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関西学生リーグ 6日開幕

■V狙う立命大 攻撃力一新 京大は守備力に粘り

日程表
日程表

 2008年9月6日、開幕する。昨季、大学日本一となった関学大と、3年ぶりの王座奪還を目指す立命大が優勝争いの中心となる。関大(昨季3位)と京大(同4位)は「2強」に迫れるか。昨季最下位に沈んだ同大は躍進を狙う。

 立命大、関学大ともに司令塔のQBなど、攻撃の中心メンバーが一新した。立命大は松田大(3年、関西大倉)に期待が集まる。昨季から導入したショットガン、セットバック両隊形の「いいところを組み合わせた」(古橋監督)攻撃力は、今季もリーグ随一。RB松森(4年、箕面自由学園)の突破力も健在で、4年生トリオが並ぶディフェンスラインも堅い。春の交流戦では社会人チームを連破し勢いに乗る。

 京大はQBに桐原(3年、海城)が定着し、「チーム浮上の鍵を握る」(西村ヘッドコーチ)と信頼も厚い。選手層は65人と厚くないが、副将のLB三井(4年、清教学園)ら粘りの守備は上位チームに見劣りしない。

 同大は、エースQBとして2年目の多川(4年、同志社国際)がパスとランのバランスの取れた攻撃を展開。昨季ラン獲得距離1位のRB太刀掛(4年、同志社国際)のスピードも他チームには脅威となる。

 このほか関大、近大、神戸大なども要所に能力の高い選手をそろえ、序盤から白熱した試合が展開されそうだ。優勝校は大学日本一を決める「甲子園ボウル」(12月21日・長居陸上競技場)に出場する。


【試合結果】

9月6日 立命館大 44―0 甲南大   神戸大 24―10 関西大

■王座奪還へ 戦い及第点 立命大

立命大―甲南大 第3クオーター、立命大RB橋本(左から2人目)が相手ディフェンスを振り切り51ヤード独走してタッチダウン。34―0と引き離す(王子スタジアム)
立命大―甲南大 第3クオーター、立命大RB橋本(左から2人目)が相手ディフェンスを振り切り51ヤード独走してタッチダウン。34―0と引き離す(王子スタジアム)

 立命大が5年ぶりに1部復帰した甲南大を大差で退けた。前半は攻撃でややもたつく場面があったが、古橋監督は「(開幕時の)今の力はこんなもの。一戦一戦勝つことが大事」と、王座奪還に向けた初戦に及第点を付けた。

 QBとWRなど、大幅にメンバーが入れ替わった攻撃陣に注目が集まった。WR呉田への先制TDパスを決めたQB松田大は「レシーバー陣とは練習の前後に何度もコンビネーションを繰り返している」。

 一気に点差を広げた第3クオーターは5度のパスを成功させ、「まだまだレベルアップできる」と強い自信をのぞかせた。

 もう一方の攻撃の柱となるランも威力を発揮した。2TDを挙げたRB橋本は「持ち味の異なる選手がそろい、例年以上に攻撃意識がある」と強調する。古橋監督は「決められるパスを決めきれていない」と注文を付けつつ、攻撃陣のさらなる成熟を期待していた。


【試合結果】

7日  京都大 27―9 近畿大   関学大 24―0 同志社大

■新司令塔のパス 攻撃をリード

京大―近大 第2クオーター0分21秒、京大はQB桐原からのパスを捕球したWR坂田(左)がTDを決める=万博フィールド
京大―近大 第2クオーター0分21秒、京大はQB桐原からのパスを捕球したWR坂田(左)がTDを決める=万博フィールド

 京大は2年ぶりに開幕戦を白星で飾った。今季から本格的に先発QBを務める桐原が落ち着いたパスで攻撃をリード。「責任が重いので、ずっとハラハラしていた」とほっとした表情を見せた。

 昨季は本格派のQBがおらず、ラン主体で攻撃を組み立てた京大。3年目を迎えた桐原が成長し、攻撃の幅が広がった。

 第2クオーターの先制TDパスは、右サイドを抜けたWR坂田へ鋭く、ぴたりと合わせた。「自信になる感触をつかめた」と桐原。相手にパスへの警戒感を与え、後半はパスへの対応を焦った相手守備を曽田や元村らRB陣が次々と突き、得点につなげた。新司令塔について、水野監督は「プレーに幅が少ない。経験というか、場数を踏まないと」と厳しいが、期待感もにじませる。桐原は「インターセプトもやられた。やってきたことができなかった」と次戦に向けて反省を忘れなかった。

■堅守崩しきれず

 同大は関学大の守備を崩しきれなかった。DL清松主将は「ひと夏をかけて準備してきたので悔しい」と、初戦に懸けた思いを明かした。

 QB多川を中心に攻撃陣は思い切りのいいプレーで前進したが、インターセプトなどのミスで好機をつぶした。小林監督は「0点は考えていなかった。リズムに乗り切れなかった」と振り返りながら、「これから化けるかな」とチームの成長を期待していた。


【試合結果】

20日  関西大 40―7 近畿大   立命館大 20―0 同志社大

■WR常包、頭角現す

 立命大のWR常包が安定したパスキャッチを連発、開幕2連勝に貢献した。第1クオーターだけで4度の捕球に成功。TDの場面では、右サイドを駆け上がりながら確実にボールを捕球した後、鋭く内側に切れ込んでゴールへ飛び込んだ。「ボールを取ってからの動きに自信がある」と、その後も相手守備を翻弄(ほんろう)した。

 1学年下のQB松田大とは関西大倉高時代からともにプレーした。2人で獲得した距離は計58ヤード。古橋監督は「(常包は)センスはあるが、けがで苦しんだ。4年生になってようやく頭角を現してくれた」と活躍を喜んでいた。

【試合結果】

21日  関学大 45―3 甲南大

【試合結果】

23日 京都大 23―3 神戸大
(21日に予定されていた試合が雷雨のために延期されていた)


【試合結果】

10月4日  甲南大 23―13 関西大   関学大 51―0 近畿大
10月5日  京都大 28―7 同志社大   立命館大 27―7 神戸大

■冷静に攻撃けん引

 ○…京大は3年のエースQB桐原が3TDパスを決め開幕3連勝。水野監督が「桐原のパスに尽きる」と評価する好内容だった。

 桐原は雨の中でも冷静に攻撃をけん引。パスで243ヤードを獲得し、時折スクランブルから走り44ヤードを稼いだ。「WRがフリーになってくれた」と仲間をたたえる。課題だったWR陣も膳所高バスケットボール部出身の中村や2年の坂田が活躍し、パスの幅を広げた。

■攻撃力不足を痛感

 ○…立命大は攻撃力不足に苦しんだ。第3クオーター残り3分すぎまでTDを一本も奪えず3-7と神戸大にリードを許した。古橋監督は「やることなすことうまくいかなかった」と苦い顔だった。

 攻撃は、神戸大の強い守備ラインの前にランが機能せず、QB松田のパスもWR陣が単純な落球を繰り返した。試合後、古橋監督は珍しく長いミーティングで選手たちに厳しい指示を出した。「全体に悪くはないのに、もう一歩の内容。ここを克服する必死さを求めたい」と語気を強めた。


【試合結果】

10月18日  京都大 14―14 甲南大   立命館大 34―0 近畿大

■デビュー戦、初TD

 ○…立命大の2年生QB福永が、リーグデビュー戦でいきなりタッチダウンを奪う活躍を見せ、大きく勝利に貢献した。

 エースQB松田大に代わり第4クオーターからフィールドへ。落ち着いたプレーで3度のパスに成功、同7分には得意のスピードあふれるランで、ダメ押しとなるTDを決めた。福永は「心の準備はできていた。控え選手としての自覚もあるけど、いずれは(先輩を)抜かすつもりでやっている」。3年ぶりの優勝を目指すチームに、新たな力が加わった。

■要所でのミス響く

 ○…甲南大が試合終了間際のFGを外したため、京大が辛くも引き分けた。敗れれば1971年以来だっただけに、水野監督は「勝負を拾った感じ」と試合を振り返った。第4クオーターに奪われた2本のインターセプトなど、要所でミスが響いた。水野監督は「こちらのちょっとした判断ミス。余裕がない。これでは(次の)関学戦は厳しい」と苦い表情を浮かべた。

【試合結果】

19日  関西大 45―7 同志社大  関学大 44―7 神戸大


【試合結果】

11月1日  神戸大 24―13 同志社大  関学大 43―0 京都大

■怒とうのの圧力耐えきれず

京大-関学大 第4クオーター1分、関学大のタックルを受け京大QB桐原がファンブル。ボールを奪われ関学大にタッチダウンを許す(西京極陸上競技場)
京大-関学大 第4クオーター1分、関学大のタックルを受け京大QB桐原がファンブル。ボールを奪われ関学大にタッチダウンを許す(西京極陸上競技場)

 京大は、昨季の大学王者・関学大の怒とうのプレッシャーに耐えきれず、ミスも重なって完敗。リーグの対関学戦では9年ぶりとなる完封負けに、水野監督は「正面から(相手を)受け止められるようにならないと厳しい」と力の差を認めた。

 序盤から、伝統の一戦に硬さの残る守備陣が押し込まれ、連続TDを奪われた。同監督は「先行されて流れが向こうにいった」と残念がった。

 最終クオーターは、味方のファンブルや相手のインターセプトから大量失点。終盤になっても緩むことのない関学の重圧に、QB桐原は「落ち着いてレシーバーにパスをする自分の仕事ができなかった」と悔しがった。

 次は16日の立命大戦。上位生き残りへの正念場は続く。

 落合主将は「今日(の敗戦)を乗り越えないと次はない」と強い口調で話した。

【試合結果】

2日  立命館大 34―3 関西大  近畿大 13―0 甲南大

■松森52ヤードTDラン

立命大―関大 第1クオーター11分、相手タックルを振り払い52ヤードを走ってタッチダウンを決める立命大RB松森(万博フィールド)
立命大―関大 第1クオーター11分、相手タックルを振り払い52ヤードを走ってタッチダウンを決める立命大RB松森(万博フィールド)

 立命大のエースRB松森が存在感を示した。52ヤードを走る今季2本目のTDで関大を突き放し、チームを勢いづかせた。

 1年生から試合に出場し、昨季も7TDを決めたラン攻撃の要。古橋監督からは「プレーだけでなく精神的にも柱」と絶対的な信頼を受ける。今季は若手の台頭などで1TDにとどまっていたが、この日はチーム最多の計94ヤードを獲得、鋭いステップに頑強さを備えたランがさえ渡った。最終学年となり「後悔はしたくない」と強い決意で臨んでいる。1週間前、浅尾主将が足のけがで今季絶望となり「まじで悔しかった」。主将の無念の思いもゲームにぶつける。

 日本一に返り咲くまで満足することはない。「今日の試合ももっと走れたはず。ワンプレーに全力を出すだけ」。残る京大、関学大戦を見据えた。


【試合結果】

15日 神戸大 17―3 甲南大 関学大 32―19 関西大
16日 近畿大 7―0 同志社大 立命館大 14―13 京都大

■158センチRB、危機救う

立命大-京大 第4クオーター、立命大のRB西田が左ライン際を駆け抜けて逆転のTDを決め、14-13とする(西京極陸上競技場)
立命大-京大 第4クオーター、立命大のRB西田が左ライン際を駆け抜けて逆転のTDを決め、14-13とする(西京極陸上競技場)

 立命大が1点差で京大を振り切り、辛くも連勝を保った。第3クオーターを終え、7-13と苦しい展開。古橋監督は「うちのランプレーと京大の守備がマッチしてしまった印象。そんなに点は取れないと思っていた」と想定内を強調した。

 危機を救ったのはRB西田だった。第4クオーター2分、相手ゴール前17ヤードでボールを持つと、一瞬のスピードで守備ラインのすき間を抜け出し、左サイドを駆け上がって逆転のTD。身長158センチとチーム一小柄なRBが土壇場で大仕事を果たした。

 「負けてても焦りはなかった。楽しんで攻撃できた」と西田。京大守備陣に、愚直にリーグ随一のラン攻撃を繰り返した。「ファーストダウンが取れなくても、みんな顔を上げていた」。チームの揺るぎない自信も西田の突破を後押しした。

 最終節を残し、関学大と6戦全勝同士で並んだ。優勝を懸けた一戦は「1年間準備したありとあらゆることをやる。向こうもやってくる」と古橋監督。京大戦を乗り切り、3年ぶりの優勝だけに集中し、立命大がラストスパートに入る。

■パスで守備を翻弄

 京大はQB桐原から両サイドに構える中村や生川らWR陣へのパスが次々と決まり、相手守備を翻弄(ほんろう)した。水野監督は「関学や立命が相手でも、やることをやればいい試合ができると分かったはず」と、惜敗が選手の自信につながることを期待した。

 リズムよく攻める攻撃陣に乗せられ、守備陣も要所でインターセプトを獲得。終盤まで立命大を追いつめた。勝てば8年ぶりの対立命大戦勝利だっただけに、水野監督は「残念です」と悔しさを隠さなかった。


【試合結果】

29日 神戸大 35―7 近畿大 関西大 31―21 京都大 甲南大 24―10 同志社大

■先制され流れ失う

 ○…京大は前半の無得点が響き、最終戦を勝利で飾れなかった。攻撃リズムを取り戻した後半の追い上げも及ばず、水野監督は「前半に(得点を)入れとかないと。エンジンもかからない」と残念がった。

 第2クオーター開始直後、残り約1ヤード付近まで迫りながら押し込みきれず無得点。直後に先制TDを奪われて流れを失った。後半はQB桐原からWR中村へのパスやRB曽田のランなど、バランスの良い攻撃も見せただけに、同監督は「全体的にプレーが軽い。ここぞという場面でもっと頑張らないと」と来季への課題を語った。

【試合結果】

30日 立命館大 17―7 関学大

■関西学生アメフット勝敗表

関西学生アメフット勝敗表

■立命館大王座奪還

立命大―関学大 第3クオーター5分18秒、ゴール前5ヤードから立命大RB山本(33)が中央突破しタッチダウン。キックも決まり17―7と引き離す(神戸ユニバー競技場)
立命大―関学大 第3クオーター5分18秒、ゴール前5ヤードから立命大RB山本(33)が中央突破しタッチダウン。キックも決まり17―7と引き離す(神戸ユニバー競技場)

 第4クオーター残り8分17秒。10点リードの立命大はここからひたすらラン攻撃を繰り返した。関学大に攻撃時間を残さない-。猛者ぞろいのランナーたちが次々と関学大守備を突破する。RB西田は「止められる気がしなかった」。ようやく関学大に攻撃権が移った時、残り時間は1分51秒。3年ぶりの王座奪還へカウントダウンが始まった。

 両校通じて最長の連続攻撃となったこのシリーズの中盤、唯一のギャンブルを決めた。安全なパントを選択せずリスク覚悟で数センチを奪った。古橋監督は「賭けだった。選手の気持ちに乗せられた」。ボールを抱えて突っ込んだRB山本は「絶対取ってやる気持ち」で仲間の期待に応えた。チームの攻める姿勢が凝縮されたプレーだった。

 2002年から日本選手権2連覇の原動力となり「リッツガン」と称されたショットガン攻撃に加え、今季はランも主役だった。先制TDを含め両チーム最多の計137ヤードを走ったRB松森は「1年間かけて練習したプレーを出した」。交代出場したRB西田も「今年はランで勝つ目標があった」と胸を張る。

 今季はQBやWRが一新した。古橋監督は「攻撃は紅白戦でもボロボロだった。あのチームがよく成長した」と振り返る。リーグ戦に入ってもRB浅尾主将のけがによる離脱や、京大に大苦戦するなど「打倒・関学大」への道は険しかった。 逆境をチームの結束ではね返した。激戦を終え、沈みかけた夕日の鮮やかな光と2万5000人の大観衆の前で、選手たちは誇らしそうだった。

■1日1日成長した

立命大・古橋由一郎監督の話
 用意したプレーは全部使い果たした。今年は精神的に弱いチームだったが、いまは素晴らしい顔つきになった。1日1日成長してくれた。主将はわれわれのチームの精神的支柱。主将のけがでチームに一体感が生まれた。

■力強いライン守備陣も奮起

 立命大守備陣は誰一人昨年の悔しさを忘れていなかった。1年前の関学大戦で喫した31失点はリーグ戦過去20度の対戦で最多だった。「関学のビデオを何度も見て徹底的に準備した」とDT久司。目立ったのは久司ら昨年の先発3人が残るラインの力強さだった。

 パスが軸の関学大に対し激しい圧力をかけ続けた。DE前田は「役割を全うすることを考えた」と喜ぶ。優位なライン戦を背景に第2列のLB3人はフリーで動き、全員がボールへ素早い寄り。DB町は「強いラインのおかげで落ち着けた」という。

 守備担当の池上コーチは「関学の過去2年の試合をチェックし1年かけて準備した」と胸を張る。古橋監督は「選手はもちろん若いコーチ陣の努力に頭が下がる」と勝利の余韻をかみしめていた。

(2008年12月1日付け紙面から)