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(14)レントゲンでわかる前に見つけよう、腰椎分離症(腰椎疲労骨折)

2015年7月14日

 第12回のコラムでも書きましたが、発育期の子どもの腰痛で日常よく遭遇するのが、腰椎分離症(ようついぶんりしょう)です。これは腰椎の疲労骨折(ひろうこっせつ)で、スポーツをしている子どもに多く診られます。腰椎分離症は図1のところの骨が疲労骨折をおこした状態です。特に腰をうしろに反ったり、回転させたりする動作を繰り返す事で、その部分にストレスがかかり疲労骨折を起こします。特に発育期では運動クラブでの繰り返し練習、成長期にみられるカラダの柔軟性の低下、未熟な骨強度などの要因が重なり起こります。

図1 腰椎の模型。同じ動作の繰り返しで分離部にストレスがかかる

図1 腰椎の模型。同じ動作の繰り返しで分離部にストレスがかかる

 診断は画像診断になります。レントゲンでわかるような分離症はかなり進行した状態で治る可能性はかなり低いです。分離症の可能性を疑えばMRIやCTを撮り出来るだけ早期の段階で見つけるのがこの病気を治すキーポイントです。これらの検査はレントゲンよりも早く異常を検出するため、ごく早期の段階から分離症がわかります。

 分離症の治療は2〜6ヶ月かかります。その間は硬めのコルセットを装着し運動の禁止となります。腰痛自体は数週間でなくなりますが、それでも治ったわけではなくコルセット装着と運動禁止を続けます。カラダの柔軟性の低下が原因のひとつですのでその間はストレッチなどで硬さを改善していきます。図2は中学生の野球選手ですが、左側の腰椎分離症があります。治療をつづけて4ヶ月後には骨がしっかりとできて治っています。図3も中学生の野球選手ですが両側の分離症を認めています。両側は片側より治り難いとされていますが、この選手もしっかりと4ヶ月間コルセットを装着し、治癒しています。2人とも高校野球にすすみ全力プレーが出来る状態になっています。

図2 中学3年 野球部 左:CTでは片側の分離がある。右:4ヶ月後のCTで骨癒合は良好
矢印:分離部

図2 中学3年 野球部 左:CTでは片側の分離がある。右:4ヶ月後のCTで骨癒合は良好 矢印:分離部

図3 中学2年 野球部 左:CTでは左右ともに分離がある。右:4ヶ月後のCTで骨癒合は良好 矢印:分離部

図3 中学2年 野球部 左:CTでは左右ともに分離がある。右:4ヶ月後のCTで骨癒合は良好 矢印:分離部

 中学から高校にかけて発症のピークがあるために、治療が難しい面もあります。重要な試合の前にこの病気が見つかったり、また、休むとレギュラーの座が危ない、中学最後の試合なので何としても出たいなど、選手の個々の状況はいろいろであり、それぞれ異なる悩みをもっています。それを考慮しつつ、かつこの病気を十分理解してもらいながら治療をすすめていくのも分離症治療の難しい所です。

 まずは子どもが腰痛を訴えたら、腰椎分離症を頭に浮かべスポーツ障害を熟知しているスポーツ整形外科専門医を受診し出来るだけ早期にこの病気をみつけることが大切です。