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好スタートを切ったW杯アジア最終予選と欧州選手権開幕(連載第155号)

2012年06月13日

王様ペレが言ったサッカーの聖地「旧ウェンブリースタジアム・ロンドン」
王様ペレが言ったサッカーの聖地「旧ウェンブリースタジアム・ロンドン」。私は1997年に訪問したが、現在では9万人収容の新造ウェンブリーとしてロンドンオリンピックの開幕を待っている。私は古い旧ウェンブリースタジアムが好きだ。

待ちに待ったW杯最終予選

 今月の三試合は大変重要なゲームだったが、中東の二チームをホームで簡単に撃破し、アウェーのオーストラリアと1-1のドローとした日本代表。近年まれに見る好スタートを切った。中東2チームとの戦いは文句のつけようが無いすばらしい勝ち方で、コメントのしようがないが対オーストラリアについては、ここで触れておきたいと思っている。

 まず、私の独り言でもたびたび言っているとおり、日本チームはパスサッカーを攻撃の基本においている。短いパスとサイドを有効に使った流れる攻撃である。そして、忘れてはならないのが、セットプレーである。日本の得点はまさにこの流れるパスサッカーとセットプレーから生まれている。決して強力なセンターフォワードがいて、強烈なシュートで得点するパターンではない。

 これは、今の世界の流儀とも合致している。流れるパスサッカーは、攻撃していくと敵のゴール前、すなわちペナルティーエリアで敵の強烈な防御に出会う。そして弾き飛ばされたボールを再び自分たちのボールにするため、できるだけDFは高い位置でプレーをすることになる。高い位置は、日本にとっては、危険な賭けでもある。一旦ボールを奪われると相手チームに裏を取られる恐れが出てくるからだ。

 オーストラリアの戦術は、日本のようなパスサッカーでなしに、単純に日本の裏へボールを放り込んでくる単純な攻撃だ。その上、オーストラリアは高さに強い選手も多く、この単純な攻撃が日本の弱点と分かっていた。日本は苦労して相手ゴール前までボールを繋いでいくが、オーストラリアは簡単に日本に攻めてくる。この2つの正反対の戦い方であって、両チームとも、相手のやり方を理解している。

 ご承知のとおり結果1-1のドロー。しかも戦い方以前に審判のことが問題視されてしまった。ここはさけて通れない、やはりコメントすることにしょう。

 中東の審判団、特に主審は混乱していた。彼は以前にも同様のPKを取るなど、その采配は疑問視されていた。今回は最初のイエローカードの出し方が問題だった。最初の一枚で、そのゲームの判定基準が決まってしまう。だから、より慎重に最初はジャッジする。これを怠ると何枚もイエローカードを出すことになる。そして、私の口癖であるこの言葉。「人間は、だれにでも良い様に見られたい」。その結果、両チームに同じ罰を与え帳尻を合わせてしまう。こんな癖を持つレフリーだった。

 ロスタイム最後のフリーキックについては、PK以外はレフリーのタイムアップの笛が絶対的で何よりも優先されるのである。しかしながら私としては、サッカールールブックに掲載されていない第18条といわれる名文「常識ある判断」がなかったことが残念だった。あのレフリーたぶん1-1のドローで誰も傷つかない好采配だったと思っていることだろう。彼には18条はない。

ユーロ2012の開幕・白熱するグループリーグ

 ワールドカップよりも戦術とスピード感のある大会と言われるユーロが開幕した。連日深夜のテレビ放送に釘付け状態である。いきなり開幕戦で地元ポーランドとギリシャが1-1のドローだった。あのオランダがデンマークに苦杯を飲まされた。スペイン対イタリアが1-1のドロー、フランス対イングランドも1-1のドローだった。いずれもスピードとテクニックのある好ゲームが続いている。特にイタリアとフランスの復活の兆しが随所に見えた戦い方だった。

 いくつか全体で気のついた点をコメントしたい。ほとんどのチームの主流は、パスサッカーである。これは先に述べた日本代表と同様である。自軍の底からDFはパスサッカーで組み立ててくる。中盤から扇方のように相手のペナルティーエリアを取り囲む。前線の選手がわずかなスペースを動き回り、一瞬の隙間にラストパスを受ける。ボールを取られたら、前線から守備をして必死でボールを取りに行く。

 その上、両サイドが広くワイドに使う。以上、ほとんどのチームがこんな展開だ。そのパターンが一呼吸でも早い、美しいチームがスペインだった。前回4年前のユーロの覇者で、2年前のW杯の覇者でもある。

 そして、大変興味を引くことがある。それは、審判6人制である。この大会で正式にスタートした。ようするに主審、副審2人(ラインズマン)、第四の審判(選手交替やロスタイム表示)、あと2人は、それぞれのゴール裏で、きわどいゴールインを判定する審判である。

 早いシュートだとクロスバーや選手に当たってリバウンドしたボールがゴールインしたか判定できない。前回のW杯南ア大会でも疑惑のゴールがあった。現在はテレビのビデオ再生で審判の誤審はすぐに発見されてしまう。しかし、一度判定したら覆ることはない。今回公式に各ゴール裏にジャッジが付いた。

 私は、グランドホッケーのようにビデオ判定を導入する方法を推奨していた。このビデオ判定については、またの機会でコメントしよう。今回はビデオ判定の前に人の目を増やしてジャッジする試みがスタートした。この試みが定着して、より正しい判定ができることを期待している。

 グループリーグの二試合目が始まっている。次から次とドラマが続く。最後に主要チームのユーロの戦績を紹介したい。

○スペイン
FIFAランク1位 5大会連続9回目の出場。
ユーロ優勝2回(64年、08年)
W杯優勝(10年)
○イタリア
FIFAランク12位 5大会連続8回目の出場。
ユーロ優勝1回(68年)
W杯優勝4回(34年、38年、82年、06年)
○フランス
5大会連続9回目の出場。
ユーロ優勝2回(64年、08年)
W杯優勝(10年)
○イングランド
FIFAランク6位2大会ぶり8回目の出場。
ユーロベスト4(68年、96年)
W杯優勝(66年)
○ドイツ
FIFAランク2位10回連続10回目の出場。
ユーロ優勝3回(72年、80年、96年)
W杯優勝3回(54年、74年、92年)
○オランダ
FIFAランク4位6回連続8回目の出場。
ユーロ優勝(88年)
W杯準優勝(74年、78年、10年)