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たかがサッカー、されどサッカー(連載168号)

2012年10月01日

1975年国立でバイエルンと対戦

三ツ沢で1978年ジャパンカップ
(キリンカップの前身)ケルンとタイ代表の一戦で確か奥寺が出ていたと記憶している。
※ドイツブンデスリーガとの観戦は過去に2度体験した。
上の画像は1975年国立でバイエルンと対戦、下の画像は三ツ沢で1978年ジャパンカップ
(キリンカップの前身)ケルンとタイ代表の一戦で確か奥寺が出ていたと記憶している。

かがサッカー、されどサッカー

 私のコラムが、ネットに掲載されてから6年になる。サッカーをテーマにした内容だけで長く続いたことが不思議なくらいだ。「たかがサッカー、されどサッカー」の言葉はずっとコラムのサブタイトルだ。今も時々たかがボール蹴りじゃないかとつぶやく。サッカーが原因で相手国を中傷したり、暴動が起こったり、ラフプレイで試合中熱くなっている観客を見たりする時、たかがボール蹴りじゃないかと心の中でつぶやく。

 1989年、リバプールで試合中の暴動が原因でスタンドが倒壊し96人の犠牲者が出た事件があった。当時警察は、サポーターの過失が原因として処理した。今年9月12日なって真実が判明し警察の都合の良い証言の改ざんだった。先週マンチェスターUとリバプールの試合前に真実TruthとJustice for the 96の人文字がスタンドを埋め尽くす。全員でYou`ll never walk alone を合唱する。リバプールの本拠地での出来事だった。そのピッチに香川の姿があった。

 シーズンを通して地元チームを応援する人々が多い。彼らにとっては、たかがサッカーでなくて生活のすべてだ。人生そのものだろう。

ブンデスリーガ 乾と清武

 先週は、BSテレビでブンデスリーガのニュールンベルグ対フランクフルト戦、セリエAのインテル対シエナ戦そしてプレミアリーグのマンチェスターU対リバプール戦の放送があった。週末三試合をビデオ観戦した。長友や香川についてはまたの機会にして、乾と清武の元セレッソコンビの対戦について述べてみたい。

 乾は私の地元、滋賀県野洲市出身で日本代表にも選ばれたテクニシャンだ。最近は、清武や宇佐美、香川に押されていて日本代表の声が聞こえてこない。そんな乾がようやく花咲いた。現在三試合連続ゴール中である。試合を見てみて感じたことは、ブンデスリーガは荒い、雑なサッカーだと思った。それに対して、乾も清武も丁寧で軟らかいサッカーをする。「剛」に対して「柔」である。ドイツのサッカーは剛であって、日本のサッカーは柔らかい。一言につきる。

 以前、オランダでプレーした小野伸二のパスをビロードパスと表された。なんと滑らかなパスだろう。乾のドリブルはすばらしい、独特のリズムを持っている。清武とは、ためと軟らかさが違う。乾はバルセロナのメッシタイプで清武はレアルマドリードのロナウドタイプだ。清武は、すべてのセットプレーでキッカーを務めている。そして、チーム全得点に絡んでいる。これはすごいことだ。

 乾と清武の二人のプレーは両チームの他の選手と明らかに違っていて、落ち着いたアクセントとなって存在感を与えている。彼らの真似はできない。日本人の新しい選手以外は真似できないだろう。しばらくブンデスリーガでは、日本の若手を狙って代理人が激しく往来することだろう。

 試合中、気になる点が他にもあった。ゴール裏に第五の審判がいる。ユーロで見せた第五の審判制度だ。そして、試合中のイエローカードは通算五枚で次戦の出場資格を失う。これを見ても荒いサッカーだと察しか付く。

 日本が進めるパスサッカーはドイツブンデスリーガになかった。日本サッカーの父 クラマーさんには申し訳ない。つまり、日本のサッカーはすでに彼を超えてしまった。いつの間にか乾も清武も宇佐美もみんなドイツに無いサッカーをしていた。それが今の好調を維持しているに違いない。