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ブラジル大会 危ないこと (連載第253回)

2014年5月20日

パラナ川三国合流地点 手前がブラジル、左岸がアルゼンチン、右岸がパラグアイだ。いずれもサッカー強豪国。
※パラナ川三国合流地点 手前がブラジル、左岸がアルゼンチン、右岸がパラグアイだ。いずれもサッカー強豪国。

危ないこと

 かつての仕事柄海外において危険な目に合うことは多かった。多くの旅行中の被害は偶然に遭遇したわけではなく、観察された結果にはまる罠でもあるのだ。だからそのパターンを理解することは予防の第一歩である。

 前回のW杯南ア大会の時も治安の悪さに例を取って大会開催を危ぶむ声もあった。しかし、実際は大きな混乱もなく無事に大会は終了している。もちろん市内の警備を担当する警察の力が大きいことは確かだ。ブラジルも同様であると思っている。むしろ南アよりもマシであると思っていたが、ここに来て少し様子が違っている。

 警察、郵便等の公共機関のストライキを盾に賃金改善を推し進める傾向があるとニュースで報じている。すでに日本戦があるクイアバでは暴徒化した群衆の略奪が横行した。ブラジル各地では反W杯をスローガンにしたデモが繰り広げられている。これは一昨年のコンフェデ大会の時も起こっている。要するにあれから一年経っても何も改善されていないという事だ。

 私たちの脳裏にはサッカー天国のブラジルに起こりえない行為であった。それが再発した。W杯に費やする国家予算1兆1千億円と膨大である。利益を得るのは一部の事業社のみで国民に還元されていない。開催地の12都市の内10都市で50回のデモがあったと言う。FIFAとスポンサーは免税・W杯には金を出すが給料には出せないなどの横断幕が掛けられた。政府とデモ主催者との間で綱引きが始まっている。これからの1ケ月間、ある程度の妥協点は画策されていくと思う。しかし、問題が再熱する可能性を示唆する。

 それはブラジルチームの敗退の時に起こり得るだろう。ブラジルはグループAに属している。クロアチア、メキシコ、カメルーンと同組である。初戦のクロアチア戦がいかに大切か判るような気がする。万一クロアチアに負けでもしたら不運のストーリーが始まるかもしれない。

 ブラジルチームは決勝トーナメントを見据えてベストなコンディションに持って行こうとしている。決勝トーナメント初戦6月28日にA組一位はB組二位と当たる。会場はベロホリゾンテでB組二位はスペインかオランダになるだろう。ここはリオに近く、気候の問題はない。一発勝負でいきなりスペインかオランダと対戦することは、たとえブラジルでもきびしいゲームになるだろう。このゲームにコンディションのピークに持って行こうとすることは理解できる。しかしそれによって初戦の開幕戦を落とすこともあり得るわけだ。

 誰もが思い起こすマラカナンの悲劇は早い段階で起こり得るのだ。ブラジルの快進撃が唯一の平穏への道かもしれない。

旅行者の注意はいろいろあるが・・

 旅行中気を付けることは山ほどある。強盗、ひったくり、詐欺、ぼったくり、交通事故、伝染病など挙げればきりがない。私は旅行者に外務省HPに記載されている渡航注意喚起情報の一読を勧めている。具体例などを挙げてその対策などが掲示されている。

 最近中米であったタクシー誘拐のことを忘れてないだろうか。日本人はすでにW杯に行くこと自体で大金を持っていると思われている。私が以前ブラジルであったことは、横断歩道で信号待ちをしている間にスリにあう人がいた。それもあからさまにポケットに手を突っ込んできた。そして現地の人に聞いたが、車に乗っていて信号待ちで隣に止まった車の窓から金品を要求された。またニュースでリオの海岸では武装集団による観光バスジャックがあった。

 サッカー観戦に行ったときに知人から忠告された。時計、指輪、ネックレスなどを身に付けてはならない。現地に長く住んでいる人でさえ被害にあう。何もわからない旅行者はなおさらだ。サンパウロ州イトウ市にベースキャンプを張る日本チームにも気を付けることがある。練習と言えど自分たちの部屋には貴重品を残して外出しないことだ。貴重品は安全金庫にしまうか、鍵のかかるトランクにしまう。

 飲料水は必ずミネラルウォーターを飲む。当たり前だ。蚊にも刺されないように気を使う。防虫グッズや快眠グッズ、常備薬の持参は当たり前だ。何だか旅行の説明会になってしまった。安全は高い買い物なのだ。最後に海外で気安く日本語で近づいてくる相手には要注意である。しかし、困ったことにブラジルには多くの日系人がいて日本語で話しかけてくれる。彼らの親切は別もんだからくれぐれも混乱しないでほしい。

なでしこジャパンの快進撃

 アジアカップグループリーグでなでしこジャパンは一位抜けしてW杯の出場権を獲得した。みごとな戦いであった。20歳の猶本の中盤は見ごたえがあったが、澤と比べるとまだまだ不足しているところがあった。FWの高瀬や吉良のツートップも大儀見の動きと見比べると大きい開きを感じる。やはり大儀見、川澄、宮間、宇津木、岩清水、海堀らの実力は侮れない。

 その上、今回召集されていない熊谷、近賀らの旧メンバーも健在だ。だから若手には大変ハードルの高いW杯のメンバー選出だろう。滋賀県野洲出身の中島のミドルシュートは見事だった。男子顔負けの鋭いシュートだった。唯一彼女だけは滑り込みセーフでW杯メンバーに食い込むだろう。

 決勝トーナメントの二試合も勝利して優勝してほしいものだ。決勝は日本対オーストラリアの再現だと予想している。さてどうなるか・・・・・・