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ゲームコントロール(連載第174号)

2012年11月26日

※タイ王国の古都アユタヤの遺跡群。先日タイで開催それたフットサルW杯はブラジルの連覇で終った。タイも日本も決勝トーナメントに進出している。
※タイ王国の古都アユタヤの遺跡群。先日タイで開催それたフットサルW杯はブラジルの連覇で終った。タイも日本も決勝トーナメントに進出している。

Jリーグは終盤が面白い

 毎年11月末になるとJリーグも大詰めとなってくる。先週はJ2の最後の昇格枠をめぐっての戦いがあった。大分が千葉との死闘を制して終了間際の林の得点により1-0で勝ち越した。来期は4年ぶりにJ1に返り咲く。大分勝利の殊勲の林は、千葉を戦力外通告されて大分にやってきた。自分を振ったチームへの恩返しの一蹴りだった。

 一昨日のJ1は、広島がセレッソに大勝し、同時間の仙台が新潟に0-1の惜敗したため初優勝が決まった。広島のFW佐藤寿人の涙が印象深かった。佐藤は日本人得点王だが、日本代表になかなか呼ばれない。先日の欧州遠征で久しぶりに呼ばれたけれどプレーをすることはなかった。彼はサンフレッチェのプレースタイルで生きるタイプであって、フィジカルの強い国際試合では彼の持ち味は発揮することは困難である。そんな皮肉な想いもあったのだろう。

 それから広島の監督は森保監督だ。元日本代表であのドーハ組である。やっと、ドーハ組からJ1優勝を導く監督が誕生したことになる。最近元代表組の監督が解任される原因にS級ライセンスの一部免除があって容易にS級を取得することが悪影響しているとの記事を読んだ。関係ないと思うが名選手が名監督になる保障はない。

 J1に返り咲いた大分の監督は田坂監督だ。元代表でJ開幕組だ。森保も田坂も守備MFで堅実性が持ち味だった。彼らのサッカーは監督の生き様が映し出されている。

ゲームコントロール

 試合中の時の流れ方は、監督と選手では大きく違う。45分ハーフが短く感じるのは選手や監督で違ってくる。私は監督の方が短く感じると思う。もちろん僅差で勝っている場合とか負けている場合でも感じ方は違うだろう。

 選手は試合中、全体を見渡している。全体の流れの中でゲームに強弱をつけペース配分できる選手がいる。遠藤や長谷部がそうだ。遠藤は自分自身の動きにも強弱やリズムをつけてコントロールしている。彼は、過度の喜びや悔しさを顔にださない。それらは彼のコントロールの邪魔であってプラスにならない。

 ゲーム中監督の方が全体を見れていないことがある。もちろん監督の位置にもよるが、なぜならば、監督は好きな場所に移動できないし何よりもプレーできない。ボールをプレーすることがゲームをコントロールするための最低条件である。それでも監督はゲームをコントロールすべく声をだして鼓舞するし、派手なアクションで選手に指示をだす。サッカーは常に動いているから最初の指示が伝わるときには、その行動が意味をなさない場合もある。

 監督のゲームコントロールの最大の行為は、選手交代でしかない。新しい選手に監督の意図を伝えて動かす。自分の分身である。またハーフタイムでのロッカールームのやり取りがドラマにもなるように、短い時間に戦術の変更や体力の回復を努めるわけだ。それでも監督は失点するときに何がしか雰囲気で解ることがある。その反対に選手はプレーをしているから自分たちが失点することがわからない状態でいる。選手は常に大丈夫であると思っている。監督は常に危ないと思っている。

 監督は、先を読むことが求められている。選手は今のプレーに集中している。遠藤やイタリアのピルロは、このふたつを同時に感じることができる貴重な人材だ。そんな選手はまれである。

J2降格チームは

 最終節まで決まらない。ただガンバもヴィッセルもセレッソもヤバイ。2クラブとも降格したら関西のチームは1つだけになってしまう。京都を含めると京阪神がJ2ラインと化す。また来期の昇格争いが激烈になる。日本代表がJ2からになってしまう。いろいろと不都合が重なる。週末まで天国と地獄が続く。

 女子サッカーのクラブ世界一が決まった。フランスのリヨンは強かった。INAC神戸も良かった。なでしこジャパン対フランス代表のゲームの縮図だった。来年はブラジルもメキシコもアメリカ、カナダも参戦してほしい。

いよいよJリーグの終盤、そしてクラブ世界一の戦いが始まる。