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(8)「肩のスポーツ障害」―腱板損傷(けんばんそんしょう)について

2010年04月30日

治療は薬やリハビリが基本

 阪神タイガースの金本選手の連続試合フルイニング出場の記録が途絶えたのはついこの間の事です。金本選手が傷めていたというのが肩のインナーマッスルといわれる「腱板」です。腱板というのは肩の深部で肩関節を囲むようにして存在する4つの筋肉をまとめてこう言っています。4つの筋肉は棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょっかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)といいます(図1)。金本選手はこのうち棘上筋を傷めていたと新聞に載っていました。

図1
図1

 腱板の重要な働きのひとつが肩を安定化させることです。具体的にはこれら関節周囲の筋肉が収縮することにより上腕骨骨頭(じょうわんこつこっとう)を肩甲骨関節窩(けんこうこつかんせつか)にしっかりと押しあてておくことです。(図2)

図2
図2

 肩関節は他の関節に比べ構造的に決して安定した関節ではありません。そのため関節がぶれないように安定化させる腱板の働きはとても重要です。肩が安定していると三角筋(さんかくきん)など外側にあるアウターマッスルは、その強い筋力をフルに発揮することができます。腱板の断裂などでその機能が低下すると関節が不安定となり、動きに伴い中心軸がぶれて、アウターマッスルの力が有効に働かなくなります。そして痛みもでます。断裂が大きくなるとウデが挙らなくなる場合もあります。

 腱板を傷める原因としては、▽野球選手など投球動作での肩の過度の使用によるもの ▽仕事で労務作業が多く同じく肩に負担がかかる場合 ▽また加齢により腱板自体の性質が弱くなるため、中高年の方では転倒して手をついただけで断裂するケースもあります。症状としては安静時や夜間の肩の痛み、ある方向に動かせると肩が痛い、肩があがりにくい、あがらないなどです。診断は問診、診察でだいたいわかりますが、MRI(磁気共鳴画像診断装置)でほぼ診断がつきます(図3)。

図3
図3

 治療は手術をせず薬やリハビリ(図4)で治すことが基本になります。ある程度の損傷はこれでよくなる場合が多いです。こういった保存治療を数カ月続けても効果がない場合には手術を考えます。いまでは、ほとんどの場合内視鏡(関節鏡)を使った手術が行われています。これは以前の切開手術にくらべて傷が小さくて済み、内視鏡であるため内部まで詳しく観察しながら断裂部を縫合できるなどのメリットがあります。

図4
図4

 スポーツで肩を痛めた人はもちろん、「子供とキャッチボールしてから肩が痛くなったけどなかなか治らない」、「五十肩と思うのでほったらかしにしているがまだ痛い」といった中高年のかたも、一度専門医を受診されることをおすすめします。