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各国サッカースタイルの源流 (連載第246回)

2014年3月31日

ブラジルサンバチームの来日ステージ サンバのリズムがブラジルサッカーに欠かせない。
※ブラジルサンバチームの来日ステージ サンバのリズムがブラジルサッカーに欠かせない。

ブラジルサッカーの源流はジンガ

 良く言われる言葉がジンガだ。ジンガはブラジルサッカーの源でもある。そしてサンバのリズム感がブラジル独特の相手を惑わすスタイルになっている。ジンガは人間業でないプレーを引き出しその凄さで圧倒的に相手を翻弄する。現在のブラジルチームではネイマールのプレーが端的である。

 そしてW杯五度の優勝にたどり着くジンガとは、個人技の基礎であるドリブルで表現される。移民の国ブラジルで生まれた卓越したステップのことである。これにサンバのリズム感が加わって見るものを圧倒する。

 過去にも紹介した奴隷船での格闘技の基礎になったカポエラという護身術から生まれる。
あの魔法のステップがジンガである。生まれつきの才能と生活環境に個人の努力がマッチして現在のジンガとなった。ネイマールはボールに触れないで身体を自然と揺らして相手を翻弄する。そして次の瞬間に相手が遅れて揺れに呼応した反対側に相手を置き去りして抜くのである。

 ネイマールのシューズにはオウザジアと刻まれている。これは、何も恐れない、大胆さの意味で彼は何も恐れずにひたすらゴールを狙っている。彼のみならず、セレソンにはジンガが源流に流れている。

スペインサッカーの源流はティキタカ

 ブラジルのジンガに対応してスペインサッカーの場合はティキタカである。ティキタカはスペインリーグのバルセロナのサッカースタイルでもある。スペインのサッカーはポゼッションサッカーで見事なパスワークでゴール前にたどり着く。卓越した技術でボールをワンタッチで回し、相手に捕られることはない。常に味方同士で三角形を形成し常に複数のパスコースを確保する。

 このプレースタイルがティキタカである。現在のスペインサッカーのティキタカの頂点はシャビとイニエスタである。彼らにはパスコースが見えている。日本語でいう「あ・うん」の呼吸である。これはスペインサッカー界の悲願であったW杯の優勝につながった。

 しかし、このプレースタイルは天然のものではない。かれらの努力の賜物である。各クラブの下部組織カンテラ(ユース世代)で教えられているのである。つまり技術よりも頭脳を育てている。考える脳を育てている。ここでは身体能力よりも実行機能、予測の判断、記憶分析に重点を置く。ゲーム中に一瞬の判断で味方の位置を見極めて予測するパスコースを知るために。要するに直感力を磨き上げる訓練だ。

 スペインのサッカーはブラジルのスタイルと真逆なプレースタイルでもある。

私は思う日本サッカーの源流は「ハーモニー」だ。

 ここまでが先日BSテレビでのドキュメント放送での要約に私感を交えた。ジンガとティキタカ、サンバのリズムとあ・うんの直感力の違い。ブラジルとスペイン二大サッカー王国の源流であった。

 では、我ら日本代表のプレースタイルは何だろうか。Jのチームには、ブラジル型のサッカースタイルを取るチームやヨーロッパ型をとるチームがある。しかし、それらは決してジンガやティキタカを代表するに至ってはいない。その理由はこれまで触れたように一日に成し遂げられるものではなく、その上生まれつきのDNAを受け継いでいるわけでもない。

 日本人には日本の真心が備わったプレースタイルの源流を見つけて、それを磨くことが一番大切なことである。今までに何度も言った。日本チームの「和」は優れている。良くも悪くも「和」をもって日本と成す。「和」が成しどける強いチームと「和」が犯してしまうほころびのチームとが共存している。日本社会の根底にあって、常に意識していなくても「和」が強調されている。日本人として生まれ育ってきた以上根底には「和」が自然と身についている。であるならば、それを武器として世界に誇れるサッカースタイルを築きあげる事であろう。

 日本チームのパスサッカーは、流れるハーモニーのように美しい。守備も攻撃もワンランク上の「和」を可能とするならば、W杯でベスト8は容易いであろう。そして世界に日本のハーモニーサッカーを宣言できるだろう。私はこのように信じている。