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疑惑のゴール(連載第156号)

2012年06月21日

1997年に訪問したサッカーの聖地ウェンブリースタジアムでは、スタジアム見学ツアーに参加した。
1997年に訪問したサッカーの聖地ウェンブリースタジアムでは、スタジアム見学ツアーに参加した。

スタジアム見学ツアー

 このツアーは電気カートでスタジアムを回遊する。冒頭カートに乗る直前に担当者から説明を聞く、1966年のW杯での疑惑のゴールが紹介される。このゴールは、イングランド対西ドイツの決勝戦の延長の疑惑のゴールと今なお語り継がれている。英国人のハーストの蹴ったボールがクロスバーをはじいて真下に落ちた。主審は判断できず線審はゴールインを宣告しイングランドは優勝する。当時は、16mmの映写フイルムではっきりと確認出来ない、疑惑は、今なお疑惑のままである。この短編映画を見てからツアーは開始した。

またしても、疑惑のゴールが?

 ハーストの疑惑のゴールから46年後、今回はユーロ2012でも疑惑のゴールが生まれてしまった。開催国ウクライナのDグループの最終戦ウクライナ対イングランド戦で、このゲームで決勝トーナメントへの生き残りをかけた大事な一戦で起こっている。前回のコラムで書いたように、このユーロから審判6人制を採用しているにも関わらず、機能しなかった。やはり人の目は当てにならない。最近W杯南ア大会のイングランド対ドイツ戦で起こってから、なんとかしてゴールインか否かの判定する方法を真剣に模索している。できればビデオ判定に頼らずに出来ないかを試していた。

 問題のシーンは、こうだった。後半ウクライナのFWデビッチが抜けだして、シュートを打ったがイングランドGKハートに当たったボールはそのままゴールに向かって行く。その時イングランドDFテリーが際どいタイミングでボールをかきだしクリアする。ウクライナ陣営はゴールをアピールするが、ゴール横の第六の審判はノーゴールの判定とした。その後繰り返し放映されたビデオは、ゴールインが正しいと判断させられるに足る内容だった。この審判は大一番の仕事をミスったわけだ。

 昨今、ボールの品質向上とシュートの技術力アップで、シュートしたボールがポストの内側に当たって猛スピードで真下に落ちてくる。ゴールインの判定は、主審、副審とも困難な状態が継続されている。その状況下で、審判6人制は救世主のはずだったが、何台も設置したビデオカメラの性能にはかなわなかった。では、これからどうしょうか。当面は、試験的に6人制は、続行するだろうが、ビデオ確認の手法も検討されて行くに違いない。

※ゴールインの図(下図の上から二番目のみがゴールイン)
ゴールインの図

ビデオ判定について考えてみた

 ビデオ判定では、どの様な基準を作ればいいのか、例えば副審がどのタイミングでビデオを再生し、検証し判断するのか、結局は最終的に人間が決断するわけだ。ビデオカメラの角度で判断出来ない場合も出てくるだろう。複数の副審の判断だと異論も出てくる。しかし一番の問題は、ゲームを止めることにある。判定までゲームを止めることになるのか、判定時間をどの様に規定するのか、様々なケースに対応することが出来るだろうか?時間ばかり経過して判断できなければ、観衆は納得しない。その時点でゲームは壊れてしまう。

 ビデオ判定はそのルールづくりに多くの問題があることがわかる。では、最後に電子的に解決することが可能かどうかだ。ボールにICチップを埋め込む、ゴールラインを通過したら判明する仕組みが出来ないだろうか。果たして激しいキックに耐えられるチップが開発できるのか、ゴールラインをボール幅が完全に通過することをセンサーが感知できるのか、技術的な問題が多い。今回を契機に次回W杯ブラジル大会には、よりよい方法を生み出してほしい。

ヨーロッパ遠征なでしこジャパン

 米国に1-4で惨敗、スウェーデンに1-0で勝利し、オリンピック前の自分たちの力量がわかった大事な遠征だった。特に米国戦では、2人FW、ワンバックとモーガンに2点ずつ取られた。いずれも戦法がわかっていたにも関わらず対応仕切れなかった。スピードと力でぐいぐい押してくる相手を止めることができなかった。前にも言ったように、一度米国に負けておくことは良いことだった。相手の力量と自分たちの力量を再確認できたからだ。

 澤の調子は良くなかった。本来の姿に戻ることを切望している。このチームは澤の動きで全員が同調していく。試合で宇津木が故障した。彼女の復帰も重要なポイントだろう。

 いよいよユーロも決勝トーナメントに入る。ドイツかスペインか、この2チームがすごい。