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マラカナンの悲劇(連載第158号)

2012年07月07日

1950年ブラジルW杯のために建設された史上最大のスタジアム20万人収容
1950年ブラジルW杯のために建設された史上最大のスタジアム20万人収容。

マラカナンの悲劇

 画像は改修前のマラカナン競技場だ。公式には199,854人収容した記録があるが、1992年のスタンド落下事故以来9万5千人に改修した。2014年W杯での決勝戦会場として、現在も改修が行われているが、来年開催のコンフェデレーションズカップの会場にもなるため来年2月には完成の予定だ。また、2016年のリオオリンピックの開会式場としても予定されている。

 私は何度かリオデジャネイロを訪問したが、ついにマラカナンに行くことは無かった。何度も周辺をバスで通過した際、その威風堂々とした巨大建築物に威圧された記憶が残る。

 1950年のW杯ブラジル大会でブラジルは悲願の優勝を目指して全国民とともに戦っていた。それまで南米の雄はアルゼンチンだった。不幸にも決勝リーグのウルグアイ戦で1-2の逆転負けをくったのが、このスタジアムである。悲観したブラジル国民の中には自殺した少女もいた。今なおマラカナンの悲劇と言われている。この年の優勝はウルグアイだった。

 あれから64年ぶりに開催される2014年ブラジル大会のメイン会場として、ブラジル国民はマラカナンの悲劇を乗り越えられるのか大変興味を抱いている。このとき、ペレは9歳、15歳でデビューするまでには6年の年月が必要だった。

永遠のライバル

 サッカーの世界では、クラシコという言葉がある。意味は「伝統の一戦」だ。このクラシコに代表される永遠のライバル国が世界に存在する。ブラジルとアルゼンチンもそのひとつだ。(日本と韓国もクラシコにふさわしい一戦だ)

項目 ブラジル アルゼンチン
W杯優勝回数 5回 2回
コパアメリカ優勝 8回 14回
オリンピック優勝 0回 2回
直接対決 38勝 36勝

 南米大陸におけるサッカーの勢力図は、1940年代後半アルゼンチンが圧倒的に優位してスタートした。1958年W杯スウェーデン大会にペレが登場してからは、ブラジルがアルゼンチンを追い越していく。1971年マラカナンのユーゴ戦を最後にペレが引退してから、またアルゼンチンの時代がやってきた。1977年代表デビューしたマラドーナの出現だ。1987年W杯で優勝した際の神の手騒動は記憶に新しい。

 マラドーナとペレ、時代は違っていてもこの二人を比較する人は多い。ズバリどちらが世界一かである。もちろんブラジル人はペレだと言い。ペレは格段上の人として扱う。それに反してアルゼンチンでは、マラドーナという人が多い。私はあえて封印しておく。されどもしも、偶然にこの二人に同時に出くわしたら、私は最初にペレに握手を求めるだろう。

 マラドーナの時代が去って、再度ブラジルが南米の雄として君臨してきた。2002年日韓大会でブラジルチームを何度もアテンドしたが、頭にはアルゼンチンは過去のチームだった。アルゼンチンが敗退し、関西空港から去っていったとき、多くの選手の沈んだ後姿を見送ったことがあった。

 前回のW杯南ア大会でマラドーナが監督として登場したとき、アルゼンチンの復活を期待したが、結果は敗退だった。ブラジルもまた去っていった。時代は新しいサッカーを駆使するスペインの台頭が著しかった。もうブラジル、アルゼンチンではなくてスペイン、ウルグアイといった早いパスサッカーが主流になった。ブラジルの監督はドゥンガだった。先日のテレビで元ブラジル代表のソクラテスがアルゼンチンの監督をドゥンガにして、ブラジル監督をマラドーナにしたら面白い結果になるだろうと冷やかし半分に話していた。今や両者とも代表監督を解任されている。

 忘れてはならないのがアルゼンチンのメッシだろう。大きな大会で彼が母国を救ったことはない。次回のブラジル大会では何か起こるのであろうか。

 ユーロが終った。先日の決勝戦、スペイン国内のテレビ視聴率は83%であった。この驚異的な数値は、ほとんどすべての国民が視聴したことになる。その強さに敬意を表したい。しかし、歴史が語るようにW杯ブラジル大会では何かが起こりそうな予感がする。ブラジル大会であっさりブラジルが優勝することはないだろう。そんな気がしてならない。

速報 FIFAがGLT導入を決定

 この5日、スイスのFIFA評議会でGLT(ゴールラインテクノロジー)の導入が決定した。ゴールラインを入ったかどうかを判定するためにテクノロジーを利用することは以前から検討していた。今回開催されたFIFA評議会で満場一致で決定された。GLTは年末に日本で開催されるクラブ・ワールドカップから導入され、来年ブラジル開催のコンフェデレーションズカップ、2014年W杯でも続けて使用される運びだ。年末のクラブ世界一が楽しみになった。いったい何処の国のシステムとマシーンを使うのだろう。日本製だったら良いのだが、システムトラブルが無い事を祈りたい。