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ブラジル戦『勇気を持って』(連載170号)

2012年10月19日

また歴史は繰り返された。
ブラジルとの対戦成績はこれで10戦 0勝3分7負。
オリンピック世代では、マイアミの奇跡があるが、フル代表では未だ奇跡は起こっていない。
また歴史は繰り返された。

完敗だった。

 終ってみたら4失点。先週のフランス戦で自信をつけての戦いだった。立ち上がりは、優勢だった。本田のシュートが入っていたら違った結果になったろう。たらの話はうんざりかも知れないが、ブラジルが日本のスピードに慣れる前に先取点を取っておきたかった。

 ブラジルの特徴はいくつかある。個人のテクニックやフィジカルの強さは言うまでもない。それよりもチームとしては、獲物を狙う狼の群れのような動きをする。ゆっくりとボールを回し、相手が食いつく瞬間にブラジルのスイッチが入る。一旦スイッチが入ったら止められない。シュートまで行ってしまう。ブラジルの強さは、その動きを全員がハイスピードで行うことだ。そこには、個人的な迷いは無い。FWもDFも関係ない。一旦攻撃のスイッチが入れば、全員がまっすぐに攻めてくる。あれよ、あれよと思う間に抜かれてしまう。抜かれた瞬間にシュートが来る。

 久しぶりにセレソンに復帰したカカの動きがよかった。ぴったりとネイマールのそばでフォローしている。ネイマールのテクニックとスピードを生かしながら、自分自身もまた得点している。

 彼らには右も左も無い。前も後も関係ない。自由自在に動き回る。ブラジルにフォーメーションはない。

 ネイマールのPKに驚いた。斜めに位置を取ってスタートし、助走大きく回りこんで正面に移り、GKをにらんでど真ん中に蹴った。左にとんだ川島はピエロ役なのかと思うほど、川島の出番はないPKだった。この様なPKは初めて見た。ショックだった。彼らと日本人とは、DNAからして違うのだろうか。

 では、どうしたら良いのか。彼らのスイッチが入らないように、ボールをコントロールし攻めて攻め抜くことだろう。もちろん中止半端な攻撃では用を足さない。日本のよさはゴール前での細かいパスワークからフリーの選手の飛び出しだろう。そのためには、出来るだけ早くブラジルゴール前にボールを運ぶことだ。今野や吉田が自軍深くボール回しをしているようじゃダメだろう。2つか3つのパスとドリブルで相手ペナルティエリアまで行ける事だ。

 そして、全員が同じ動きを共有できることだ。左サイドの長友と香川に本田が絡む、いつものスタイルではダメだろう。10人が攻め込むことだ。攻めたらシュートまで終らないと反撃を食ってしまう。そんな攻撃が勇気を必要ってことだろう。日本式のスイッチを作ることだ。ブラジル戦でいえば、来年コンフェデレーションズカップで再現できるかもしれない。ザック監督で二試合戦うことができる機会は過去に無い。奇策は次回試される。

 日本式スイッチを作ろうではないか・・・。