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(4)「小学生に筋トレ?―成長の段階にあわせたスポーツ指導を―」

2009年10月23日

 「小学生に筋トレは必要か?」。もちろん本格的な筋トレは必要ないです。筋肉がまだ十分に発達していない子供に筋トレをしても効果があまり期待できないだけでなく、関節、軟骨などストレスに弱い部分に負担が加わり、悪影響を与えます。百害あって一利無しです。筋トレは身長の伸びがピークを過ぎてから行うのが効果的です。このように成長の段階にあわせたトレーニングをすることが大切で、それを無視したトレーニングは効果がないばかりか、こどもの発育を害したり、重大なスポーツ障害を招く恐れがあります。

図1 身長の成長速度曲線

 どの時期に、何をトレーニングするか?まずはこどもの発育段階を知る事です。一つの目安として「身長の伸び」があります。図1は成長速度曲線といって、1年間でどれだけ身長が伸びたかを経時的に表したものです。ピークは11-12歳ぐらいです。身長が止まるまでを4つのphaseに分けています。急激な伸びが始まる前のphase1では、基本的な動作を身につけさせるとともに、単一のスポーツだけでなくいろいろな運動をとおして運動神経に磨きをかける時期です。急激に身長の伸びるphase2は小学高学年から中学生ぐらいです。この時期は骨の成長に比べ、筋肉、腱の成長が追いつかず、筋肉、腱が常に緊張をうけやすくなっています。オスグッド病などのスポーツ障害もこの時期に多く発生します。関節に負担のかかる運動は避け、しっかりとストレッチを行う習慣をつけましょう。伸びのピークを過ぎたphase3から本格的な筋力訓練をはじめるのが良いとされています。身長の伸びがほとんどなくなったphase4では大人とほぼ同じ練習メニューをこなせます。

 最近、専門誌に興味深い事が書かれていました。「米国の統計では、スポーツ少年は非スポーツ少年より3倍も非行に走るとされています。本邦でも事情は大差ないと考えられます。その理由としては、幼少期からの過酷で不適切な指導のため、重篤な障害を残した挫折感が大きな原因となっていると思います。」2) 発育期でのスポーツ傷害でそのスポーツを道半ばで断念する子供が少なからずいます。野球をあきらめて中学ではバスケットボールなど他の競技にかわる場合もあります。発育期、特に幼少期のスポーツ指導で重要なことは、▽野球、サッカーなど、そのスポーツが大好きな子供に育てること▽生涯にわたってそのスポーツと関わっていけること▽そして目先の勝利にこだわらず、からだが完成する20歳前後で最高のパフォーマンスが出せるようその子を大きく育てること―です。

図2 スポーツに必要な能力の発育発達パターン


図3 発育発達パターンと年齢別運動強化方針

 図2、図3はスポーツに必要な能力の発達パターンとそれに合わせた強化方針を示したものです。発達段階を考慮に入れた具体的な指導法は各競技でいろいろです。サッカー界では、少年期からの一貫指導プログラムや指導者育成システムなどについて、サッカー協会が中心となり取り組んでいるようです。野球をはじめ他のスポーツでもそういった取り組みが望まれます。

【文献】