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寝技威力 中国で手応え 京大柔道部 OB寄付で武者修行

寝技の仕掛け方を中国の学生らに伝える京大柔道部員たち(中国・上海体育運動技術学院)
寝技の仕掛け方を中国の学生らに伝える京大柔道部員たち(中国・上海体育運動技術学院)

 京大柔道部が、一昨年4月に92歳で亡くなった名物OB長谷川繁夫さんが残した多額の寄付金を活用し9月5-10日、中国・上海遠征を行った。強豪チームとの交流を通じ伝統の寝技の技術を広めるのが狙いで、部員たちは北京五輪を目指す国の活気を体感する一方、少数派となった寝技重視の柔道に、十分な手応えをつかむものとなった。

 長谷川さんは旧制一中(現・洛北高)から三高を経て京大へ。岡山大教授や中国四国学生柔道連盟会長などを務め、退官後から亡くなる直前まで京大で指導に当たり、旧制高校以来の寝技の伝統を引き継ぐ「高専柔道」を学び、継承に情熱を注いだ。

 長谷川さんの遺志で寄付された6千万円を活用するため柔道部は、蘭信三部長が中国研究者である縁で、五輪を前にした中国を遠征先に選んだ。各競技で中学生以上のエリートが集結する中国の有力なスポーツ専門学校・上海体育運動技術学院が拠点。約20人の学生が参加したが、蘭部長は「圧倒的に強い相手と戦えるか当初は心配ばかりだった」という。

 だが体格やパワーでは日本のトップ選手並みの相手にも、寝技を使えば互角に戦えたという。日中両国の選手は車座になって真剣に技術を学び合った。狩野芳規主将(3年)は「彼らは寝技の威力に驚き、貪欲(どんよく)に技術を吸収しようとした。僕らは寝技に自信を持てたのと同時に、強くなろうとする彼らの姿は刺激的だった」と話す。

 さらに各国のビジネスマンらが集まる有名道場でけいこしたり、現地勤務の京大OBと交流会など貴重な時間を重ねた。蘭部長は「長谷川先輩をはじめ多くの支えで遠征は実現した。彼らが上海で得た財産は大きい」。今後は、同学院で五輪を目指す選手を手助けするため寝技の技術伝達を計画中。京大柔道部の夢は遠征を通じて大きく広がる。

(2007年9月22日付け記事)