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ワールドカップアジア最終予選(連載第195号)

2013年6月5日

※2001年コンフェデレーションズカップ準決勝は日本対オーストラリア戦
※2001年コンフェデレーションズカップ準決勝は日本対オーストラリア戦

※2004年オリンピック壮行試合はU23オーストラリア戦
※2004年オリンピック壮行試合はU23オーストラリア戦

祈る気持ち・・・

 昨夜のオーストラリア戦、祈る気持ちで本田のペナルティキックを見ていた方も多いことだろう。私もその一人だった。この年になって目の前のことに向かって祈ったことはそう何度もあるわけでない。私は完全にお祈りの格好になった。サッカーで唯一ロスタイムのタイムアップがないのがペナルティキックだ。たとえ時間がすぎてもPKが終るまでゲームは続く。ボールをセットする本田にケーヒルが何か言っている。本田はまったく動じていない。そして、ど真ん中に蹴り込んだ。誰もが右か左かで悩むPKを彼はど真ん中を選択する。こんなことが出来るのはカズか釜本さんしかいないと思った。

何が良かったのか・・・

 サッカー観戦で大切な3つのポイントを検証してみよう。第一にチームのことだ。チームは先日のブルガリア戦から本田と岡崎を起用した。システムも4バックに戻している。ザックジャパンにとって彼ら二人は大切な存在だ。その二人が帰ってきた。(前号で本田の復帰を懇願している。)

 第二にスタジアムのことだ。埼玉スタジアムは、ホームである。62000人の大観衆が埋め尽くす。ホームゲームだ。ホームは地の利、人の利そして空気の利が漂っている。この漂うホームの空気が大切なのだ。

 第三はレフェリーだ。前回のアウェー、オーストラリア戦のレフェリーの笛には驚かされた。今回はバーレーンのレフェリーチームだった。彼らのジャッジが見事だった。久しぶりにすばらしいジャッジを見た。その上、PKを採ってくれた。これが前回のレフェリーだったらPKは採ってくれなかっただろう。

あのPKを再検証・・・・

 ハンドの反則はボールが手に当たったことに由来するわけでない。良くこう言う。ボールが手に当たってもハンドではない。手がボールに当たったときはハンドである。つまり故意に手でボールを扱うことを意味している。あの場面で一瞬、故意に手で扱ったがとうかは微妙である。スロービデオでは不用意にボールが手に当たったと見える。つまりハンドでないともいえる。

 しかし、レフェリーは迷わず笛を吹いてPKマークを指した。そしてハンドの反則をした相手にイエローカードを出した。この一連の迷いのないジャッジがロスタイムのペナルティキックの正当性を確立したのだった。その上ここは日本のホームであることだった。後は自ら志願して蹴った本田次第なのだ。

オーストラリアと五分の戦い

 これまでの対戦成績は6勝7負7分。ほぼ五分の成績だ。ワールドカップ予選で見ると勝ったことがなかった。前回のアウェーのドロー、一昨年アジアカップ決勝の延長の勝利などから見てもきわどい戦いになっている。チームの戦術も正反対だ。日本はパスサッカーが基本だがオーストラリアはロングパスで日本の裏をつく単純な攻撃だ。これが意外と日本の弱点なのだ。日本はしばしばバックラインの背後を単純にボールを流され、その折り返しを得点されている。今回もオーストラリアはキックオフ直後からこの戦法で攻めてきた。少しは様子見が正攻法なのに、いきなりボールをケーヒルの頭に向かって放り込む戦術で始まった。

 調子の悪いチームほど得意技でしか攻めることは出来ない。明らかに日本のほうが余裕があった。しかし、なかなか点が取れない。

GKが一番悔しい失点とは・・・

 川島にとってはミスが続いている。GKが一番嫌な失点は二つある。ひとつが、ボールを背後に後逸すること。もうひとつが、ボールが頭上をカブってゴールインされることだ。 多くの選手や解説者が不運なゴールで仕方ないと述べている。まるで彼をかばっている風に見える。その訳はGK川島の弱点をさらけ出すことを嫌っているからだ。しかし、あえて言う。前日のブルガリア戦に続いて彼の弱点が露出した。スピードとジャンプ力か身長があるGK、経験豊富なベテランGKが必要になっている。川島よ、頑張れ。

試合後の渋谷の交差点

 テレビニュースは試合後の渋谷交差点の大群衆をとらえた映像を流している。私は、日本人の礼儀の良さを感じている。(多少の混乱はしかたない)これが某国ならば、大群衆は暴徒化するだろう。何かのスイッチで良くても悪くても社会の不満をぶちまけるだろう。しかし、この国は違った。世界で安全に夜間サッカー観戦できる国は少ない。その上、警察車両の上から機動隊広報マンがマイクで説得している。「日本代表のユニホームを着た多くのサポーターの皆さん。サポーターは背番号12を付けた日本代表です。日本代表は強いだけでなし、フェアプレーでも世界一です。サポーターも日本代表に習い、正しい行動を取りましょう」的な内容だった。なんと粋な計らいだろうか。この国はしっかりと明るい方向に向かっている。

冒頭のチケットは、

 2001年のコンフェデレーションズカップの準決勝は日本とオーストラリアだった。ゲーム半ばでまれに見る集中豪雨で横浜国際は水浸しに陥った。ゴール前のフリーキックを得た日本代表は中田ヒデの直接キックで一点をもぎ取って勝利した。決勝はフランスと対戦して敗れている。コンフェデレーションズカップは各大陸のチャンピオンの集まりであるが、この年オーストラリアはオセアニア地区のチャンピオンとして出てきていた。今はアジア連盟に加入している。

 もう一枚は2004年のオリンピック世代の一戦だ。日本が勝利したと記憶している。今日はただ只、世界最速でW杯本選を決めた喜びの余韻に浸っていたい。