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2回目のサントーバン飛行

2013年08月20日

 久しぶりの「グライダー談義」です。7月20日から月末まで、フランスのサントーバン飛行場で2回目の訓練飛行をしてきましたので、その様子を紹介します。1回目の訓練の模様は、このグライダー談義の4回目(2009年11月9日)「アルプス山岳滑翔」で紹介してあります。

日本人の訓練・練習生、大集結

 さて、今回の訓練のメンバーは5名で、私を含め、全員関西エアロの会員でした。サントーバン5回目の I さん、最近グライダーに目覚め、めきめき腕を上げている訓練初参加のSさん。練習生のNさんと I さんら2人は、この訓練には参加できない(上級者のみ参加可)ので、北50kmにあるGAP飛行場に行き、ドイツ人のマーティン教官の指導を受けました。加えて、関東から毎年参加しているKさん、Hさんら2名(彼らは、オーストラリアのナロマインで知り合った飛行仲間)で、たぶん、ここサントーバンで、これだけ多く日本人が集まったのは初めてでしょう。

 私が2回目の訓練にでかけた理由は、飛行感覚といいますか、「腕」を鈍らせないためでした。普段は教官として学生を教えたり、岡山の邑久にある滑空場(河川敷)でグライダーを曳航していますが、それだけでは滞空する技量が伸びず、衰えてきます。サーマルをつかみ、上昇するにはテクニックが必要なので、常に練習しないと腕が鈍ります。最新鋭の機体に乗るためのリハビリとして、フランスの国立グライダー学校で訓練してきました。

グライダーシーズン真最中

 場所は、マルセイユから北東100キロで、サントーバン飛行場(グライダー専用)にある 国立のCNVVというグライダー学校です。 エールフランスのパイロットなども経験訓練をしています。今回はオーストリアの航空局の役人も参加していました。前回の訪問は10月で、グライダーシーズンが終わりかけていましたが、今回の時期はフランスでの最盛期で、写真で見られるように多くの積雲ができ、高度は3500メートル以上に上昇できました。サントーバン5回目の I さんはアルプス山中をアーカスという新鋭機で500キロ以上のフライトを行い、しかも5時間少々しかかからず、すばらしい飛行ができました。

 ここでの飛行のメリットは最新鋭のグライダー(すべて ドイツ製)が多数あることと、教官がフランスでのベストで、世界大会のチャンピオンもいることです。我々では足元にも及ばない技量の持ち主が多く、生徒も、それなりの実績があるにもかかわらず、1人の練習生として訓練しています。要は、レベルが極めて高いということです。

かっては、高性能複座のグライダーはNIMBUS4など、スパン(全幅 翼の長さ) 25メートル以上が普通でした。最近は、同じような性能を有する複座のARCUS(アーカス)が登場しました。スパンが20メートルで、フラップがついています。操縦もしやすいため、多くのグライダー乗りが長距離飛行を楽しめるようになりました。今回の訓練でも毎日200キロ以上飛びました。我々が活動している岡山でも飛ばしたい…とは思いますが、機体が重くて無理でしょう。

長距離飛行も可能なグライダー

 ところで エンジンを持たないグライダーがアルプス山中を遠くまで飛べる理由を説明します。このアーカスは滑空比が50:1あります。高度が1000メートルあれば50キロ飛べるという性能です。大きな沈下帯を予想して滑空比を20~25と考えて、サントーバン飛行場を離れ、ここに帰れない高度になる場合、次の飛行場へ着陸できる高度があることを確認します。そうすると、安心してそこからまた遠くへ飛びます。フランスアルプスには、だいたい30キロごとに着陸できる飛行場がああります。従って、だいたい2000メートルの高度の余裕があると、次、また次と、遠くへ飛ぶことができます。

 GAP飛行場はだいたい55キロの遠さなので、中間地点で1000メートル+GAPの標高があれば、どちらにでも着陸できるので安全です。タワーへの報告は“GAP ローカル”で、教官は山に不時着となるのではなく、沈下が多くなっても安全にGAPへ降りることができる、と判断します。このように、次々に着陸できる飛行場を変えることで 遠くへ飛ぶことができます。

 今回の訓練では、各国から約50人が集まっていましたが、日本人5人のグループで夜はレストラン巡りをしたり、大いに楽しみました。1週間のフライトの後はTGVでアールヌボーの里、ナンシーに行き ガレやドームの陶器などを見て周りました。その後、パリのモンマルトルを散策、あのムーランルージュも見てきました。予約がいっぱいで中には入れなかったのですが、入場料は300ユーロと高価でした。欧州の昼間は30度以上になりますが、夜は20度以下で湿度も低いので過ごしやすいですね。帰国して猛暑の日々はまいりました。ところで、岡山は滑走路の工事も終わり、涼しくなる秋から飛行を開始するつもりです。

写真① =集合写真のフランス女性はグライダー曳航のパイロットで、パーティでの焼肉係りもしてくれました
写真① =集合写真のフランス女性はグライダー曳航のパイロットで、パーティでの焼肉係りもしてくれました

写真② =セルフォトン湖上空の飛行
写真② =セルフォトン湖上空の飛行

写真③ =積雲に群がり上昇中のグライダー群
写真③ =積雲に群がり上昇中のグライダー群

写真④ =アーカスの機体
写真④ =アーカスの機体

写真⑤ =アーカスのコクピット
写真⑤ =アーカスのコクピット

写真⑥ =近くの山頂付近のレストラン“マルフォーサス”
写真⑥ =近くの山頂付近のレストラン“マルフォーサス”