京都新聞社TOP

2007年夏、四国一周クルージング

 波のまにまに「人情」があった。港、港で美味い魚が待っていた。海はヨ~、海はヨ~。ちょっと演歌調になったが、2007年8月に、全員60歳代の4人が、ヨットで四国一周クルージングに出かけた。

■人生の先輩順でクルーの紹介から

西村知明さん(68)
 同志社大学ヨット部OB・OG組織の「鯨会」会長。制御機器トップメーカー「オムロン」(京都市)元専務。
 学生時代はインカレ連覇の名選手。このホームページ、「西村さんのボート旅」の主人公。

東 功さん(64)
 同志社大学ヨット部OB。
 ヤマハでヨット販売などに携わったベテランセーラー。

明致親吾さん(62)
 オムロンの現取締役副社長。会社で西村さんの後輩。
 ヨット経験はないが、最高の夏のバカンスをニコニコ楽しむ。

葛野敬造さん(61)
 今回のクルージングのヨットオーナー。元オムロン執行役員。
 会社で西村さんの後輩。ヨット経験はなかったが、昨年、役員退任後にクルーザーを購入。
 研究熱心で、操船の腕をメキメキ上げている。

~クルーザーの紹介~
 ドイツ製の33フィート。「Arriba y Arriba(アリバ イ アリバ)」。エンジンは日本のヤンマー製。
 船齢は10年近く、艇長の割には横幅が狭く、レーサーのようなスマートな船体。


 出航前の前夜祭は8月11日(土)に、新西宮ヨットハーバーで開かれた。家族や友人らが集まり、近くの芦屋浜の花火大会を見物しながら、飲んで食べた。お開きの後、クルー4人は艇内で宿泊。早くも夢は大海原へ。

 20日に帰港するまでの航海日誌は以下の通りだが、瀬戸内海の緑の海から、四国沖のコバルトブルーの海に出たときの美しさは格別だった。自然の美しさはクルージングの醍醐味。それにも増して、行く先々で出会った人の親切は心を揺さぶってくれた。

 毎日、さまざまな人の好意でシャワーを使えたことは、想定外の大きな幸せ。航海中、デッキで2回食べた昼のソーメンの味は語るまい。

 ただ、スタート後の2日間を除いて風が上がらず、セールを張る妙味にやや欠けたのは残念。しかし、時化に苦しむことなく、無事に帰ってきたのだから…。「四国一周クルージング」の楽しさを知った今、もっと時間をかけて、ゆっくりと航海してみたい~。

左:出航前夜、準備に忙しい西村さん(右)と明致さん(左)、右:前夜祭のパーティー
左:出航前夜、準備に忙しい西村さん(右)と明致さん(左)
右:前夜祭のパーティー

【航海日誌の概略】(距離1マイル・海里=約1・8キロメートル)(時速1ノット=約1・8キロ)

【8月12日(日)】(走行距離=63マイル)
 午前5時55分 新西宮ヨットハーバー(兵庫県西宮市)出航
 午後4時25分 牛窓マリーナ(岡山県)入港
 クルー全員、前夜はヨット内で寝た。明石海峡の潮流に乗って進めるように考えて出航。機帆走で対水速度11・3ノットを記録。
 食事はマリーナから歩いて10分ほどの寿司屋さんへ。2500円の定食はお得感があった。艇内泊。

【13日(月)】(走行距離=62マイル)
 午前6時15分 牛窓を出航
 午後4時10分 新居浜マリーナ(愛媛県)入港
 瞬間風速27ノットで帆走。対地速度10ノット近く出る。9時30分、瀬戸大橋を通過。本州から四国に渡り、新居浜マリーナへ。冷水シャワーと、洗濯機とも無料。夕食は桟橋で豪華な焼き肉パーティー。艇内泊。

【14日(火)】(走行距離=41マイル)
 午前8時15分 新居浜を出航
 午後4時35分 中島(愛媛県)の長師(ながし)港に入港
 朝食はご飯を炊いた。12時40分、来島大橋通過。風少なく、酷暑。中島は人口4000人ほど。トライアスロン競技の島としても有名。中島観光協会の中島さん所有の浮き桟橋に無料で係留させてもらった。中島さん経営の民宿兼食堂で入浴。食事は特別に頼み、アジの刺身、エビ唐揚げ2種、巨大岩ガキ、サザエ、タコと白身魚の天ぷら、炊き込みご飯で3000円。艇内泊。

左:出航後、明石大橋へ向かう、右:新居浜にて(左から)西村さん、葛野さん、東さん
左:出航後、明石大橋へ向かう
右:新居浜にて(左から)西村さん、葛野さん、東さん

【15日(水)】(走行距離=69マイル)
 午前4時50分 中島を出航
 午後4時30分 日振島(ひぶり、愛媛県宇和島市)の喜路港に入港
 明致氏が日程の都合で下船。これからクルーは3人。午前5時45分、ご来光。午後1時10分、佐田岬を通過。日振島到着の1時間ほど前から風が上がり帆走。お盆で休業中の民宿、中野さん宅でシャワーを使わせてもらい、お礼には清酒1本。夕食はヨットのデッキでカレー。陸(おか)では盆踊り。地元の人たちが、愛艇を次々に訪れ、対応に大わらわ。歓迎花火にビックリした。艇内泊。

【16日(木)】(走行距離=60マイル)
 午前6時0分 日振島を出航
 午後3時0分 土佐清水港(高知県)に入港
 針路を南へ。セール上げるが風は上がらず、機走。到着前に漁港に連絡、一番奥の公共岸壁へ。盆休みだが、給油してもらう。旅館「南粋」に宿泊。入浴。夕食は、マンボウの天ぷら、とこぶし、ブリの刺身、カツオのたたきなど。酒込みで7100円。近所のスーパーで買い物もできた。

【17日(金)】(走行距離=59マイル)
 午前5時50分 土佐清水を出航
 午後4時30分 宇佐港(高知県)に入港
 氷10キロを200円で買って出航。午前7時15分、足摺岬の先端を回る。水面下の流木に当たるが、エンジン、船体など異常なし。入港時には、辻さん(土佐電子社長)所有の「土佐りゅうじん号」が出迎えてくれた。加えて、オムロンを早期退職して地元に帰った今西さん(代理店の港産業)、植田さん(高知ヨットクラブ会長)、門田さん(ガソリンスタンド経営)から大歓迎を受ける。オムロン元執行役員の濱口さん(高知県観光特使)も東京からわざわざ来てくれた。水を補給。
 植田さんの兄さん(元伊藤忠商事常務)の別荘に招待され、シャワー。門田さんが用意してくれたアジの刺身、濱口さんが熱海から持ってきた特製ビールで疲れを癒す。さらに、近所の小料理屋さんへ。我々もシャンペン1本、清酒2本を持ち込んだ。カツオの刺身が絶品だった。辻さん宅で、もう一杯、植田さん宅で、またまたもう一杯。植田さん宅で宿泊。

左:宇佐での大歓迎、右:手作りカヌーで見送ってくれた濱口さんと今西さん。後ろのヨットでは、オーナーの辻さんと、高知ヨットクラブの植田会長が安全航海を祈ってくれた
左:宇佐での大歓迎
右:手作りカヌーで見送ってくれた濱口さんと今西さん。
後ろのヨットでは、オーナーの辻さんと、高知ヨットクラブの植田会長が安全航海を祈ってくれた

【18日(土)】(走行距離=65マイル)
 午前5時50分 宇佐港を出港
 午後5時25分 甲浦(かんのうら、高知県)に入港
 早朝にもかかわらず、濱口さんと今西さんが、手製のカヤックで港外まで見送ってくれる。土佐沖は、風、波、うねりともなし。トビウオを追いかけてジャンプするカツオを何匹も見る。対地スピードが出ず、5ノットぐらい。突然、海面下の定置網を横切りそうになり、大急ぎでエンジンを後進にして間一髪のところで接触を免れた。
 入港後、漁協に酒1本を持ってあいさつに行く。氷販売事務所でシャワーとトイレを貸してもらえた。氷も少し分けてくれた。夕食はヨットのデッキでスパゲティー。猛暑の夜だったが、製氷会社の親切なおじさんに出会い、心も和んだ。艇内泊。

【19日(日)】(走行距離=62マイル)
 午前5時40分 甲浦を出航
 午後4時25分 淡路島サントピア(兵庫県)入港
 午前10時30分、蒲田岬沖を通過。対地速度6ノット台だったが、このあたりから7ノットへ。午後3時30分、由良沖を通過。サントピア近くでセールを張り、ヨットらしい走りを満喫する。サントピアは、同志社大学ヨット部後輩の増見さんがハーバーマスターをしており、シャワーを使い、水を補給。夕食はデッキでカレー。その後、サントピア・ヨットクラブの三宅理事長の別荘に押しかけ、食後酒をごちそうになって談笑。夜中に前線が通過して大荒れだった。翌日の報道で、播磨灘で漁船が4隻転覆したことを知る。

【20日(月)】
 午前8時0分 淡路島サントピアを出航
 午後2時05分 母港の新西宮ヨットハーバー入港
 コンビニで氷を買って出航。不調だったオートパイロットが完全に故障。交代でラットを握る。西宮港内で多くの大型船を避けながら入港した。