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スリーバック(連載第140号)

2011年06月10日

 キリンカップの2試合をテレビで観戦した。ザッケローニ監督は今回スリーバックを試した。解説者は、さかんにスリーバックの言葉が乱舞する。もともと彼はスリーバックを目標とし、欧州においてスリーバックでチームを改善したことがあった。いつか代表にもスリーバックを試す機会が来ると思っていた。予想以上に早くやってきたわけだ。

 しかしながら、スリーバックは以前にも存在していた。2002年のW杯の日本代表監督のトルシェ監督だ。当時はフラットスリーと呼んでいて、中心にいたのが宮本だった。宮本の動きでチームは前に後に向かった。しかし、その後日本代表は4バックに戻った。私もこの時点の4バックは正解だと思っている。チームとして成長期にあった代表としては、守備を固めて得点するパターンしか勝利は望めなかった。

 やがて、日本にとって念願の両サイドバックが現れた。世界で通用するサイドバックだ。長友も内田もたくましくなって帰ってきた。彼らはスタミナがあった。4バックの底から前線へ駆け込んだ。サイドバックの優れた日本は、サイド攻撃を簡単に仕掛けられる。そして、アジアカップを制覇する。

 ザッケローニ監督は、次に世界へ名乗りを挙げる準備として4バックから3バックへと挑戦したのだ。

 では、それぞれの長所と短所を考えてみたい。明らかにスリーバックは攻撃的だ。最終ラインの守備は3人、中盤の4人とトップ3人が攻撃に出る。両サイドバックはウィングとして高い位置にいる。4バックの時は、せっかく攻めたのに前線の人数が少なくて得点の機会が極端に少なかった。また、高い位置で敵のボールを奪うことも可能になった。高い位置が重要で、そうすれば再度攻撃をかけることができる。分厚い攻撃が展開できる。

 でも今回は、このような短所があった。整理して書き留めておいた。

1.中盤に多くの選手が密集して、パスを多用しても局面を抜け出せなかった。要するに、遠藤→長谷部→内田→本田とパスを回しているが、前線にボールを運べていない。悪いことに最後のパスをまた遠藤に戻して、振り出しにもどった。遠藤はサイドを変えたが、長友もまた同じだった。

2.中盤と前線に人が多く、相手ティフェンスも同様に数があったために、いつものスペース、つまり相手ディフェンスの両サイド奥のスペースが小さかったため、両ウィングのサイドをえぐるクロスは極端に少なく、中盤からの大きなサイドチェンジは一度も成功しなかった。

つまりスペースが無いことが主因であると考えている。限られたスペースに多くの選手がいる。スペースが無いのは当たり前だ。

3.最後に、高い位置の裏にでた一本のパスや早いドリブルで簡単にピンチになることがあった。もし、4バックであれば、下がったサイドバックがファーストタックルをするし、センターバックのカバーをして食い止める。3バックは早い一本の裏へのボールに手が打てない。

 以上が私の見解だ。

 だから3バックを否定しているのではない。3バックが世界ランク10位以内に入るために必要だとも思う。ザッケローニ監督は私が述べた欠点を修復して立ち上がる。負けることが許されないゲームでは4バックで、勝つことが必要なゲームでは3バックで望むことができる日本代表を作ろうとしている。

 私たちのチームは、ほんとうに強くなった。次回のブラジル大会でベスト4になるために、新しいスタートを応援しよう。