京都新聞社TOP

(9)「中高年のスポーツ障害予防について」

2010年09月24日

盛んな中高年スポーツ

 高齢化社会における健康スポーツの普及により、中高年のスポーツ愛好家が年々増えて来ています。ある調査1)では、日頃から日常生活の中で健康のため意識的に運動をしているひとは、若者よりも50歳以上の中高年に多く、60歳以上ではその割合が60%を超えているという結果があります。しかし、「老化」により人間の身体能力は年齢とともに必ず低下します。個人差はありますが、40歳以降徐々に認められます。また生活習慣病をはじめいろいろな病気を発症している人もいます。こうした中高年が若者と同じような調子でスポーツを行うことにはかなりの危険を伴います。

加齢による変化とは?

 加齢による体の衰えは心機能や肺活量など内臓機能の低下、運動器に関しては、筋力の低下、柔軟性の低下、バランス能力の低下、関節軟骨の変性、骨強度の低下などがあります2)(図1)。

図1 加齢と体力の変化

筋力は上肢に比べ下肢の方が加齢による筋力低下が強いと言われています。手やウデは年をとってもよく使うためある程度筋力は維持できるが、動く距離が減るため足や腰の筋力は低下しやすくなります。ランニングでは若者と比べるとピッチはあまり変わらないがストライドは年齢とともに急激に減少します。これも足の筋力低下によるもので歩幅が狭くなることにより走る能力が低下します3)。関節を痛めている人も少なくありません。特に膝の軟骨が減る変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)の人が多くいます。(図2,3)

図2

図3

この疾患(しっかん)は年齢とともに増え60歳以上では女性の60%、男性の40%にレントゲン上の変化を認めるといわれています。また加齢より骨が弱くなります。特に女性では閉経後著しく骨量は減少し骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすいです。程度が進むと日常生活やスポーツ時の転倒などで容易に骨折していまいます。(図4)

図4 女性の骨密度の変化

中高年ではどういうスポーツが推奨されるか?

 一般的には有酸素運動で運動強度が適度なものが勧めらます。具体的にはウオーキング、水中運動、エアロビクス、自転車など多岐にわたります。心肺機能を上げるような運動強度が中程度以上のスポーツでは卓球、テニス、長距離走などもあります4)。これらのスポーツに参加するには基礎体力をまず獲得しておく必要があることはいうまでもありません。

障害の予防はどうするか?

 まず自分の体を知る事からはじまります。若い頃と比べ体型、体力が変わっています。中高年に自己申告させると「身長は高めに、体重は軽め」に申告します2)。メタボ気味であったり、膝や腰の痛みがあったりします。また内科の病気があるかも知れません。弱いところを自分で確認し必要に応じてメディカルチェックを整形外科や内科でしてもらいます。若い頃の全盛期の記憶があり無理しがちですが、今の自分の体にあったレベル、運動量をまもることが大切です。運動の前にストレッチなど十分なウオーミングアップを行うこと。第3回で紹介したようなストレッチを運動前少なくとも15分はすべきです。そして普段からこまめに動き、活動的な生活を心がけることで、スポーツへのコンディション作りとしましょう。練習中、競技中に症状が出た場合は、無理せず運動を中止し、適切な処置を行ってください。

 中高年のスポーツ活動で一番大事な事はスポーツを楽しむことです。記録、勝敗、成績などの目標はスポーツを続けるモチベーションにはなりますが、これに執着しすぎては練習量過多になり健康スポーツがかえって不健康になってしまいます。自分のからだをよく知り、そのレベルにあわせて、スポーツそのものを楽しむことが外傷、障害を予防するうえでも重要になります。

文献