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(3)「ストレッチのポイント」

2009年10月02日

 ストレッチ(stretching、ストレッチング、伸びるという意味)は柔軟体操の一種です。あらゆるレベルのスポーツ活動でウオーミングアップ、クーリングダウンに広く行われています。イチロー選手がかなりの時間をかけてストレッチを行っていることはよく知られています。ストレッチには柔軟性の獲得、神経・筋伝達機能の促進、血行改善などの効果があり、障害予防、運動パフォーマンスの向上、疲労回復などの目的でおこなわれています。特に障害予防のもっとも重要な手段ですので、今回はそのポイントを説明し、より効率的なストレッチングのやり方を覚えておいてください。

■ストレッチには2通りある

 動的ストレッチと静的ストレッチというのがあります。反動をつけて行うのが動的(ballistic)ストレッチです。昔、体育の時間に2人一組で柔軟体操をしたときのがこれです。柔軟体操=痛い というイメージが今でもあります。筋肉というのは反動をつけて急に伸ばされるとそれを感知して、反射的に縮もうとします。これを「伸張反射」といいますが、動的ストレッチではこれが生じてかえって筋肉が短縮します。それにあまり強くすると筋、腱が損傷する恐れがあります。よって動的ストレッチはアスレチックトレーナーなど専門家の指導のもとで行うほうが良いです。

 一方、静的(static)ストレッチとは反動をつけずゆっくりと伸ばしていき、痛みのでる前に止める方法です。これの方が「伸張反射」がおこらないためよくストレッチされ、しかも安全に行えます。

 ストレッチの大切なポイントを以下に挙げます。

 写真では代表的な下肢の筋のストレッチを示します。太ももの前面にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、太もも後面のハムストリングス、ふくらはぎの腓腹筋(ひふくきん)、股関節の前面の腸腰筋(ちょうようきん)です。いずれも太くて強い力を発揮する重要な筋肉ですが、肉離れなどの損傷も受けやすい筋肉です。筋肉の走行を赤線で表示していますが、この筋肉の走行に沿って伸ばすように意識してください。悪い例では関節が曲がっていたりしてしっかり伸びていません。姿勢を良くして気持ちよく伸ばされる状態を感じ取ってください。

 ストレッチはスポーツ障害予防のための最も有効な方法です。これからスポーツの季節です。日頃運動していないお父さん方、運動会でいきなり走るのはとても危険です。この時期、アキレス腱断裂、肉離れ、捻挫(ねんざ)など運動会で怪我される患者さんが多く来られます。特に40歳前後の方が多いです。頭のイメージと実際の体力にギャップがあるのでしょうか。日頃から少しずつ運動とストレッチをしておきましょう。ストレッチのもう一つのポイントは毎日継続することです。

大腿四頭筋のストレッチ


立位での大腿四頭筋のストレッチ


ハムストリングスのストレッチ


腓腹筋のストレッチ


腸腰筋のストレッチ