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(1)感動の共有

2009年03月09日

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 京都産業大学では、毎年1回、体育会クラブ指導者懇談会を開いている。平成20年度の懇談会が3月7日、京都市中京区の京都ロイヤルホテルであり、1時間の講演をした。事前に、ある指導者から、『どうも、体育会全体に元気がないというか、盛り上がらない。ひとつ、喝(かつ)を入れて…』と、お話があった。

 講演の前に、筋金入りのラグビーファンを自認する坂井東洋男(とよお)学長が「大学のPRのためにスポーツで好成績をあげる、というのは違う。好成績によって、結果的に大学の知名度があがる、というのであればいいが」と考えを述べた。同感である。京都産大アスリートの奮起を願って「感動の共有」をキーワードにして話した。

 例えば、甲子園球場で試合があり、4万人が見たとしよう。素晴らしい試合であれば、4万通りの感動があるはずだ。それを、マスコミが報道すれば、4万人どころか40万人、400万人、ことによるともっと多くの人たちに感動を広げることができる。そうして、情報の受け手の一人一人が自身の気持ちを活性化させ、さらに地域にも元気を吹き込む。京都新聞でスポーツ記者を20年余り経験して、そのことが楽しかった。やりがいでもあった。そして、臨場感を伝える難しさを感じるばかりだった。

 京都産大の体育会所属クラブは48ある。選手たちの試合結果に、一般学生、あるいは教職員の中にも、あまり関心を示さない風潮があるという。学内で「感動」が「共有」されていないのだろう。そこで、講演の中で提案した。「体育会のクラブが一定のレベル以上の大会で活躍をしたら、翌日の学生食堂のカレーラースを半額に」である。食事をする学生らがクラブの健闘をはっきり意識できるだろう。カレーライスをもっと半額で食べたい学生は、友だちや同じゼミの選手たちを励ますはずだ。最初は、カレーを安く食べたいから応援する程度かもしれないが、やがて、損得抜きで応援するようになる、と思う。

 今のままで、学内にスポーツの盛り上がりがないのなら、何かをやってみる行動力で突破しないと仕方ない。話し終えて、少なくとも坂井学長は興味を示してくれたようだった。


 筆者は、平成18年2月から、京都府の山間地で田舎記者をしている。これから、思いつくままにスポーツコラムをお届けしたい。