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(2)発育期のスポーツ障害 野球肘について

2009年09月11日

 写真は13歳男子の野球肘のレントゲンです(図1)。「投球時の痛み」と「肘が伸びない」との訴えで来院されました。野球肘のなかでも上腕骨小頭離断性骨軟骨炎という障害になります。名前も難しいですが、治療も難しく、早期では投球禁止で治りますが、発見が遅れると手術が必要になる場合もあります。この中学生も病状が進行しており、骨軟骨の一部が母床から分離しています。結局、骨軟骨移植術という手術をし、今では試合復帰しています。

図1
図1

 野球肘とはボールを投げる動作により肘関節に生じる疼痛性(とうつうせい)障害の総称です。投球動作においてトップポジションから加速する際、肘の内側に牽引力、外側に圧迫力が加わります(図2)。手のひらを上にして親指側が外側、小指側が内側とします。内側にかかる牽引力により肘内側の骨端線障害が起こり内側型野球肘といいます。外側にかかる圧迫力により先ほどの上腕骨小頭の障害が起こり外側型野球肘ともいいます。そのなかでもっとも予後不良なのが上腕骨小頭障害です。

図2
図2

 野球肘の発生のピークは11、12歳で小学生高学年に相当します。野球肩の発生のピークが15、16歳であることから、肘に関しては思ったよりも低年齢でピークを迎えます。少年野球指導者の盲点となっているかもしれません。

 では原因は何でしょうか?投げすぎ、未熟なフォーム、二次性成長にともなう体の柔軟性の低下、体質などさまざまな要因が考えられます。しかし投手、捕手など投球機会の多いポジションに圧倒的に多いことからやはり投げすぎが大きな要因のひとつでしょう。

 では、投げすぎの原因はなんでしょうか?ある少年野球指導者向けアンケートによると、試合数の過多、投手不足、普段の練習などがあげられていました。日本臨床スポーツ医学会が「青少年の野球障害に対する提言」というものを出していますが、小学生の場合、全力投球1日50球以内、試合を含めて週200球を超えないこととなっています。京都でも地域のリーグ戦以外にもたくさんのトーナメント大会があり、試合が立て込むと2日で4試合をこなすなどハードスケジュールになります。大切な試合でも同じ投手の連投は避けるべきです。そして投手は3人以上ほしいところです。

 少年野球の指導者の方には、この年代の選手の肘の痛みと動きの制限には十分注意を払っていただきたいと思います。早期に発見するほど保存的治療で治る可能性が高くなります。そして投球過多には十分注意してほしいと思います。健康な体で次のステップである中学野球へ送り出してあげましょう。