシアン化合物が含まれている排水をそのまま川に流している」 −世界銀行などは「21世紀の水危機」の解決にはばく大な資金が必要で、民間資金の導入が不可欠としているが。 「それはおかしい。世銀などの援助機関や多国籍企業は、自分たちのやっていることを正当化するため水危機を持ち出している。人々から水資源を奪い取り、自分のものにしようとしている。一般の人々が水をコントロールすることこそ必要だ」 −日本の市民へのメッセージを。 「日本のODA(政府開発援助)などの資金が、どこでどのように使われているのかぜひ知ってほしい。日本政府に説明するよう働き掛けてほしい。フィリピンをはじめ途上国では、日本のODAはノーリスクで日本の企業を潤すために利用されている。それだけでなく、環境を破壊し、人の尊厳を踏みにじっている」 「私たちはODAそのものに反対しているわけではない。しかし、現在のODAは貧困を増やしてる。企業のニーズではなく住民のニーズに応え、住民と一緒にやっていくプロジェクトの資金にしてほしい」 (聞き手 社会報道部 稲庭篤) |