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オーストラリアでのソアリング

2009年09月18日

オーストラリアでのソアリング(滑翔)

 オーストラリアはほとんど平地の大陸なので、中上級者が距離飛行をするのにいい環境が整っています。毎年、正月前後に(オーストラリアは夏)に多くのグライダーパイロットが飛行記録を取りに、あるいは、距離飛行の練習に訪れます。私は25年くらい前に、ワイケリー(アデレード北東200km)という滑空場を尋ね、神様といわれる故ブラッドリーさんと飛びました。ここは、大陸のど真ん中のため、積雲がほとんど発生しません。ですから、距離飛行をする場合は、地面を見て周囲より赤っぽい畑を探し、暖められた空気が上昇する(サーマル)中を旋回して高度を上げます。それから次のサーマルを目指して飛ぶことを繰り返して、距離飛行を行います。ですから、下を見て飛ぶことになります。ここは地元のオーストラリア人がグライダークラブを経営しています。

 1990年ごろから、毎年正月には、シドニーの北西約450kmにあるナロマイン飛行場に10数回訪れ、距離飛行を楽しみました。ここは緑が多いため雲が多く発生しますので、サーマルを見つけるには、いい積雲を探すことです。ですから上を見て飛ぶことになります。つまり積雲という目標があるので、目的地までどのコースを取るかという作戦が立てられ、楽しいものです。このグライダークラブは日本人が経営しているので、朝のブリーフィングは英語ですが、日本語での指導もうけられるので英語が苦手な人でもOKです。

 グライダーは、練習用の二人乗りの(前後に座ります)ASK21、そして初心者用の翼幅(スパンといいます)15mのアステアやディスカス、翼幅25mもあるスーパーシップに乗ります。ニンバス3や4があり、総数10機以上所有し、技量に応じて借りることができます。遠くドイツやフランス、イギリスからも飛びにきており、地元のグライダークラブが主催するクリスマスパーティ(暑いのでカンが狂いますが)は、いろいろな国から来たパイロットでおおいに賑わい、これも飛ぶ以外の楽しみの一つです。

 ところで、フライトですが、最初の目標は単座での5時間の滞空で、飛行場付近で飛ぶので3時間を越えるあたりから周囲の景色にも飽きてきます。たぶん5時間飛んでいる間には、獲得高度1000mも達成しますので、いよいよ次は、直線距離で50kmのフライトです。南55kmのところにあるピークヒル滑空場までが目標となりますが、そこで着陸すると、機体を分解してトレーラーに乗せて運搬することになり(リトリブ)、手間がかかるので、ピークヒルの上空で滑空場の写真を撮ってから、ナロマインへ引き返します。ですから、実際の飛行距離は110kmとなり、「5時間、1000m、50km」で国際滑空記章である「銀章」獲得となり、やっとグライダーマンの仲間入りです。これで、いろいろな競技会に出場できます。

 私は、最初ネガティブフラップ(上方に上がる)が付いているASW20という機体で300kmを飛んでから、450km飛行をベンタスBで、最終は、スパン26.6mというニンバス3で、オーストラリアの空を高度1万フィート(3000m以上)で飛び回りました。このグライダーの性能はすばらしく、1mの高さを失高する間に、60m以上を飛ぶことができます。

【ここで、写真の説明をしましょう】

(1)ナロマイン上空からで、2本の舗装した滑走路(ビッチマンといいます)とグラスランウェイがあり、通常グライダーは、ビッチマンの左右のグラスランウェイを使用して離着陸します。右はナロマイン市で、ここのホテルから毎日飛行場へ通います。飛行のあとは備えつけのプールで遊びますが、ここでも美人の宿泊客との交流があることも。

2本の舗装した滑走路
2本の舗装した滑走路

(2)次は上空からで、このような景色が延々と続きます。

上空から
上空から

(3)計器盤の写真ですが、このグライダーはデュオディスカスで、複座でありながら高性能機です。今までは、上級者でないと飛べなかった長距離飛行が初心者でも楽しめるようになりました。 ☆左の計器は、速度56kt(約100km/h) ☆ 真ん中下は高度6200ft ☆右は1秒間に2mで上昇中の昇降計 ☆真ん中上はGPSで、カーナビのように目的地までの距離や到着時間、現在の飛行方向、高度、風向、風速を表わすことができ、大変便利な計器です。 ☆あとは、コンパス、VHF無線機です。

計器盤
計器盤

 ちなみに、ほとんどの地方の空港には管制塔がありません。ですから無線は一方通行でしゃべるのみで、日本の空港のようにタワーからの指示は無く、すべてパイロット判断で離着陸することになります。