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W杯ベスト8への道 〈後篇1〉(連載第238回)

2014年2月14日

スペインバルセロナの闘牛場の絵葉書。スタジアムの原型はこのような闘牛場かコロッセオの様な古代円形競技場であろう。ちなみに闘牛場では日陰の席が高価になっている。高い入場料を払ったけれど最後まで見たためしはない。

※スペインバルセロナの闘牛場の絵葉書。スタジアムの原型はこのような闘牛場かコロッセオの様な古代円形競技場であろう。ちなみに闘牛場では日陰の席が高価になっている。高い入場料を払ったけれど最後まで見たためしはない。

ワールドカップの観客数

 ワールドカップの観客数は1994年のアメリカ大会がトップの356万人を記録している。 この時は24チームの参加国だった。よって試合数も少ない。ドーハの悲劇で日本の本戦出場が叶わなかった大会である。次のフランス大会から参加国は32チームとなっている。

1952年 スペイン大会 210万人
1986年 メキシコ大会 233万人
1990年 イタリア大会 252万人
1994年 アメリカ大会 356万人
1998年 フランス大会 278万人
2002年 日韓大会 278万人
2006年 ドイツ大会 332万人
2010年 南ア大会 320万人
※観客動員数には諸説あって概ね上記に近い数値となっている。

 サッカーワールドカップと夏季オリンピックを比較する人は多いが、どの分野の数値も一桁以上サッカーワールドカップの方が多い。ちなみにTV視聴者ではドイツ大会が延べ320億人で北京オリンピックが延べ47億人である。日本と違って外国ではオリンピックを見る人は少ない。

W杯ベスト8への道 初戦のコートジュボアール

 前回のコラムでいかに初戦が大切かを語った。そんなことは百も承知といわれても仕方ないが特に日本チームには初戦の勝ち点はなくてはならない。なんせチームを和でもって維持する日本式サッカーには追い風がなくてはならないからだ。

 初戦のコートジュボアールを分析してみよう。アフリカ随一と言っていいほど身体能力が高い。MFではマンチェスターシティーのヤヤトーレを司令塔に前線で本田とモスクワのCSKAで一緒だったドゥンビアやドログバがいて、単独で得点能力の高いストライカーがいる。まずは彼らに仕事をさせないようにすることが一番だ。

 吉田よりも違ったタイプのDF森重などを充てたい。徹底的に封じ込めたい。ドログバ一人でも封じ込めば後は今野や吉田でカバーすればよい。ヤヤトーレは細貝が当たれば良い。

 コートジュボアールのDFには穴が多い。アフリカ予選の時もしばしば見られたが、ボールウオッチングするタイプだ。要するにサッカーで一番良くない守備である。ボールだけを見ていて相手選手を見逃してしますことを言う。開始からガンガン攻めて日本のペースにすれば良い。いずれ穴が開く。特に長友の深い位置からのクロスが有効だろう。早いクロスが尚よい。身体的能力の高い相手には飛び込まないで間合いを詰めてコツコツ当たることだ。シンプルな守備と早いパスワークで崩せると信じている。

第二戦のギリシャと最終戦のコロンビア

 ギリシャを侮るなかれ。彼らのプレースタイルは東欧的であり多くの戦手が欧州リーグでプレーしている。中でも中心的なカウグーニス、攻撃的なミトログル、デイミトリオスなどは要注意である。

 日韓大会のベスト16でトルコと当たった日本は、サッカーのうまさに付いて行けず 0-1で敗退した。その時のトルコに似たチームだと思う。あまりデータのないチームだけど普段の日本のサッカーをすれば勝てると思っている。試合巧者のギリシャを負かすプランをザッケローニ監督は練ってくることだろう。

 1stラウンドのリーグ戦の最終戦は強豪コロンビアと当たる。コロンビアにとってブラジル大会はホームに等しい。土壌的にも彼らとブラジルの共通点は多い。試合地がコロンビアに近くサポーターも多くやって来ることだろう。コロンビアのサポーターは熱狂的で有名である。コロンビアチームが日本に負けたらただ事では済まない。お互い無益な争いを無くすためには、最終戦を待たずして両チームが二次ラウンドに勝ち進むことだ。

 もっとも最悪なシナリオは、日本がコロンビアに勝たないと二次ラウンドに進出できない時だ。その時のシナリオも持っておくべきだろう。

 ここに来て日本に取ってはラッキーな一面がある。エースのファルカオが靭帯損傷で間に合わないかもしれない。混戦状態になればどこのチームにも二次ラウンドへのチャンスはあるということだ。コロンビアは強豪だけどW杯での成績は決して良くない。その上エース不在であればなおさらだ。

15歳と18歳は特別緊張もプレッシャーもなかった・・と言う

 冬季オリンピックスノーボードハーフパイプで中学三年生と高校三年生の二人が銀と銅メダルを獲得した。日本中が沸いた一夜だった。そして直後のテレビインタビューで彼らは特別な緊張もプレッシャーはなかったと言った。

 若い彼らはプロ契約をしている。そのプレーは頭脳的で冷静で適応力があってその上、チャレンジ精神に富んでいた。今のサッカー日本代表がもっとも必要としていることである。若さは物おじしない要素を含んでいる。もちろん彼らのコーチが普段からそのような指導をしている事だろう。自由の中にも集中させて育て上げた両親にも敬意を表したい。

 年を重ねてくると自然と見栄や体裁が気にかかってしまう。こんなことをしたら周りから叱責をかうとか、かっこ悪いと思ってしまう。そして殻の中に閉じこもりがちになる。自ずとプレーは小さく創造性のないものになってしまう。もちろんサッカーは相手と接触する団体プレーである。しかし、メッシもネイマールもユース時代から活躍した。日本代表にも若くて生きの良いユースを加えてもらいたい。

ソチ冬季五輪女子ホッケーで誤審か・・

 最後に先日の女子ホッケーロシア対日本戦で感じたことを書こう。これはサッカーにも共通する技術力以外の重要な戦術だ。結果地元で力に勝るロシアが2-1で日本を制した一戦だった。一点をリードされた日本に得点のチャンスが現れた。ビデオ放映では実際パックはロシアのGKの倒れこんだ背中の下からゴールラインを割ってゴールインしていた。レフリーはゴールインを告げず。GKがホールドしたとしてタイムをストップした。

 日本チームは後ほどビデオをもとに申告したが、レフリーはあの時点でノーゴールの判定である。と言い切った。これは誤審でもミスでもない。日本チームにとって重要なのは、疑惑の瞬間にレフリーに抗議しビデオ判定に持ち込むことだろう。要するに後の祭りなのだ。試合中、日本からの抗議のない時点でレフリーの判定が優先される。

 国際試合ではたびたびこのような判断に苦しむことがある。その為に必要なことは選手にレフリーとコミュニケーションをする英語力と積極性を養うことだ。黙って耐えることが美徳ではない。日本チームには、技術力の他にこの英語コミュニケーション力がなかった。なすすべもない完敗だ。もちろん技術力に劣る日本にとってはこれからの課題だろう。 まずはレベルアップだ。

 サッカー日本代表は今や世界で活躍していてコミュニケーション力を保持している。しかし、W杯でいつ起こるかわからないレフリーへの説得のために、かつてアジアカップ本戦で主将宮本恒がマレーのレフリーにPK戦途中でゴールマウスの変更を促したような一流の会話力に磨きをかける必要がある。技術力の他にレフリーとの会話力の重要性を思う。