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フランスの翼 その一

2009年08月12日

 フランスというと芸術の町という印象が強いですが 実は航空機大国でもあります。

 先日、パリ航空ショウが開かれた「ル・ブルージュ航空博物館」を見てきました。ミラージュ戦闘機、英仏2機のコンコルド、創世記の複葉機や 第一次や第二次世界大戦時の 戦闘機、実際に中に入れるDC3(ダコタ)などの多数の展示館があります。なかでも、驚き感激したのは、1館すべてが、パチンコと呼ばれる初級機からソアラー上級機まで、フランス製のグライダーが数多く、あたかも飛んでいるような展示がされていたことです。

出発前に水平を保つために翼端をもつ女性
出発前に水平を保つために翼端をもつ女性

 動力飛行機が最初に日本の空を飛んだのは明治43年、代々木練兵場ですが、フランス製のアンリー・ファルマン複葉機であったし、現在もエアバス社がボ―イングと競って旅客機を製造しており、グライダーも例外ではありません。現在、グライダーの製造はほとんどドイツが占めていますが、実際の飛ぶ場所は、どうもフランスのほうがいいようで、以前尋ねたGAPタラーント(マルセイユの北約150km)という飛行場でも、半数以上が“D”ナンバー(国籍がドイツ)で、フランスの“F”ナンバーが少数でした。

 ドイツの教官の話では、ドイツは森の国であり、平地が多いフランスのほうが上昇気流(サーマルといいます)が多く発生し、また高くまであがるとのことでした。このGAPタラーント飛行場は、小型航空機専用で、軽飛行機、グライダー、マイクロライト機、パラセイル、そしてプロのダイバーが混在し、それぞれが楽しんでいました。大阪にある八尾飛行場をアマチュアが自由に飛んでいる感じでした。

 ところでエンジンの無いグライダーが長時間飛べるのは、このサーマルのおかげであり、(1)地面が強く熱せられて、その温まった空気が上昇する(ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカ型)(2)上空に冷たい空気が入り温められた空気が上昇する(日本型)(3)山脈に季節風があたり風がその山に沿って風上に上昇する(4)その山脈の風下に、うねりとなって上昇気流が発生するウェーブと呼ばれる上昇風(ニュージーランド、アメリカ山岳地帯)などに分かれます。 この飛行場は、(1)の条件でグライダーが少し上昇すると、すぐ近くの山のサーマルに取り付き、また次の山という風に高度を上げていくと、やがてヨーロッパアルプスに入っていくことができます。

アルプス山脈
アルプス山脈

 このときも飛行機曳航で上がったASK21という複座のグライダーで、アルプス山脈に入り100kmばかりの距離を飛びました。平地のサーマルに比べ、アルプスでは尾根、谷などに風があたり、気流は複雑な流れになり、サーマルの状況が読み取りにくい状況でした。 その分、飛んでいて面白く、予測できない下降気流で落とされたり、とてつもないでかいサーマルにあたるなど大変楽しいフライトができます。ここ数年前から、日本でもこの山岳滑翔が広まり、すでに日本アルプスや奥羽山脈など獲得高度5000mや1000kmの距離飛行の記録がでています。

前席はドイツ人パイロット
前席はドイツ人パイロット

 写真は、数年前に尋ねたGAPで、フランス製の飛行機に曳航されている場面(前席はドイツ人パイロット)、 グライダーは車輪が一つなので、出発前に水平を保つために翼端をもつ女性(このようなたのしい風景は日本ではほとんど無い)、そして、軽飛行機をチャーターしてアルプスを2時間弱飛んだおりの美しい一面の雲海です。

美しい一面の雲海
美しい一面の雲海

 フランスがグライダー大国である理由の一つに、国立のグライダー学校があります。当然ですが、教官は全員国家公務員で、ほとんどが2万時間以上の飛行時間を持っています。マルセイユの北100kmのサントーバン飛行場にあり、今年の10月に一週間訓練に参加しますので、帰国後そのすばらしい環境などをお話したいと思います