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(1)あるヨットマンの挑戦

友田享助の太平洋横断航海

 少年時代に父からヨットを習い、16歳のときに死別した京都の大学生が今年8月、小型ヨットで太平洋単独横断に挑戦する。亡父との思い出をただ追いかけるでもなく、冒険の気負いもないが、「自分というものを見つめ直すことができたら」と、大阪湾で準備を進めている。

 このヨットマンは、同志社大4年の友田享助さん(26)=京都市中京区=。神奈川県の湘南の海で育ち、レース派だった父・勝敏さんの仲間らと幼いころから一緒だった。多感な時期に父が53歳で先立った。しかし、ヨットは続け、好きな写真の専門学校を出た後、同志社大に進学。いつしか、太平洋横断の夢をふくらませた。

 帆走の腕を磨くため、大阪府泉南郡田尻町にある青木ヨットスクールに入門。主宰の青木洋さん(53)は、約30年前に自作ヨットで世界一周を成し遂げており、友田さんは「単にセーリング技術だけでなく、海に対する考え方など、学ぶことが多い」と、師事する。

 2年前には量産型の全長8メートル弱の中古ヨットを購入。「朋友」(英語名=ForYou)と名付けた。出発は「父の誕生日の8月2日に予定しています。母も兄も(航海には)納得というか、しかたないというような…」と友田さん。

友田享助の太平洋横断航海

 横断コースは、田尻町から黒潮に乗って北上、千葉県沖あたりから東に針路をとり、米国・サンフランシスコに向かう。商船航路ではないが、海流、風の条件はヨット向き。位置の測定は、電子機器を使わず、あえて天文航法にこだわり、64日間で着く予定。

 起点となる田尻町は今年が町制50周年で、出発に合わせた町民150人の海上パレードや、町立中学校生徒との交流なども計画されている。

 友田さんは「多くの人に支えてもらってできること。冒険というより挑戦ですが、成功させたときに自分自身が何を感じるかが楽しみです」と、自然体だ。後援会活動や帆走指導を行う青木さんは「単独の太平洋横断は過去10人ぐらいが達成しているが、古典的な天文航法は本人の航海術の力量が問われる。目標は生還という気持ちで」と、エールを送っている。(03年6月7日)