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サッカーの神様!!!!(連載第153号)

2012年05月14日

思い出のシーンから・今から36年前の日本代表とマンチェスターシティとの2試合。 
思い出のシーンから・今から36年前の日本代表とマンチェスターシティとの2試合。

 私は、数多くのゲームをスタジアムへ出かけて観戦していることをお話した。100試合に至っていることもコラムで綴った。この画像の二枚のチケットは、1976年5月21日と28日に東京国立競技場でのマンチェスターシティと日本代表とのダブルヘッダーだ。チケットは、簡単な1色刷りでマンチェスターシチーと記載されていて滑稽だ。Bゾーンで1000円の価格は結構高い。当時首都圏の私の家賃は普通のアパートで一月約2万円ぐらいだった。キックオフの時間の時計まで印刷されている。

 チケットには世相を反映している。しかも一週間空けて2試合している。当時はイングランドリーグもそんなに過密なスケジュールでなかったらしい。きっと練習の合間に東京見物をしていたのだろう。残念なことにゲームの記憶がまったくない。ネットで調べても当時のアーカイブは見当たらない。日本サッカー史の分厚い書籍も行方不明だし、ゲーム結果を書きようがない。情けない話だ。

 今年のプレミアリーグも波乱に満ちて終了した。優勝チームマンチェスターシティを祝してマンチェスターシティのひとり言にしてみた。

44年ぶりの制覇

 後半32節で8勝点差が生じた時は正直このままユナイテッドの連覇だと思った。終盤の残り3試合でのマンチェスターダービーでの勝利が44年ぶりの優勝を決定づけ、最終節での優勝決定という劇的な終結まで演出した。

 両者の比較をしてみた。
 マンチェスターはイングランド北部に位置するロンドンに次ぐ第二の都市で、人口は都市圏で224万人。産業革命以後急激に発展した商業都市である。

 ここに、二大サッカーチームが存在する。ひとつがマンチェスターUでもうひとつがマンチェスターCである。スタジアムは、かの有名なオールドトラフォードはユナイテッドのホーム。私が世界で一番好きなプレーヤーであるジョージ・ベストや最近ではベッカム、現在はルーニーらが活躍している。(好きなプレーヤー世界二はペレ、三はエウゼビオ)

 もう一方はシティのホームで市議会が所有するシティ・オブ・マンチェスタースタジアムで2004年に日本代表がイングランド代表と親善試合をしている。

 監督は、世界に名高い名将ファーガソン70歳(ユナイテッド)と、これまたイタリア人でセリエAでの優勝経験3度の智将マンチーニ47才(シティ)である。

イングランドという伝統な土地にスコットランド人とイタリア人という二人の監督が存在しているわけだ。(イギリスだけは一国一協会ではなく、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド4協会がFIFAに加盟をみとめられている)

運命を分けた決戦 マンチェスターダービー

 4月30日の今シーズン2度目のダービーも、マンチェスターCが制した。今年のダービーマッチはユナイテッドの連敗に終わった。試合後、各紙は監督の采配に対して書きまくった。いずれも老将ファーガソンの選手起用に対する評価が悪かった。サッカーにおいて監督が事前に取るべき采配はひとつしかない。それはシステムを変えるかどうかだ。システムまたはフォーメーションを変えると選手も変える必要が生じてくる。このゲームでユナイテッドは、ルーニーの1トップに変更し、トップ下に朴チソンを起用した。最近ではなかったフォーメーションだ。これが守備を重視したと受け取られたわけだ。

 試合後ファーガソンはすかさず否定したが、負けたあとの言い訳としか取り合ってもらえなかった。

 私は、こう思う。

 サッカーで大切なのはバランスである。チームとしてのバランスである。あきらかに両チームで見るとシティの方がバランスはよかった。トップ下の朴と、かたやシティのシルバではシルバの方がボールを多く触れている。動きが良い。そして何よりも勢いが違っていた。目に見えない勢いがシティのほうがあった。これまでのゲームやこの試合に対する意気込みはシティの方が上だった。

 守ってカウンター攻撃のユナイテッドとボールをキープしてパスで崩していくシティのサッカープランとでは大きな開きがあった。よって勝敗は順当であっただろう。このダービーを制したシティがそのままの勢いを持続して最終節を走り去ったのだ。

 いつもサッカーを見るときの視点が3つある。

 このゲームのレフリングが大変良かった。優勝を左右するダービーマッチのレフリングは緊張の最たるものだ。だがこのレフリーは違った。私は超一流のゲームに超一流のレフリーを見たわけだ。無駄な笛はなく、過度のジェスチャーもない。落ち着いた笑顔を耐えさないジャッジだった。いつも言うサッカールールに記載されない第18条「常識」が働いたジャッジだった。来年は、ルーニーのトップ下に朴の変わりに香川が起用されているかもしれない。

サッカーの神様は、マンチェスターCityに

 私たちは、サッカーの神様を見た。テレビ画面を通して見た。日本時間昨晩から今朝の最終節、残留を掛けていたQPRをロスタイムに逆転した。最後はアグエロ(アルゼンチン代表・マラドーナの娘婿)の逆転ゴールだった。劇的であり、感動的であり、歴史的であり、意外であり、精魂的であり、献身的であり、最後まで諦めない一致団結的であった。これらの言葉すべてを集めても言い表すことができない。

 グランドでのセレモニー、全員が背番号12の新しいユニホームを着て、名将ロベルト・マンチー二の肩にはイタリア国旗が掛かっていた。(背番号12は、サポーターの番号の意)

 今日からしばらくは、マンチェスターシティの市民は大変幸福な日々が続くだろう。歴史に残る名勝負はこれからも語り継がれるだろう。ほんとにすばらしいゲームだった。

36年前と44年ぶりを祝して

 最後に36年前の東京国立の日本代表対マンチェスターシティ戦の歴史と、そのチームが44年ぶりにプレミアリーグ優勝を心から祝福したい。ブラボー・マンチェスターシティ。言葉にならない!!!!!!!