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W杯開催の問題点(連載第208回)

2013年8月19日

※タイ王国の首都バンコク中心街 王宮・エメラルド寺院とチャオプラヤ川の夜景
※タイ王国の首都バンコク中心街 王宮・エメラルド寺院とチャオプラヤ川の夜景

W杯開催の問題点

 2022年のW杯開催問題が再浮上している。この大会は昨年日本が立候補した大会だったが、中東初の呼び声高くカタールで決着した。しかし、ヨーロッパからの反発で白紙になる可能性が出てきた。問題提起は、選手の健康上の問題だ。最近の地球温暖化で熱中症にかかる人が多いことは世界的であるが中東の夏の気温は異常である。40度を超えることは当たり前であるし夜になっても気温はさほど下がらない。カタール協会はスタジアム全体を冷やす構想を話すが具体的な発表に至っていない。最近FIFAのプラッター会長がスタジアムを冷やせても国を冷やすことはできないと述べている。

 W杯は、世界一の大金が動くサッカーのお祭りだ。お祭りは遊びではない。命がけのイベントである。最高のイベントにする必要がある。選手、役員、観客を含めて最高のスチュエーションが求められる。選手の移動、練習会場、キャンプ地、メディア関連地、関連イベント会場、空港設備などを完璧に冷やすことはオイルマネーがあっても不可能だ。開催地を変更せずに開催時期の変更を唱える人も多い。しかし・・・

問題点は次々と

 カタール協会は冬季開催も視野に入れている。しかし、現在の開催期間6-7月は各国ともゆずれない状態にある。その一番の理由は自国でのサッカースケジュールによる。ヨーロッパの大半のプロリーグは6-8月を外して開催されている。例えばイギリスのプレミアリーグは夏後半から春にかけて開催されている。冬季ではダブってしまう。2022年だけスケジュールを変更することは不可能ではないが、数年前から準備が必要で大変な労力とお金がかかってしまう。そして、2023年に元に戻すことも同様な労力を必要とする。

 それほどにサッカーリーグが人々の生活と密着していることを表わしていて、これが私の言うサッカー文化が熟成した国の現状なのである。

 問題点は、まだまだある。FIFAは開催時期の変更をカタール協会から直訴すべきだと言っている。FIFAのシナリオはこうだ。カタール協会から選手の健康上の問題で開催時期を冬季に変更したいと直訴してきたら、理事会にかけて採決にはいることが可能だ。しかし、FIFAが時期の変更を指示した場合は、2022年開催に立候補して負けた国から立候補地の条件変更として問題化、その上再投票に追い込まれる。国によったら訴訟も辞さないという。 FIFAはなんとしても訴訟を起こしてもらいたくない。万一敗訴したら組織自体の崩壊につながりかねないし、他にも訴訟がおこる可能性も潜んでいるからだ。

 今まで多くの問題点をクリアしてきたFIFAにとっては、全員が納得できる手段を見つけ出すことだろう。だがしばらく目の離せない状況には間違いない。

2014のブラジル大会そして

 来年の大会の準備に多額の金が動いていて、多くの国民がサッカーを愛するがW杯開催に反対の意を唱えたブラジル。私たちが知らないブラジルの現状が底辺にあることは事実であろう。

 2018年はロシア大会開催が決定している。私が記憶している大会の順を追ってみよう。
ドーハの悲劇があった大会はアメリカ大会で1994年開催、次がフランス大会、そして、日韓大会へと続く、それからヨーロッパのドイツ大会に戻って前回が南ア大会。来年のブラジル大会、次にロシア大会、そして今回問題のあるカタール大会だ。

中途半端にはならない

 エジプトで再度展開された反政府デモ、続くシリア内戦、トルコへの難民流出、中国艦船による尖閣周辺への越境監視など日本以外でおこる人による社会現象に共通点がある。それは、半端ではないということだ。

 前回のコラムで日本サッカーの中途半端なプレーが敗戦の原因であると言った。世界の動きは半端ではない。日本人が自然と知っている「和」であったり、相手を思わんばかりの控えめな「節操」は世界ではなかなか理解してもらえない。だからと言ってそれを改める事はない。ただ、状況に応じて対応することだろう。

 2022年のカタール開催がご破算になって代替地に再立候補することも冷静に対処すべきた。まぁ、そんな可能性は低いと思うが・・・

最後に

 来月9月7日、アルゼンチンのブエノスアイレスでIOC理事会が開催される。そこで東京オリンピックの当落が判明する。10月のFIFA理事会でカタール開催問題が討議される。 二大スポーツイベントの進路が決定される。