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オリンピック特集 特別な一戦(連載第162号)

2012年08月13日

英国の北部スコットランドの首都 エジンバラは京都府と友好関係だ。
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エジンバラから北へ一時間 全英オープンの開催地 セントアンドリュースは伝統の町
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宝くじは買わないと当たらない

 よく解説者は、シュートを打たないとゴールは生まれないと言う。これは宝くじを買わないと当たらないと言う事と一緒だ。つまり、トライすることが肝心ということだろう。しかし、何度もトライしてダメな場合には、意識はあっても自然とシュートすることが遠ざかってしまう。こんな時は、周りの適格なアドバイスがあれば、新たな気持ちでチャレンジできる。

 サッカー選手、特にFWは、試合前に必ずと言って良いほど、シュートを打って得点したいと言う。しかし、ゲームが始まっても、なかなかシュート出来ない。こんな場合をしばしば見かける。大抵は、相手のプレッシャーがきつかったり、良いボールが来なかったりした場合だ。でも、自分でボールを執拗に追い回し、絶えず良い位置へ動いたりして、積極的に走っていると、必ずシュートを打てるボールがくるのだ。それがメキシコ戦での、大津のゴールやフランス戦での大儀見のゴールだった。

 小さなミスでも出した方が負ける。当たり前かもしれないが、男子メキシコの決勝点は、日本のミスからだった。成長著しいチームは、小さなミスから崩れることは良くある。女子フランスのミスは、パワーサッカーを続けなかったことだ。PKの失敗は、ミスよりも運が悪かった。サッカーの神様は、日本にもう1ゲームの試練を与えた。それぞれの宿命の一戦がオリンピックの終盤に用意されていた。

それぞれの運命の一戦

 女子の宿敵は、アメリカである。一年前のW杯の決勝戦から、約束されていた。日本が避けられない試練の一戦だ。ご承知のとおり、試合の結果は銀メダルだった。アメリカの壁は厚かった。試合はどちらが勝ってもおかしくない展開だった。またしても早い攻撃で二列目からの選手に決められてしまった。

 しかし、なでしこの反撃も見事だった。ディフェンス陣はもっと体を寄せる必要がった。相手の背中と自分のお腹がくっつくほどの必要があった。少なからずシュートにも問題があった。私は、シュートに関してひとつの考えがある。シュートは二アサイドにけるべし。体格で劣る日本選手は、シュートコースを切られるとフォアサイドへシュートを打つ。しかし、リーチの長いGKには容易くはじかれてしまう。それよりもあえて狭いニアサイド、特にGKの足元に早いボールをシュートすることだ。大柄な外国人は足元に弱いし、シュート力のない日本選手が遠いサイドを狙うよりも近いサイドのほうが力強いシュートを打てる。後半の岩淵のシュートも同様だ。GKと一対一の場面でニアサイドの足元を狙うほうがよかった。二アサイドなら入っていた。遠いサイドに蹴って、GKに容易く阻止されている。

 男子の宿敵は、韓国だ。永遠のライバルであり、私の中のW杯だ。ご承知のとおり韓国は、様々な背景から日本をライバル視し、なにがなんでも日本に負けたくない体質だ。今回は竹島問題が絡んでしまった。残念なことだった。私は、決勝トーナメントのグループ別けを見た時から、三位決定戦で当たりたくない相手として考えてしまった。男子もまた、避けて通れない一戦だった。試合の結果はご承知のとおりだ。ミスの出たほうが負ける。

 こういうゲームは根性だというが、実際のところは、いかに冷静にゲームをコントロールできるかだ。そして、球際のボール争いに勝つことだ。韓国は、ファウルが多かった。これをうまく利用すべきだった。ボールをキープするためにドリブルとパスで中央突破を図りファウルを取ることだった。日本は、これまでと同様の布陣でスタートした。そして、韓国の伝統的な攻撃にやられてしまった。最初からわかっていた。でも避けられなかった。若年のメンタル面の弱さも出てしまった。予選突破を一大イベントとしていた。突破してから登っていた山が下りに変わった。

 韓国は中盤を跳び越して日本の裏へ一本のパスとドリブルで決定機を作った。日本はミスが多かったし、当初の勢いは消えてしまった。ただ、唯一の光明は、大津が全試合で光っていたことだ。彼はすぐにでもA代表に入れるべきだ。ロンドンは終った。しかし時代は続く、志を高く持って頂点を目指してほしい。

レベルの高い決勝戦 ブラジルみたいなメキシコ

 予想を反してメキシコが堂々とブラジルを撃破して初めての優勝を勝ち取った。チームは冷静にボールを支配した。ブラジルはまたしても金メダルを取れなかった。これからビデオを何度となく見続ける。メキシコの良いところを日本に取り入れる。もちろん、私の仕事ではない。されどサッカーだから。体格の同じメキシコのサッカーを調べてみたい。これまで大きな大会で決して優勝することはないが、常に顔を出していたメキシコチーム。メキシコの悲願が44年ぶりの優勝となって見事咲き誇った。

メダルの色

 今回のオリンピックでは、28年ぶり、36年ぶり、48年ぶりなどの言葉を聴いた。あるいは、史上初のメダルやソウルオリンピック以来などと長年の苦労が癒されたメダルの成果だった。銀メダルを取った選手がメダルの色が気に入らないと言った。銅メダルの選手がメダル色が金メダルに値すると言った。また、金メダルの選手は、この色に非常に満足していて、日本の皆さんの応援のおかげと言った。メダリスト全員の胸に輝くメダルは七色に輝いて見える。全員誇らしげだった。なでしこジャパンの活躍に日本人の誰もが、銀メダル以上だと高く評価していることだろう。昨年のW杯で優勝し、オリンピックで銀メダルを取った。誇りある準優勝だった。

 私は、メダルの本当の色は、それぞれの選手の4年間の努力とサポートした周辺の人々の力と応援した人々の思いによって何種類にも変化するように思った。次は、ブラジルのリオだ。その前にW杯があり、来年日本も出場するコンフェデがある。