京都新聞社TOP

U-20女子日韓戦・もうひとつのW杯(連載第164号)

2012年09月01日

ソウル郊外の韓流ドラマロケ地はかつてない観光地へ
ソウル郊外の韓流ドラマロケ地はかつてない観光地へ

名物B級グルメの宝庫はソウル市内の屋台から始まる
名物B級グルメの宝庫はソウル市内の屋台から始まる

 オリンピックの三位決定戦、日韓戦の終了後 韓国選手による竹島領土を訴えるカードが世界中に放映された問題。オリンピック憲章に抵触しているかどうかの判断が未だ結論を見ていない。その上、李大統領による天皇陛下に対する発言については、日本人みんなが無礼だと思い、隣国の文化を尊重していない姿勢に憤慨しているし、むしろ残念でならない気持ちだ。

 2002年のW杯日韓大会が成功裏に終了し、日韓両サッカー協会は親しい関係を構築していたし、A代表はその後、ライバルでありながらも着実にW杯に出場しアジアの二大サッカー大国の地位を守っている。そんな中での残念な出来事だった。

 隣国同士ゆえに互いの交流は頻繁に行われているし、音楽界での韓流ブームは元に戻ることは出来ない所まで来ている。

 U-20女子W杯の準々決勝で日本は韓国と当たってしまった。この世代は2年前の世界ユース大会の決勝で当たったことがあり、日本は延長の末のPK戦で敗退してしまう。先月のロンドンオリンピック男子サッカーの三位決定戦の記憶も新しい。マスコミはいろんな背景も織り交ぜて、リベンジの戦いと表していた。結果3-1でヤングなでしこは圧勝してベスト4に進出した。このゲームで感じたことが本日のコラムの肝である。

 ヤングなでしこは、一戦一戦進化し、自分たちのサッカーを強化していった。それは、守備を重点に置きながらも守備の底からパスサッカーで組み立てるサッカースタイルだろう。彼女たちは、たとえ韓国選手に囲まれてもボールをキープしスペースを見つけてパスをつなぐ。そうした技術と体力を持ち合わせていた。

 韓国チームもまた、いつもの速攻とオープンスペースを利用したパスサッカーで日本チームに迫っていた。決してロングボール主体のパワーサッカーではなかった。あきらかに世界一をめざすならば、伝統的な走りのサッカーでは、頂点は取れない。ゴールキーパーから始まるパスサッカーとタイミングよい飛び出しとドリブルで崩す現代サッカーが必要なのだ。

 私は試合後の韓国監督のコメントを探した。ここ最近の韓国内における言動からして不用意な発言が出るのではないかと半信半疑であった。しかしそれを読んである意味感動し、ホッとした気持ちになってしまった。そのコメントを要約して本日の締めとしたい。韓国チームの監督は、日本チームのすばらしさを率直にたたえた。そして韓国チームが将来、フル代表で世界一を目指すならば、この一戦が大変貴重な経験となったことをコメントしている。「日本のプレーを我々もこれから練習で補って生きたい。今回の経験は今後に生きてくる。大きな経験を積んでレベルアップできた」と。