京都新聞社TOP

大一番のはずだった。(連載第96号)

2009年02月12日

 昨夜のオーストラリア戦をご覧になった方々は、どのような感想を持っただろうか。結果はご承知のとおり0-0のドローで終わった。観客は6万5千以上入って、まさにここ一番天王山の雰囲気だった。テレビも祭日のためか試合のかなり前からの中継が入って、選手の動向を追っていた。ピッチに登場する直前の様子も映りだされていて、盛り上がりを演出する様子が茶の間に届いた。

 試合前の下馬評では、オーストラリアはベストメンバーでないとか、全員揃うのは試合前日とか、日本代表は充分な準備ができた。そしてまさに勝てるホームゲームであると。そうじゃなかったの? と言いたい。結果ドローで勝ち点1は積み上がった。負けるよりましかもしれない。しかし、私は今回の予選のことだけで言っているのではない。オーストラリアの様なチームは欧州には山ほどある。イングランドプレミアリーグでのタフなサッカーと中盤のワンタッチパスでの早い攻撃、強固なディフェンス。このようなチームは数え切れない。W杯欧州予選のすごさは格別だ。

 このゲームを見て感じた事は、我が代表は2位通過でW杯に行けたとしても、本戦の一次リーグで勝つことが出来ない。またしてもドイツ大会と同様に悲しい敗退を強いられてしまう。ドイツ大会だけではない。フランス大会でもそうだったように。(日韓大会は夢の結果であった。私もその夢の中で幻覚の1カ月を共に過ごす事となった)。このチームの使命はW杯で結果を残すことにある。昨晩のゲームでそれは程遠いと言うことを改めて露呈してしまった。

 あのフィンランド戦は何だったのだろうか、無意味なゲームを消化した責任は大きい。ただスポンサーのため、悪く言えば金の為だけのゲームだったら、日本サッカーの将来は悲観的だ。

 ゲームを振りかえってみよう。日本が勝利できるパターンは、ひとつしかない。前半に先取点を取って、後半早々追加点を取るパターンだ。取れる時間帯に点が取れないとあせってくる。(実際、監督のあせり以上には選手は感じていないものだが)。今の日本代表は取れる時間帯に点が取れない。相手が持ちこたえているわけだ。ボクシングで例えると、打ち合いになって終盤になる。相手に止めを刺すには、今まで以上の強烈なストレートパンチか、カミソリのような左フックが必要になってくる。その止めを刺せる武器が今の代表には欠如している。

 監督は、強烈な個性を発揮できるFWがいない現在、忠実にパスサッカーで相手を崩すことが大切であると説いている。ひたすら繰り返すことが今の日本には必要なのだと。一見すれば、まことしやかに聞こえてくる。しかし、それではW杯に行けても、世界に通用することはない。指導者は常に上を見た戦術と鍛錬を指揮し続けることが勝利への鉄則ではないだろうか。ようするに、これでオーストラリアは最終戦のホームでも日本に負けることはないだろう。彼らはアジアの新しい盟主として高々と名を挙げたわけだ。

 岡田監督の采配に対して物申す。まあ、私の独り言だから大目に見てほしいが、同様な意見の方も少なからず存在すると思う。後半の松井の交替は、間違っている。ご承知のとおり松井は最初から良い動きだったし、守備でも光っていた。シーズン中のキレがあったし、相変わらずトリッキーな動きだった。ゴールへの執着も垣間見た。

 それに反して玉田は、今ひとつだった。ボールが足元に近づきすぎて、コントロールに苦しんだ。体は力んでいて流れるようなプレーではなかった。この現象は頭と体が空回りしているということだ。プレーも思った以上に右足で蹴れていない。中村俊輔以上に右足のプレーがお粗末だった。左足が一流で右足が二流以下である。右足が二流の選手は左足が超一流でなければ世界では通用しない。それが無理なら右足の練習をするしかない。少しでも右足のプレーを上達させることだ。

 交替は玉田と大久保または、岡崎でよかった。それも後半の初めから使うべきだった。(最近交替は、後半最初からは見たことない。いつも後半押し詰まってからが多い。なぜなんだ)。そして、長谷部よりも、もうひとりの中村を使うべきだった。遠藤と憲剛のダブルボランチと松井と俊輔の攻撃的MFがベストと思っている。そしてサイドバックの養成も急務だ。日本では、世界的なサイドバックは育った歴史がない。むしろ日本人には向いているポジションのように思うのだが。

 これで次戦のバーレーン戦が大変重要になってきた・・・・。今節バーレーンは勝ち点を積み上げた。調子に乗ってきた。日本とは因縁の関係だ。タフな戦いになるのは明白である。であれば、どのようなメンバーで挑むのか、どのような戦いをするのか、監督の指導力が最大限に問われる。止めを刺せる戦術は無いのか、でなければ逆に止めを刺されてしまう。