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日本代表を強くする提言~後編~(連載第151号)

2012年04月23日

~なつかしの1シーンから・イタリアペルージャ~
1999年セリエAペルージャ移籍2年目の中田ヒデを探して、ペルージャへ。

左:(簡素なスタジアムの出入り口)右:(あまり豪華とは言えないスタンド席) 
左:(簡素なスタジアムの出入り口)      右:(あまり豪華とは言えないスタンド席)

左:(プレハブのクラブハウスには、数々のトロフィーがあった)右:(ペルージャ旧市街歴史地区)
左:(プレハブのクラブハウスには、数々のトロフィーがあった)   右:(ペルージャ旧市街歴史地区)

 この日、ローマからシエナへ向かう途中に古都ペルージャでランチすることにした。ルートから大きく外れるが、どうしても中田ヒデの姿とペルージャのスタジアムが見たかった。いつもながら、クラブには事前連絡はしない。ノーアポだ。私は、あえてノーアポで行く。事前にアポを取るほうが、いろんな制限が付くし、約束の時間を守る必要がある。こちらが守っても、相手はたいてい遅れる。それならいっそノーアポの方が気楽だ。そして、今まで遠い異国からわざわざ来たサッカー小僧にダメだしするクラブはなかった。だからいつも簡単なお土産を持参する。たいていは、絵葉書やバッジである。このときも日本のバッジをプレゼントしたら、お返しはペルージャクラブのバッジだった。その上、スタンドを自由に見学する許しをもらう。

 残念ながら中田は、練習を終えて帰ってしまったと聞いた。その後、市内の彼のホテルへ向かうが、ここでも会えることはなかった。(※各選手の名前に敬称は省略させて頂いています)

DF(ディフェンス)がチームの要

 ディフェンスが重要である。CB(センターバック)の人材についてもっと重点をおく必要がある。
日本は優秀なMF(ミッドフィールダー)やFW(フォワード)は育つが、世界的に優れたGK(ゴールキーパー)やCBが育たない。原因のひとつに体格差がある。しかし、日本にはバレーボールやバスケットボールの選手に欧米人に引けをとらない大きな選手もいる。必要な人物像を浮きだして、裾野から養成することが重要である。CBは、体格が良く、フィジカルが強固であることは言うまでもないが、特に俊足であることが日本チームには必要だと考える。

 パスサッカーで得点するパターンである日本は、できる限りバックラインを高めに維持していきたい。この場合、相手チームが高めのバックラインの裏にボールを蹴ってきても、誰よりも俊敏にそのボールをコントロールする必要がある。また同時にGKの守備範囲も広くなる。要約すると、GKとCBは背が高く筋骨隆々で足の速い選手であることだ。

CBはパスセンスも持ち合わせていることが重要だ

 私は、CBから前線に一本のスルーパスを一試合何本か通すことが大切であると考える。それは、CBからのロングパスもしかり、CBがドリブルで上がり、前線にパスをする必要性がある。BK(バック)ゆえに最初から相手マークは付かない。よってフリーの状況でドリブルができることが多い。もちろんチームとしての決め事が必要だ。CBが上がった後の守備のカバーや前線との連携である。

 後方からの一本のパスで得点できるチャンスは理想である。それをチームとして実行できるかどうかだ。その上、CBの動きによって本来のMFがもっと多彩な攻撃パターンが可能となる。

 私は、現在の優秀なFWからCBへのコンバートも視野に入れて考えることが近道であると思っている。(外国では、よくあることだ) 例えば、現在の代表で考えると、長谷部を右のサイドバックで使う。(これは二年前から言っているし、ブンデスリーガのヴォルフスブルクではすでに経験済みだ) 長谷部の後に今野を入れて、遠藤とボランチを組む。現在同じガンバで息も合う。
残ったCBにグランパスの闘利王とオランダのチームにいる吉田を当ててはどうだろう。U23代表のグランパスのFW永井のCBへのコンバートはどうだろうか(超特急の異名を持つ俊足)。選択肢はますます広がっていく。

 チームの底が安定すると大敗のない安定感のあるチームができる。これを土台にしたパスサッカーを磨くことで世界に通ずる日本代表を定着させる。

MFやFWについては、シュート力とトラップだ

 MFはどうだろうか、今の代表には世界に通用するMFが育っている。私は特段の改革点を思いつかない。優秀なMFでボールをキープできる、意外性のあるパスが出せることだ。一言で言うとファンタジスタ的なMFだ。選手で言うと中田、中村、小野、松井などをあげたい。ボールをキープできてパスが出せる、ドリブルがうまいということだ。ピッチの中央をドリブルで突破できるMFが魅力だ。

 これからのサッカーはMFもFWもない。常に動いていて流動的だ。そんなMFやFWに必要なことは、トラップがスバ抜けてすばらしいことだ。自分がフリーになるため、シュートを打つため、ドリブルで突破するために何よりも重要なことは、ボールを自在に自分のやり易い位置にコントロールする技===すなわちトラップ力である。ここが、圧倒的に日本人の弱いところだ。このトラップ力の鍛錬が世界征服のスタートと言っても過言でないと思っている。

そして、最後はシュート力だ

 もっともっとシュートを磨くこと。ビデオを百回見て研究すること。シュートの入る位置、蹴り方、タイミングを頭に叩き込む。そして、それをイメージしてひたすらシュート練習である。
日本の武器はパスサッカーだ。全員が動いて滑らかにパスがとおり、最後にゴールインする。この最後に必ず訪れる瞬間。シュートのタイミングを逃すことのない選手を作り出すことだ。一生涯300万発のシュート練習だ。一日500発を一年300日、それを20年間続ける。5歳から初めて25歳で世界に挑戦する名ストライカーを生み出すことだ。

 最後はなんだか精神論になってしまったが、日本代表を強くする独り言だった。