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生観戦100試合(連載第141号)

2011年06月17日

 生観戦100試合を達成しました。この世に生を受けて58年、サッカーを知って48年目の達成です。

 その記念すべき試合は6月15日のJリーグセレッソ大阪対横浜Fマリノス戦でした。試合は0-1で横浜の勝利で終わりましたが、記念すべきゲームなのに少し物言いが付いています。今回は、その点を検証しながら書いていこうと思っています。

【ピッチサイドから見たグランドレベル。25番は中村選手】
 【ピッチサイドから見たグランドレベル。25番は中村選手】

 長居の第二競技場の観戦は初めてで、それもピッチサイドの特別席でありました。私は席を用意してくれたN君に感謝し、この日はホームのセレッソの勝利を信じていました。もちろん、久々に中村俊輔や中澤祐二のプレーも楽しみでしたし、セレッソの乾の動向も気がかりだった。乾はベンチ入りもしておらず、うわさのドイツ移籍話の真意が気にかかっています。

【ピッチサイド特別席で隣の席のセレッソサポーターのYさんとIさん。実は同僚の二人。】
 【ピッチサイド特別席で隣の席のセレッソサポーターのYさんとIさん。実は同僚の二人。】

 ゲームは、立ち上がりからハードな上にスピードのある展開で始まりました。いや、これが普通のJ1の試合で、たまたまピッチサイドで見ているので臨場感が直に伝わっているだけなのかもしれません。3メートル先からアタックの様子が伝わってくる。バシッという音が聞こえてくる。芝の匂いが漂ってきます。これがサッカー観戦の醍醐味だ。私は以前W杯日韓大会の時にピッチサイドで観戦する機会があったが、それは一時だけで雰囲気を味会うとまでは行かなかった。今回は観戦客の一人として、じつくり見ることが出来たというわけです。

 ゲームは中盤の中村にボールが集まっていて、マリノスには好都合な展開となっていました。中村のうまいボールさばきでセレッソのDFは翻弄されています。この分では徐々にマリノスペースになってしまい最後に失点した方が負けとなる。そのように思っていた時に失点が起こってしまいました。会場は怒号の嵐と化しています。

 今日のテーマは、これから始まります。この怒号にはセレッソサポーターのさまざまな思いが入り混じっていました。それはレフェリーの判定の問題です。様々なゲームで問われる判定の問題。それをこれから整理していこうと思っています。レフェリーの役目には二通りあると思います。ひとつはジャッジであり、もうひとつは流れを尊重したゲームを作ることです。今回は二つ目の流れを重視したゲーム構成に失敗したと感じています。

【整理①】

 まずゲームの基準となる最初のホイッスルが開始早々吹かれ、セレッソ側にイエローカードが出されました。私は、それほどでもないファウルにどうして、これからが大変なゲームになるかもしれないと思いました。最初のイエローカードの基準が決まりました。それは、それほどでもないのにと思う程度の低いバーでありました。

【整理②】

 退場者がでました。セレッソ側にレッドカードがだされ、それほどでもないのにファウルに一発レッドとなりました。セレッソ攻撃の右サイドで、マリノスDFとの交差があって、立ち上がる時に肘うちがあったと判断されました。私の目の前に近いサイドだったので、そんな具合に見えなかったのですが、レフェリーは、自己判断せずに副審に確認に行きました。そして、副審の肘うちのゼスチャーでレッドカードを出したのです。

 なんの問題もない一シーンですが、これから問題点を列挙します。ただし、今回担当したレフェリーの個人攻撃ではありません。わたしの独り言と思ってください。もし私がレフェリングしていたら、という想定で書きます。

 レフェリーは安易に副審に判断を仰ぐことは避ける必要があります。主審にとって、副審に仰ぐと責任を二分したかの様な錯覚に落ちてしまいます(オレは副審に確認したと言えます)。主審から判断を仰がれた副審は、イエスかノーかの判断しか下すことはできません。

 この場合、副審は詰め寄ってきた選手に対して肘うちイエスの回答を出したのです。これで一発レッドの環境が整いました。私であれば、もともとこのゲームの基準となる最初のイエローカードは慎重に対応します。その上で、このいざこざを些細な接触として扱います。遠めで見ていても、本気かどうかは、一瞬で判断できるはずです。その上で副審に尋ねます。

【問題のシーン、まさにレッドカードが出る瞬間】
 【問題のシーン、まさにレッドカードが出る瞬間】

 それも副審の側まで行って確認します。「今の肘うちは故意かどうか、それは退場に値するのか」と聞きます。肘うちが事実でも、退場までは不要であると応える可能性は高いと思います。その上でイエローカードを出せば、この場は収拾するはずです。(以前話題にしたオレンジカードがあればもっと良いジャッジになると思います)

 一発レッドは切り札であって決して多用する必要はないのです。後日談ですが、このレフェリーは過去にも同じようなジャッジをしていることが解りました。それも2008年の京都と新潟のゲームで、そのときは加藤監督までが退席させられています。

【整理③】

 退場者が出た後もダラダラと時間が推移していました。一発レッドと判断したならば、レフェリーは即刻該当選手をピッチ外へ出す必要があります。抗議とも時間稼ぎともつかない無用の時が流れていました。レフェリーは、その選手の側ではっきりとピッチ外を指差しで示し、退場を促すことが大切です。それがなければ、選手は反対側のタッチまでダラダラと歩いていく次第です。今回の主審は何も示さずダラダラと時が流れました。主審は、退場者がピッチに出るまで、メリハリのある厳しい姿勢が要求されるのです。

【整理④】

 もうひとつ問題点がありました。後半の遅く、マリノスのDFとセレッソの攻撃陣との間で不可抗力な接触があり、マリノスDFが倒れました。これまた私のサイドでしたから、大した接触でないので、立ち上がればと思っていました。ゲームはそのままプレーオンが続きます。しばらくして、ようやく笛が鳴りプレーは止まります。レフェリーは、笛と同時に担架を要請しました。担架と教護が入ります。しかし、もう選手は担架に乗りません。

 レフェリーは選手の側にいません。ボールが止まった地点にいます。またもやダラダラ状態です。担架と救護か手前のタッチラインから外に出ましたが、選手はそのままピッチに残っています。この状態でレフェリーはドロップボールでゲームの再開しようとしています。「なぜ!?」、という怒号がスタンドから上がります。倒れていた選手を一旦退場させる必要があるからです。私たちも一斉に「退場って」合唱です。選手はその声で自らピッチ外に出ることになりました。そして、ドロップボールで再開となります。レフェリーの指導力が試された場面でした。

 もし、私ならば、ゲームは止めることなく、手の平で選手に立てと合図します。それで大抵の場合は、選手は立ち上がりプレーを続けます。選手にとっては何かのきっかけがほしいからです。万一、それでも立てない状況であれば、笛を吹いてプレーを止め、選手の状態を確認します。選手に声をかけて担架を入れるかどうか聞きます(担架入れるよ、一旦退場することになるよ)。この言葉で選手の反応を見ることができるからです。一旦呼んだら担架で退場するまでメリハリのある態度が必要となります。以上が今回の顛末です。

 最後までセレッソファンの怒号が忘れられません。かつて天下をとった時のマリノスのプレーは影を潜めていました。なんとしてでも勝ち点を取って帰りたい思いは伝わりましたが、それがセレッソサポーターには、かえって寂しい思いを残したことでしょう。そんなこんな「生観戦100試合目」でした。

 いよいよオリンピック予選が始まる。また今秋からワールドカップ予選もある。その前にもうひとつのW杯と言われている(私が言っている)日韓戦があり、女子W杯にユース世代のW杯が間じかに迫っている。まだまだ原稿のネタは尽きない。ではまた。