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日本代表にスリーバックは必要か(連載第202号)

2013年7月10日

※今年4月に2年9月の月日と490億円を使って改修したマラカナン競技場(改修前) ※今年4月に2年9月の月日と490億円を使って改修したマラカナン競技場(改修後)
※今年4月に2年9月の月日と490億円を使って改修したマラカナン競技場
(左:改修前、右:改修後、今年のコンフェデ杯決勝戦のTV画面より)

スリーバックを考える

 スリーバックについては以前のコラムでも取り上げたことがある。今回は、もう一歩踏み込んで考えてみたい。世界の一流監督は、どうしても一度はスリーバックを試したいと考えている。ザッケローニ日本代表監督も同様だ。私はその理由は、常に高い位置で攻撃的に機能できるからと考えている。日本代表もしかりだ。だが攻撃的であれば良いが一旦防御に回ると混乱して収拾がつかなくなってしまう。個の技術が高くフィジカルが強いチームには良いかもしれない。まだ発展途上のチームにはリスクが大きいと言わざるを得ない。

 スリーバックは文字通り最終DFを三人で構成する。敵側のワントップまたはツートップをセンターバック二人でマークする。そして、残った一人がカバーする。両サイドバックは中盤の高めで位置し、守備もするが攻撃的なポジションに位置する。

 それに対して現在4バックを組んでいる日本代表は、両サイドバックとセンターバック二人で相手の攻撃を阻止している。守備の時は4人が一列になるラインディフェンスとなり、ラインを上げたり下げたりして対応し、攻撃の時はセンターバックを残してサイドバックはウイングの位置まで駆け上がる。長友が良い例である。この体制はDFが安定していることとサイドバックの急なアタックによる突破を可能にし、比較的弱いチームの正攻法として実施されてきた。よって現在の日本代表も同様である。

 では、もう一度それぞれの長所と短所を考えてみたい。明らかにスリーバックは攻撃的だ。最終ラインの守備は3人、中盤の4人とトップ3人が攻撃に出る。両サイドバックはウイングとして高い位置にいる。4バックの時は、せっかく攻めたのに前線の人数が少なくて得点の機会が極端に少なくなることがあった。また、スリーバックでは高い位置で敵のボールを奪うことも可能になる。高い位置が重要であって、そうすれば再度攻撃をかけることができ、分厚い攻撃が展開できる。  結果ポゼッションサッカーが可能となって真の勝者になりえる。パスサッカーの勝者スペインのサッカーがそれだ。

スリーバックの欠点をいかに克服するか

 スリーバックは攻撃的であるが、全体に前のめりの体制となっている。万一大きなボールをDFの背後に蹴られ、そこを目がけて走りこまれた場合には一瞬でピンチとなってしまう。事実日本代表が失点するパターンである。普通、最終DFとGKの間が広くあいているとき、万一その間を突かれてもGKかDFが走りこんでカバーできるが、日本代表場合は、フィジカルで勝る相手に簡単にゴールを奪われてしまう。W杯最終予選のヨルダン戦や豪戦である。

 最近では対戦が少ない韓国戦も過去同様な失点が多かった。だから敵は単純に日本のDFの裏にボールを放り込んでくる。

 では、どうすれば克服できるだろうか・・。まずは最終DFに背が高くて足の速い人材を必要とする。日本の選手は機敏だけど決して足は速くない。普段の練習から陸上競技のコーチを招聘してダッシュの瞬間スピードを上げる鍛錬が必要である。フィジカルも鍛えることだ。走っていて倒れるようでは体幹が鍛えられていない。中東の選手にはよく足腰のねばりのある選手が見られる。

 それから、DFの背後に簡単にボールを蹴らせない工夫が必要だ。前線や中盤での横パス、バックパスで容易に相手に捕られないことだ。日本の場合、ほとんどが自滅パスから逆襲を食らって失点している。そしてまた、相手との間合いを今よりも半歩縮めることだ。日本は、リーチの長い相手を警戒して相手との間合いが長すぎる。もっと詰めることだ。いつでも飛び込める位置でマークをする。先日のコンフェデ杯決勝のブラジルの守備がお手本である。スペインを自由にさせなかった。

 攻撃ではどうだろうか。スリーバックの利点である味方が程よい距離にいてパスサッカーが容易にできる状態である。だから簡単にパスはつなげることができる。後はペナルティエリアに個の技術と壁パスで突破することだ。スペインのバルセロナのサッカースタイルだ。日本代表はバルセロナをお手本にチームづくりをすればよい。しかしながら日本代表にはイングランドやドイツ、イタリアのチームにしか経験がない。スペインサッカーを常に体験していないのだ。

日本代表にスリーバックは必要だろうか

 前置きはこのくらいにして結論に至ろう。スペインとりわけバルセロナのチームを目指すことは容易くないし時間もない。理想は理想として整理しておこう。現状ではスリーバックは困難だ。幸い日本には優秀なサイドバックが存在する。現在の4バックに磨きをかける。個人の責任において個の力をとりわけアップすることだ。安定したデイフェンスに背の高い足の速いフィジカルの強い選手を発掘することだろう。足はさほど速くないが闘利王のような選手だ。強面で勝気な選手が良い。優秀な外国の選手は皆そうだった。今回の失点の多さを考えると日本人離れしたやんちゃなセンターバックがほしい。