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10月の3試合の大勝に酔う。しかしながら・・・・(連載第113号)

2009年10月16日

 アジアカップの香港戦、続いてスコットランド、トーゴの強化試合、いずれも大勝利に満足なコメントになる。特にFWの岡崎と森本の得点があったことは大評価したい。岡崎に至っては2度のハットトリックという前代未聞の活躍だった。・・・・・・と言う具合に終わりまで書くわけにいかない。スコットランド、トーゴともにW杯の出場を逃し、ベストメンバーに程遠いチーム編成であったし、長時間の移動を考えたらホームの日本は断然有利だった。

 テレビを見ていても、弱いチームということは歴然だった。特にDFが弱かった。ゲームの入り方も迫力に欠けたチームだった。もっと強いチームと試合がしたいという岡田監督のコメントどおりだった。

 まず第一の試合、アジアカップ予選の香港戦。現在のベストメンバーという布陣での戦いだった。このアジアカップは何としてでも優勝する必要がある。次の次のW杯、つまり2014年大会は南米ブラジル開催。その前年のコンフェデ杯はこの地でW杯テストケースとして実施される。2010年の南ア以上に治安や移動・宿泊が厳しいW杯といわれ、その一年前に体験できることが最大のメリットと言えるのである。一度体験することは、何十回のテストマッチに匹敵する。

 香港のチームは日本との戦い方を誤っていた。もっと引いてゴール前にスペースを作らなければ、日本はあせって空中戦になってくる。それをGKがカバーすれば、日本はだんだんと焦りが増幅して自滅する。こんなシナリオを描けなかった。結果6-0の大勝だった。しかし、監督や選手の言葉の歯切れは悪かった。それは弱い相手に対して完勝とは言えないゲーム展開だった。大久保や松井が決定的なシュートを吹かして外していたし、27本のシュートで6点だった。少なくても8点は取れた。

 次のスコットランド戦は、私の提唱した第二代表のような先発メンバーだった。待ちに待った森本がデビューした。石川も良かった。あのカモシカのような走りは、かつての浦和の岡野の走りを思い起こす。しかしながら石川は岡野よりもシュートがうまい。この第二代表というべきチームの最大の欠点は中村俊輔がいないことだ。彼がいることに見慣れた私たちには、中盤の溜めがないことに汲々する。彼の特徴はキープ力があること以上にタイミングの取り方と味方へのやわらかいスルーパスの供給にある。彼のプレーは都会で生活している人々のオアシスに値する。砂漠にはオアシスが必要である。

 それにしても第二代表も及第点をとった。最後のトーゴ戦は、これらの混在したチームで、テレビ解説者は、この試合のテーマを融合と盛んに謳っていた。私はトーゴ戦の立ち上がりの連続得点に驚嘆しながらも、変な夢を見ることにならないよう自分を戒めたい気分になっている。要するに、こんなに多くの得点を本番で取れる展開には決してならない。W杯はすべてアウェイ、予想外のことが起きる。決して自分たちのサッカーができる状況でないということだ。

 思い起こしてほしい日韓大会のときのフランスやアルゼンチンのチームのことドイツ大会のオランダ、スペインチームのことなど、彼らは実力を出し切れずに散っていった。結論はその時その場でどんなことにでも対応できるタフさが必要ということだ。この日本代表に、そのタフさを要求するのである。

 日本チームの戦術にあるFKやCKの遣り方は、相手チームに暴かれてしまう。日本の戦術は全世界にテレビ配給されている。その対応は簡単だろう。攻撃の早いクロスもすぐに読まれてしまう。なぜならば、つい先だってまで、世界の主たる戦術だったからだ。ヨーロッパでは、アーリークロスは、当たり前だった。現在は速攻というよりか遅攻が主流となってきている。確実に失点を免れてボールをキープし、有利に得点が出来るゲーム展開だ。私は、日本チームの速攻とセットプレーが世界に放映されたこの3試合を由々しきことだと思っている。

 大丈夫、それ以上の戦術があるならば問題ではないだろう。しかし、最後までタフさが要求される。肉体的にも、精神的にも、選手も監督も、そして私たちサポーターにも・・・・・・。