京都新聞社TOP

イタリア人らしくない監督と日本人らしくない選手(連載第234回)

2014年1月16日

ACミラン本拠地 サンシーロスタジアム

※ACミラン本拠地 サンシーロスタジアム、8万人収容が出来る。何層にも重なる客席、各コーナーにある円筒がらせん階段でスムーズに観客の退出が可能に設計されている。 今年5月のミラノダービーには8万人以上の観客で埋め尽くされるだろう。

本田選手・・

 思ったより早いデビューだった。その上プレーが堂々としていた。左足のダイレクトシュートが右のポストを直撃したシーンは何度もニュース番組で放送されていた。二日遅れでBSでも放送された。もちろんビデオに撮って見ている。

 未明のカップ戦では、こぼれ球に反応して初得点を記録している。プレーもまた堂々としていて、チャンスになるスルーパスも繰り出していた。これで彼を評価するマスメディアも多いことだろう。次戦のベローナ戦が楽しみになってくる。

 一年前は、香川コールだった。現在は彼の出番は少なく、ニュース番組で取り上げるところもめっきりと少なくなってしまった。ただ言えることは、セリエAはイングランドのプレミアよりはスピードは遅く、ドイツのブンデスリーガよりはタフではない。その上、現在のミランは本来の強さを失っていて本田には打ってつけの舞台となっている。いずれのゲームも本田と相手DFには、十分な距離がある。間合いが本田に有利に働いている。その上、日本の選手はダイレクトプレーを得意している。

 体力的に劣る日本人が唯一活路を引き出すのがダイレクトプレーである。昨年のオランダ戦のワンタッチパスの連続と本田のダイレクトシュートで相手を翻弄した。そのシーンがはっきりと証明している。

 本田には、旬な時に得点を重ねてほしい。その内にディフェンスも持ち直してくるだろう。本田の得点がミランの上昇ブームの火付け役となることは間違いない。

長友選手・・

 本田の加入とともに光が当たっているのが長友だ。同じミラノに本拠を置くこの二チーム、本田のいるACミランと長友の所属するインテルである。

 同じスタジアムをホームとしていて、ミランホームの時は、このスタジアムをサンシーロと呼ぶ。反対にインテルホームの時はジュゼッペ・メアッツァと呼ぶ。ちなみにインテルとはインターナショナルの短縮イタリア語である。名前のとおり外人部隊で構成されている。

 長友には本田の加入は刺激にもなるし、頼りにもなる。前節のリーグ戦では今年初得点をマークした。実は二点目も記録していたがオフサイドの判定となってしまった。テレビで見ていると常にゴール前に飛び込む姿が見て取れる。その上、自陣ゴール前まで全力で守備に就く姿も目に付く。彼の持ち味が十分生かされたウィングバックである。彼は右利きだからいつもの左サイドだけでなく、右サイドでも生かされる。左右のサイドバックと左右のウイングとして受け持つポジションも豊富だ。

 ミラノにいる二人の日本人プレーヤーに目が離れない。

ポルトガル代表 クリスチーナ・ロナウド選手・・

 今年のバロンドール賞がロナウドに決定した。三年連続のメッシとフランス代表のリベラを抑えて受賞した。バロンドール賞は、もっとも優れた選手に与えられる現在FIFAで唯一最高峰の賞である。数年前女子の部門で澤選手が受賞している。

 サッカー選手にとっては、この勲章が一番欲しいところで、本田にもチャンスがあるわけだ。ロナウドの圧巻はW杯欧州予選プレーオフ戦でのハットトリックであった。昨シーズンの得点が34ゴールで今シーズンも現在20ゴールを取っている。抜群の身体能力を生かした豪快なゴールが持ち味だ。

 しかしながら彼はW杯での活躍に乏しい。それはアルゼンチン代表のメッシにも言える。彼ら二人のW杯での活躍が今年の目玉になることだろう。

ウルグアイ代表ファルラン選手・・

 W杯で活躍して一躍世界に知れ渡った選手のひとりにファルランがいる。彼がC大阪に移籍してくるという電撃的なニュースが流れた。本当か、ガセネタか、興味津々である。ファルランと柿谷のツートップが実現するのか・・・。久しぶりの大物獲得に関西が沸き立つことだろう。

 彼は元C大阪の森嶋選手に似ていると思っている。そりゃ森嶋よりも大物であるに違いないが、ゴールも狙えるしラストパスも出せる。私は全盛期を過ぎたファルランに心配をしていたが、去年の日本代表とのゲームを見て、その卓越した技量が今なお存在していることに安堵した。中盤からボールをキープして前線の柿谷と二人きりで得点を取れるコンビに成長してほしい。

イタリア人らしくない監督と日本人らしくない選手

 日本人は短期間で自分たちの持ち味を生かす良いグループを築き上げることができる。 しかし反面、チームとしての思いが強すぎるため勝てないときは全員で落ち込む度合いが強い。日本人の学び、表現力は特出している。日本チームが成長させる一番の要因である。国民は誇りに思ってほしい。

 これは日本代表監督ザッケローニの言葉と紹介された。イタリア人らしからぬ監督、ザッケローニ。日本人を冷静に分析し、ジョークらしい言葉も少なく、誠実でおとなしい彼の言葉である。

 その反面に日本人らしからぬ選手の代表がACミラン入りした本田圭祐であろう。背番号10を背負い、ピッチのど真ん中で味方選手にジェスチャーを織り込んで指示確認する姿は日本人の性格をはるかに超えた異次元の世界だ。今日本のふたりの象徴がW杯を目前に動き出している。

(すべてのコラム文中の選手名などには敬称を省略させて頂いています)