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運命を託す23人 (連載第251回)

2014年5月12日

W杯期間中、空港の搭乗口は関係者の移動でごった返す。選手は特別動線で直接シップサイドから搭乗する。空港、駅の移動は一番神経を使うところだ。
※W杯期間中、空港の搭乗口は関係者の移動でごった返す。選手は特別動線で直接シップサイドから搭乗する。
空港、駅の移動は一番神経を使うところだ。

ザッケローニ監督の選んだ23人

GK 川島、西川、権田
DF 吉田、今野、伊野波、森重、長友、内田、酒井宏、酒井高
MF 遠藤、長谷部、山口、青山、本田、香川、清武
FW 柿谷、大迫、大久保、岡崎、斉藤

以上が今しがた発表された選手たちである。

 会見冒頭に原技術委員長のあいさつで、みなさんの気持ちを込めて戦っていきたいと述べ、ザッケローニ監督は多くの人々や組織に対して感謝を述べられた。また、同じポジションで同レベルの選手は若い選手を選んだとも言った。

 3月10日時点で私が選んだリストがあるが、第一候補から19名、第二候補から3人が入った。後一名は大久保選手で当時は今Jリーグでの活躍が想定できなかった。サプライズと言えば大久保かもしれない。しかし、きっちり見える形で成果を上げている大久保の選出に異論を唱える人はいないだろう。浪速の暴れん坊がブラジルのピッチで見せてくれたるだろう。

 しかしながら落選した選手は複雑な気持ちであろう。鳥栖の豊田やドイツの細貝、柏の工藤、川崎の中村などの心情を察してやまない。

 今言えることは、私たちはこの決定を尊重しよう。そして、次のステップへ

選考について思う事

 今回の選考について私なりに思うことがある。最初に日本のサッカースタイルを確認しよう。日本は和を基調にした組織的な守備と細かいパスをつなぐ攻撃からなるサッカーである。以前のコラムでハーモニーサッカーと呼ぶ所以だ。長所はいかなる相手に対しても強固な守備と積極的にパスを通して得点を取るチームワークがどこの国よりも優れている。

 その反面短所は引いて守備を取るチームに対してはパス回しが多く最終的にシュートチャンスを見いだせないことがある。大半の失点はその反動である逆襲からくる単純なサッカーにやられてしまっている。

 今回の選考を考えてみると想定範囲であった。それは当然と言ってよいことである。W杯はエキシビションゲームではなく、チャンピオンシップである。見せるサッカーはどうでもよい。勝たなければならない宿命を帯びた4年に一度の大会である。

 よって第一にシステムをいかに理解しているか、そして決められたプレーをいかに上手く出来るかが大切となってくる。日本は組織的な動きによってのみ生かされるチームだからだ。その結果、経験豊富な昨年来戦ってきたチームメイトが中心に選ばれることになる。

 第二にチーム編成で余裕があれば新しい未知なる選手をチョイスできるが、W杯のように長期にロードを組む戦いではコンディションやケガの対応などで、どうしても同じポジションをこなせる第二の選手は不可欠である。この場合いくつかのポジションを重複するプレーヤーがベストであるが、選手の理解度も含めるとスーパースターは乏しい。よって選考はポジションによって複数の選手を選ぶことになる。

 第三に予定のスタメンが機能しない時や早々と失点を食らった場合の選手交代ではっきりと答えを出してくれる選手が必要になってくる。そのような選手は超攻撃的かその反対の超守備的かである。大久保、斉藤が良い例である。

 以上のように考えて行くと自然と今回の選考となってしかるべきなのだ。

 W杯では選手は事前に決められた戦術で動く、冒険は出来ない。どこのチームも事前に相手チームを研究している。その上、気候と空気が違う未知の土地でのゲームである。誰もが100%の力を出し切れるとは言い難い。だからより11人の組織的プレーが重要になってくる。

 今回のチーム編成は日本がW杯常連国になった証しでもあり、ベスト8への宿命を背負った23人でもあるのだ。私は喜んで承認したい。