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いよいよ開幕だ(連載第127号)

2010年06月07日

 本日の冒頭にオシム前監督の言葉を引用しておきたい。オシムは最近の著書『考えよ----なぜ日本人はリスクを冒さないのか』の中でこんなことを言っている。「平常心で試合に入れ」。ではどうすれば、それを実行できるだろうか、オシムはこの課題を具現化するための方法もこの著書の中で述べている。そしてまた、今必要なものは「自信」であると述べている。そして、高地では走力が鍵であるとも言っている。オシムが掲げた走るサッカーが重要なのだ。そして、W杯はサプライズがおこるから面白いと言う。しかし、そのサプライズには必ずそれが興り得る根拠があるとも言う。

 日本人はすべてにおいてスピードを上げる必要がある。走るスピード、プレーをするスピード、判断するスピードだ。オシムは続けて言う。そして「リスクを負わない者は勝利を手にすることはできない」と。オシムはW杯以後の日本サッカーにも提言を続けている。彼は、一昨年前に倒れた。しかし、奇跡的に彼の頭脳には損傷が残らなかった。今彼は、最善の言葉で代表をバックアップしている。

 これらは今の代表に贈る言葉としては最善のものでないだろうか。この一週間に様々なことがあった。イングランド戦、コートジボアール戦、と強豪を相手に戦った。結果、日本は負けた。しかし、強豪チームの球際の力の差、スピード、気迫など、日本に欠けたものを知った。この体験は身に着いている。体が覚えている。そして何かをトライしないとドアは抉じ開けることは出来ないことも知った。

 代表は今、キャンプ地のジョージで身も心も休養している。また、フランスとのテストマッチも組み込まれるチャンスもあるという。すばらしいことではないか。強豪チームのスピードと球際の強さ、フィジカルの強さを目の前で体験し、その上平常心で試合に臨めば、初戦のカメルーン戦をものに出来る。そしたら自然に自信が付いていくだろう。その延長線にサプライズがあるのだろう。

 オシムは言う。カメルーン戦は大切だ。しかし、初戦を落とすシナリオも想定しておくことがなお大切だ。日本には無条件に3試合あるのだ。

 まもなく開幕。私は日本戦以外にも楽しみがいっぱいある。開幕戦の南ア対メキシコ戦、2日目のイングランド対アメリカ戦、3日目のセルビアとガーナ、ドイツとオーストラリア、大会4日目の日本対カメルーン戦までに4試合を見なければならない。楽しい楽しい1ヶ月が始まろうとしている。

 先日ブラジルが南アに入った。レソト地区(かつての黒人居住区)で練習を開始した。地元住民が大歓迎をしている。ひっそりとチャーター機で南ア随一の保養地ジョージに入った日本代表とあまりにも対照的だ。ブラジルはどこに行ってもオレ流を貫いている。彼らはタフだ。

 日本代表が模倣から脱却して、日本式のサッカーを築き上げた時にW杯でベスト4が見えてくる。その時日本代表は日本式のオレ流を貫いていることになる。オシムは言い残した。これからも代表監督は日本人だと。