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高校サッカー選手権 京都橘高校準優勝(連載第181号)

2013年1月19日

※晴れた日の彦根市琵琶湖湖畔
※晴れた日の彦根市琵琶湖湖畔

※彦根藩井伊家の家紋は橘である。
※彦根藩井伊家の家紋は橘である。

京都橘高校というチーム

 私のような年配者にとっては、京都の高校サッカーといえば山城高校や洛北高校しか浮かんでこない。私の高校時代には、両者のほかに京都商業、城南高校、洛南高校などの強豪高校があった。

 京都橘高校は女子高というイメージしかなく2001年共学と同時にサッカー部創部12年で高校サッカーの聖地・国立競技場の決勝にまでたどり着いた。創部当初は洛北に13-0で負けたチームがここまで来たのだ。

 2007年のインターハイ京都府代表、選手権では府準優勝、2008年には選手権京都府優勝で全国大会初出場だった。2010年でもインターハイ京都府準優勝に輝いている。その並々ならぬ努力に敬意を表したい。今後京都橘高校のことは、京都新聞紙上で詳しく紹介されることだろう。きっと多くの人々に名誉ある母校として語り継がれる。

サッカーはイタリア式

 京都橘のサッカースタイルはイタリア式だ。なんと言っても守備が良い。GKを中心に基本4バックのラインディフェンスは、ピンチになるとボランチも吸収して分厚い壁となって相手にまとわり付く。強靭な壁が跳ね返すディフェンスというよりか、網の目のようなディフェンスである。

 私はDF陣が先を読むすぐれた洞察力を持っているチームであると気づいた。相手のパスコースや相手の動きを先読みして網を張っていく。見事な防御だ。ダントツはトップ下の仙頭君で、その動きとプレースタイルはイタリアのピルロだ。常にボールの近くに位置し、前線へとパスを供給する。その優れ技は、落ち着いてボールをキープできるからなせる代物だ。

 彼は相手が二人三人きてもボールを体の反対側において360度回転し新たなパスコースを見つける。そして、軟らかいパスを前線の小屋松君に送る。このパターンでの得点がもっとも多い。彼は自信を持ったプレーができるマンユの香川に匹敵する逸材だ。

 監督もまた彼を信じきっている。まるでイタリア代表のピルロだ。公表されているポジションでは彼ら二人がFWでツートップとなっているが、あきらかに仙頭君が攻撃的ハーフで司令塔の役目も果たしている。小松屋君のワントップに近い。監督は、地力で勝る相手に対して守備重視で望んでいた。ただし期待の得点源はこの二人である。彼らは疲れていた。正月から地元に帰らず関東近辺でキャンプを張っている。半分ケガの状態が続いていた。一週間前の記録的大雪で順延となった。二校優勝という声も聞こえたが一週間ずらした決戦だった。(最初から大会規定で決めてなかったのか不思議だ)

晴天の聖地国立で歴史的な名勝負

 サッカーの神様はどちらに勝利をプレゼントしたのだろうか、ゲームの流れからして橘高校の優勝を確信していた。橘のツートップは充分な休養もあって体調が良い。自分たちのスタイルを守っている。対する鵬翔も一年生FWがのびのびとプレーしている。彼らは国立を楽しんでいるように見える。

 先取点と追加点と橘の良いところがでた。しかし、最後はPKだった。サッカーの神様は、どちらにも微笑まず。PKを選択した。

2-2のドローでPK戦での決着

 結果的に鵬翔は、すべてのPKで勝っている。サッカー関係者はPK戦は時の運と言う。しかし勝つと負けるではPK戦と雖も天国と地獄だ。今後指導者は鵬翔を見習ってPKの練習に力を入れ、グレードを上げる必要がある。

 鵬翔のPKは、とにかく思いっきり蹴ることが主眼だ。キックの技では芝の状態などで正確さを欠く。その上GKに読まれても力で押しこむためには力強いシュートが必要だ。PKに絶対的自信があれば延長戦も怖くは無かろう。

 外したのは、このゲームでも追加点を取った仙頭君だった。サッカーの神様は彼に容易くナンバーワンの称号を与えなかった。きっと、今後の彼のためにサッカーの神様は試練を残したのだろう。選手の心臓の音が伝わってくるPK戦だった。右ポストを叩く鈍感な鉄の音が耳に残っている。

追伸 女子の高校サッカー選手権でも京都精華女子高校がベスト4に入った。
全国的にかつての強豪高が予選で敗退している。新しい勢力図に京都の二校が入った。