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(22)「京都にサッカースタジアムを!」シンポジウム

2011年12月01日

■700人が集まり盛り上がる

 京都・サッカースタジアムを推進する会と、京都商工会議所京都スポーツ振興特別委員会が2011年11月29日、京都市内の京都産業会館シルクホールで「地域に根ざしたスポーツ文化の創造」をテーマに講演会とシンポジウムを開いた。会場は定員700人ぎっしりの盛況で、これまでにない新スタジアム建設の熱気が感じられた。

 Jリーグの京都サンガは、京都市の西京極陸上競技場(約2万人収容)をホームスタジアムにしているが、陸上競技のトラックをはさんで「遠目」の観戦となり、プレーを再現して見せる大型スクリーンはなく、観客席の屋根も一部にしかない状態で、新しいスタジアム建設の機運が生まれている。「府におけるスポーツ施設のあり方懇話会」(座長・枡岡義明府体協会長)が組織され、府民の意見を聞きながらスタジアム建設の方向性を探っている。

 シンポジウムのパネラーは、Jリーグの大東和美チェアマン、京都商議所の堀場厚副会頭(京都サンガ後援会長)、米国のアメリカンフットボールチームの元チアガールの小島智子さん、この日、基調講演をした女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督で、コーディネーターは関西大学の志岐幸子准教授が務めた。

 発言要旨を紹介しよう。

「京都にサッカースタジアムを!」シンポジウム

■幸せな生活のシンボルに

大東チェアマン
 Jリーグは、28都道府県の38チームまでに増えた。豊かなスポーツ文化の振興を目指しているが、それにはスタジアムが必要だ。私たちは、競技をする場としての競技場とは言わず、スタジアムと言うようにしている。世界的にも、スポーツの試合だけでスタジアムが運営できないことははっきりしている。試合がない日でも多くの人たちでにぎわうショッピングモール、レストラン、さまざまな催しの場などになる「複合的」な施設でなくてはやっていけない。都市の中心にあり、スタジアムを軸に都市が形成されていく。「スタジアムが幸せな生活の一つになる」ということだ。

■試合観戦はお祭り

小島さん
 京都で大学生活を過ごし、NFLのタンパベイ・バッカニアーズ(カリフォルニア)でチアガールをしました。試合の日は、早くから観客が集まり、駐車場で「テールゲートパーティー」が始まります。テールゲートとは、車の後ろのドアで、車内から食事や飲み物を出し、みんなでパーティーをして試合前に盛り上がるのです。大学の試合の前には、チアガールのパレードもあり、試合の前、試合中、試合の後、とも、「お祭り」なんです。

■一流の試合に一流の器

堀場さん
 スポーツには感動を与えてくれる「力」がある。スポーツを通して世界を理解することができる。そのためには、「器」としてのスタジアムが大切だ。京料理を考えるとよく分かるが、せっかくの素晴らしい料理も、器が貧弱だと美味しくない、ということがある。スポーツも、一流の試合を楽しむには、一流のスタジアムでないと、と思う。これから、新しいスタジアムを建設していくためには、やはり「京都らしさ」をキーワードに考えていきたい。


 また、この日は、シンポジウムに先立って、サッカースタジアム建設の署名運動で47万9601人の署名が集まったことが報告され、「なでしこジャパン」の佐々木監督が基調講演した。  講演の要旨は次の通り。

■選手主導で練習

 なでしこジャパンは、北京五輪で(3位決定戦でドイツに0─2で敗れて)ベスト4だった。目標もベスト4だったが、大会後、選手たちは(世界の)優勝を目指そうと目標を変えた。チーム自体、北京五輪まではコーチ主導で練習、チームづくりを行ってきた。それを、選手主導に変えて、ミーティングの「会話の質」を上げるようにした。

 優勝できたワールドカップでは、3・11の東日本大震災を目の当たりにして、選手たちは「大好きなサッカーができる」という気持ちを高めて、それがパワーアップにつながったといえる。それと、NHKが全試合をテレビ中継してくれて、大きな励みになった。

 勝因はいろいろと考えられるが、▽震災に対する行動から、日本の誇りと絆を感じた▽目標を設定した▽戦略、戦術が定着した▽攻守にアクションした▽スタッフが充実した、などがあげられるだろう。ピッチ内の男性スタッフと、ピッチ外の女子スタッフのコミュニケーションを図り、そのことで選手の安心感につながったと思う。

■女子サッカーをメジャーに

 今後の目標は、▽サッカーを日本の女性スポーツのメジャーにする▽なでしこジャパンを世界のトップクラスにする▽世界基準の「個」を育成する。特に、国内では中学生の女子サッカー普及が課題だ。アメリカの女子サッカー人口は140万人いるが、日本は2万6000人ぐらいだろう。普及するにしても、日本は「ハード」(練習場)が少ない。しかし、ここは、日本人の持つ「知恵」をだして、工夫をしていかないといけない。

 「なでしこらしさ」を振り返ると、ひたむき、芯が強い、明るい、礼儀正しい、といったことが考えられる。W杯で、優勝と同時に「フェアプレー賞」をもらったことは特筆できる。人間の脳神経細胞には、元来「生きる」「知る」「仲間になる」という働きがあるという。ロンドン五輪では、120%の力を出さないと勝てないと思うので、頑張る。