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クラブW杯決勝 (連載第176号)

2012年12月17日

ブラジルサンパウロのモルンビースタジアムで何か起こったのか、ブラジルワールドカップの開幕戦候補地でもある。
ブラジルサンパウロのモルンビースタジアムで何か起こったのか、
ブラジルワールドカップの開幕戦候補地でもある。

クラブW杯の全身であるクラブヨーロッパ・南米選手権、トヨタカップ(2001年11月)東京国立競技場のスタッフ証
クラブW杯の全身であるクラブヨーロッパ・南米選手権、トヨタカップ(2001年11月)
東京国立競技場のスタッフ証

クラブW杯決勝

 前項に掲載した画像は、クラブW杯の全身であるヨーロッパ・南米クラブ選手権のスタッフ証でトヨタカップとして毎年冬季に国立競技場で開催されていた。南米のクラブとヨーロッパのクラブが一発勝負で世界一を争う。2001年の大会はバイエルンミュンヘン対ボカジュニアーズだった。1-0でバイエルンが勝利した。私は、W杯日本組織委員会の配慮で本番前の予行演習としてスタジアムで運営を視察することになった。

 2005年から各大陸のチャンピオンがクラブW杯として一堂に会してFIFA主催で開催されている。今だヨーロッパか南米か、どちらかから優勝チームが出ていて、他の地域の力不足を改めて知る機会となってしまう。

 今年は、アフリカ代表のアルアハリ、メキシコのモンテレイ、韓国の蔚山、Jチャンピオンの広島などが参加したが、英国のチェルシーやブラジルのコリンチャンスには到底かなわなかった。こんなに力量が違うW杯ならば、いっそ以前のようにヨーロッパ・南米クラブ選手権に戻したほうが良いのではという意見も出ている。そのとおりかもしれない。南米とヨーロッパのチーム以外はスタジアムの空席が目立っていたし、ゲームの見所も準決勝、決勝以外は薄い。

 決勝の地、横浜はまるでコリンチャンスのホーム、サンパウロのスタジアムのようにサポーターで埋まっていた。1万とも2万ともいわれるサポーターが本国からやってきた。彼らの中には仕事を辞めたり、家や車を売って渡航資金の都合をつけた人もいたと言う。まさにサポーターの鏡だ。

 試合は息詰まる接戦の中、コリンチャンスが1-0で辛くも勝利をもぎ取った。試合の内容はともかく、世界一のチームが必死で敵のボールに仕掛ける姿は異様に感じた。敵のボールを執拗に追廻し、自分のボールを体の全てで前に向ける。体のバランスを崩して倒れても、足を出す。手も出す。ファールとファインプレーすれすれの行為だ。そして、結果1-0で勝った。

 スタンドからは、日本では信じられない発煙筒が焚かれている。まるで海外のサッカー場だ。日本のセキュリティーチェックの甘さも露呈していた。タイムアップ直前のチェルシーの猛反撃が見ごたえがあった。フェルナンド・トーレスのヘッドがオフサイド判定となった。コリンチャンスの監督は、しきりに下がるな、前へ前へと叫んだ。押されていると自然とバツクラインは下がってしまう。結果オフサイドは取れないし、GKのプレーの幅が狭まってしまう。彼らの必死さを見習う必要があるチームは、Jには多いことだろう。

サンパウロで起こった不思議な出来事(ニュース)

 冒頭の画像はコリンチャンスと同じブラジルサンパウロのモルンビースタジアムで、FCサンパウロのホームである。ここで最近不思議な出来事が起こった。詳細は続いて報道されると思うが、事件は次のようだ。

 南米のカップ戦スダメリカーナ杯決勝の第二戦の出来事、ホームのサンパウロとアルゼンチンのテイグレ戦のハーフタイムで後半の試合をアルゼンチン側が拒否し、その結果サンパウロの不戦勝が言い渡された。理由は、ハーフタイムのロッカールームの出来事。ブラジルの警官がロッカールームに流れ込んで選手やスタッフを殴ったということだ。その上拳銃を向けたということで、これ以上のプレーは不可能と判断した監督が拒否したらしい。

 この程度の記事では推測困難であるが、もし事実ならば次回のW杯開催に汚点を残し、FIFAは何らかの制裁を課すだろう。今後の進展を見守りたい。

 世界のサッカーには日本の物差しで計れないことが起こる。今回のクラブW杯のキックオフ直前に不慮の死を遂げた副審の黙祷があった。

GLTの結果は

 FIFAがトライした新システムによるゴールの判定について注意深く観察してみた。ボールに磁気チップを埋め込んだ方式は横浜で実施された。豊田では、カメラ映像の分析だった。決勝の横浜のゴールポストに巻きついた電線が異様だった。何か急場しのぎの感がする。いずれの場合もゴールしたら主審の時計に信号が送られる。果たして無事に稼動しただろうか。微妙な判定がなかっただけにそれぞれの威力が計り知れない。今後この方式の総括を知りたい次第だ。