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U-17ワールドカップ 若き96ジャパン(連載第220号)

2013年10月30日

※絵葉書のように撮れた自慢の写真。イングランド西部の保養地バースという町の瀟洒な街角。


※絵葉書のように撮れた自慢の写真。イングランド西部の保養地バースという町の瀟洒な街角。

W杯ブラジル大会北中米カリブ海予選 魔のロスタイム

 私の若いころと違って最近はBSやCSで海外のゲームが身近に見られことがうれしい。 とりわけNHK-BSテレビはリアルタイムにW杯予選を解説付きで放映してくれるし、たとえ見逃しても再放送を組んでくれる。その中の番組の一つにW杯ブラジル大会の大陸予選がある。特に北中米カリブ海の最終節について感慨深い。

 北中米カリブ海からは三チームが本選に出場が出来る。また4位のチームがニュージーランドとのプレーオフに回る。最終節を待つまでもなくアメリカとコスタリカが進出を決めていて、残りは一枠とプレーオフ枠である。最終節の対戦ですべてが決定する。予選優勝候補だったメキシコが最終戦に敗退しホンジュラスに三位の座を引き渡す。結果監督が更迭される事態となる。後はプレーオフ枠か完全敗退であった。

 五位のパナマがプレーオフ枠を狙って最終のアメリカ戦に臨んだ。パナマは最終戦に勝って得失点差での四位、プレーオフ枠を狙っていた。試合もホームの後押しがあって優位に進める。終了間際まで2-1で勝っていた。しかし落とし穴はタイムアップを迎えるロスタイムに潜んでいた。日本がかつて体験したドーハの悲劇そのものであった。ロスタイムにパナマは失点し、たて続けて追加点を取られて2-3でアメリカに敗れた。

 すでに出場を確定しているアメリカにとっては、アウエーの地でもプレッシャーはなかった。泣き崩れるパナマイレブンと驚嘆する国民の姿がクローズアップされていた。結果パナマは敗退した。パナマにとっては、悲劇の一日だった。

 日本代表はその後、最後まで気を抜くことの恐ろしさを知ったのだ。現在のW杯五大会連続出場を勝ち取る基礎となっている。パナマ代表にとっても同様であってほしい。ドーハの悲劇から20年がたってしまった。何と早い年月だろうか・・・。

U-17 W杯、若き日本代表96ジャパン

 1stラウンドのリーグ戦は若き日本代表の独壇場だった。守備から一貫したパスサッカーで徐々にビルドアップしていく形は、なでしこジャパンのスタイルに近い。問題点は第三戦目のチュニジア戦で露見した。パスサッカーはパスの出し手に対して程よくプレッシャーを掛け続けるとボディブローのように効いてくる。パスの出すタイミングが狂い、テンポの良い日本のサッカーが消えていく。このチームは得点よりもボール支配率を高く保ちことに命を受けているように思えてくる。最後の得点機がお粗末だ。

 チュニジアは出し手へのプレッシャーだけでなく、日本の前線のマークもしっかりとしてきた。これは、日本のFWに対して、飛び込まないでじっくりとマークすることで対処した。日本はボールを持たされ攻めあぐむ状態であった。

 その上、彼らの攻撃はカウンターからの速攻で、大きくボールを日本のサイドバックの後ろに蹴りこむシンプルなサッカーだった。フル代表と同じくフィジカルで劣る日本は、この単純な攻撃に弱くたびたび失点をする。幸い日本は終了間際に追いつき、その上逆転までした。これは、相手チームのスタミナ不足によるところで日本の方が走りこんでいたという事だ。

 無敗の一位通過で決勝トーナメントの相手は強豪スウェーデンだった。日本が勝ち続けるためには、試合ごとに成長することであった。その上ラッキーボーイの出現も必要だ。ロンドンオリンピックの時のように・・。

 なぜか驚異のポゼッションサッカーを続けているヤングジャパンは、勝利することは出来なかった。平均身長差12cmというハンデをボール支配率70数パーセントという圧倒的なポゼッションで挑戦していた。しかし結果1-2で決勝トーナメント一回戦を敗退した。

 相手は日本のサッカーを研究している。ボール保持率を高めていても、最終ラインを割らせなければ決定機を作れない。そして、守った上速攻で逆襲すれば日本のゴールを割ることは容易い。たった一本のロングボールで日本守備陣の背後を突いてサイドから攻撃をする。これがスウェーデンの取った戦術だった。

 日本のフル代表も同じようにやられていることがあった。同じウィークポイントなのである。では、日本も守備を中心に引いてサッカーをしたら勝てるだろうか。答えはやってみないと判らない。でも、背の高いフィジカルの強い欧米の選手を相手に引いて守る日本のサッカーが通じるとは思えない。ボールを単純に放り込んでヘッディングでやられるのは目に見えている。

 要するにボール支配率を高く維持しながら決定率を上げること以外方法はなさそうだ。そのために地味ながらも挑戦していかなければならない。東京オリンピックへ向けて・・。

 最後に先日のドイツブンデスリーガでの誤審問題でスポーツ裁判所が審判を下した。 「再試合は認めない」という事だ。誤審は認めても再試合はない。レフェリーの判定に対しては確固たる権威が存在したわけだ。今後もこの問題について追っていきたい。