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日本女子サッカーの独り言(連載第147号)

2012年03月10日

[なつかしのシーン・東京本郷の日本サッカーミュージアム]-「西日本にも設置してほしい」 [なつかしのシーン・東京本郷の日本サッカーミュージアム]-「西日本にも設置してほしい」
[なつかしのシーン・東京本郷の日本サッカーミュージアム]-「西日本にも設置してほしい」

 ポルトガルのアルガルベ地方の世界大会が毎年実施されている。なでしこチームが昨年より招待チームであることなど、無頓着であった。JTB時代にもこの地方に行った記憶がない。ポルトガルといえば、リスボンやポルトぐらいだった。

今年はロンドンオリンピック開催年である。例年の大会では味わえない雰囲気が漂う。オリンピック出場を日本によって絶たれたドイツとW杯連覇を阻止されたアメリカにとっては、日本への怨念に近いものもあっただろう。

 しかしながら、日本女子にとっては、絶好の機会であり、ロンドンまでにアメリカやドイツという強豪と戦うことができたことはラッキーだった。そう、アメリカとドイツの二試合がリトマス試験紙のような働きをした。

試合をコントロールした宮間

 まずはアメリカ戦について考える。

 沢の体調不良で宮間の負担が増したが、彼女は堂々と試合をコントロールした。あっぱれ宮間。これで沢の後継者として今後の日本は安泰だ。(この大会でMVP) 彼女の良いところは、ゲーム全体をよく見えること(代表の遠藤のようだ)。そして、キックの精度がスバ抜けて良い。サイドチェンジのロングボールの失敗もない。左右の両足が使える器用人だ。その上パススピードも速くて世界に通じる選手のひとり。ただ、体か小さい。ドイツのように早くからつぶされると宮間といえどもミスがでた。

 結果は、若い選手が活躍してアメリカ戦に勝利したこと、テストケースで新しい選手を使い、アウェーの大会を経験させ、そして勝利をする。三度おいしい体験ができたこと。日本にとっては招かれたパーティーでビンゴを連発しているようだった。

 日本に連敗したアメリカは次の目標が金メダル狙いであることは事実。4月のキリンチャレンジカップでは、日本は敗戦も視野に入れて、調整することもありえるでしょう。あまり手の内をさらけ出さないことが重要だと言える。

決勝で現れた体格差の問題

 問題は、決勝のドイツ戦だった。結果は3-4でロスタイムにやられたわけだが。監督自身が学ぶところの多いゲームだった。私見では後半のメンバーとシステムがベストの布陣だと思っている。なぜ、スタメンからこのメンバーで実施しなかったのか、なんとも分からない。何を試したのか。何を考慮したのか…。

 日本の弱点は大きく2つ。

 攻撃に関しては、パスのスピードと精度が落ちるとドイツ選手のリーチの長さに引っ掛かってしまう。この網にかかるとなかなか抜け出せない。その上、足の遅い(日本人の体格ではリーチの長い欧米人に対抗できない)選手がボールに追いつけそう見えても、コントロールできる体勢にならない。体格差の問題がある。

 守備でいうと、DFの裏にロングボールで放り込まれることが最大の弱点。スピードと体力で押されてしまう。ようするに単純な攻めに弱い。それが続くと徐々に引いてしまうことになる。最終ラインの低い位置が続くと日本の攻撃の良さが成立しない。クリアボールも再度拾われてしまい悪循環となってしまう。

 当たり前だが、高いボールへの対応も弱点である。明らかに体格的に欧米人とのハンデがある。この見た目、明らかなハンデを克服することが最大の課題だ。今回そこを突いてくる相手と戦ったわけだ。だから、最初から体格的に負けないメンバーが必要になる。熊谷や宇津木のセンターバックコンビの安定感を重視する。ドイツにやられた4点目は、若い二人にとって良い経験だった。DFにとってハットトリックされるほど恥ずべきことはない。

今後の沢の起用に注目

 でも、されどタイムアップ直前の3─3は見事であった。サッカーに欠かせないワクワクドキドキ一喜一憂の連続だった。今あえて言うならば、あのままゲームを終わらせる冷静さが必要だった。沢がいたら、どのポジションでタイムアップを見ただろう。日本チームはPK戦にもつれ込む図太さがほしかった。

 私は、一番の収穫は、熊谷と宇津木のプレー、二番は宮間のプレー、三番目にFWの永里と川澄のプレーである。ほんとに楽しい夜半のひと時だった。佐々木監督の次の手は、今回の準優勝を土産に何を練っているのか、帰りの航空機の中で考えていることだろう。沢を次回からどう使うのか、男子W杯フランス大会直前のカズの落選を思い出す。沢も近い将来、次の指導者への道を歩むためにも……。

W杯アジア最終予選で日本はB組

 ブラジルW杯アジア最終予選の組み合わせが発表された。日本はB組でオーストラリア、イラク、ヨルダン、オマーンと同組に入った。A組は韓国、イラン、ウズベキスタン、レバノン、カタール。思ったとおりオーストラリア、イラクと同組になった。イラクの監督はジーコだ。私はA組よりもB組でよかったと思う。オーストラリアの対応は理解し易い。アジアカップの決勝の再現だ。ジーコ率いるイラクについては、日本が背負う運命なのだ。 長い戦いが幕を開ける。選ばれた人たちが何をなすべきか、私たちは見守っていく。