京都新聞社TOP

日本女性の芯の強さの証明 なでしこアジア王者 (連載第254回)

2014年5月26日

アジアの女性は芯の強さと内面の美しさを持っている。
※アジアの女性は芯の強さと内面の美しさを持っている。

なでしこジャパンアジアナンバー1に

 ワールドカップドイツ大会優勝、オリンピックロンドン大会準優勝そしてアジアカップベトナム大会優勝に輝いた。近年の公式大会での華々しい記録である。世界に類を見ない。
以前その強さの秘密を探ってみたことがある。その基本となるのはサッカーでなくてはならない三つの要素がしっかりとしている事だった。

 その三つの要素とは、別名3Sと言われているもので、スタミナ、スピード、スピリットを意味している。昨晩の決勝のオーストラリア戦ではこの3Sが明らかに際立っていた。初戦を戦っているオーストラリア戦とこのゲームではかなりの違いがあった。ゲームの入り方からしてなでしこは飛ばしていた。それは右サイドの中島と有吉の動きからしてトップスピードで当たっている。捨て身の動きとは中島のタッチライン際のプレーであった。私は彼女の捨て身の動きを学ぶ必要にかられていた。
 その上、テレビのステレオスピーカーから発せられるなでしこたちの声の大きさに後ろを振り返ったぐらいだった。最初から飛ばしすぎと思った。しかし、最初から自分たちのペースを掴む必要があった。初戦立ち上がりは一方的な防戦で先取点を奪われている。その後も得点を取ろうと焦るあまりに逆に反撃を食らって失点していた。だから最初から飛ばす必要があったのだ。

 ゲームは準決勝の中国戦でタイムアップ直前に決勝点を挙げた岩清水の二試合連続ゴール1-0で勝ちきった。スタミナ、スピード、フィジカル、テクニック、スピリット合わせて相手を上回って王者らしい勝利だった。ほんとうにおめでとうと言いたい。そして感動をありがとう。

準決勝の中国戦

 一次リーグを一位抜けした時点で私はツイッターで決勝戦はオーストラリアかとつぶやいていた。準決勝では韓国でも中国でも良かった。この二チームとは当たりたくないのが本音であるが東アジアの頂点では北朝鮮を含めて三カ国との対戦は避けられない。

 前回覇者のオーストラリアはフィジカルとスピードからして決勝まで勝ち進んでくる。
その為には準決勝が大変重要な戦いなると予想していた。案の定中国は手ごわかった。それも単なるフィジカルの問題なくあたりかまわず体で当たってくる格闘技サッカーを展開した。非常に危険なプレーが続いた。普通はラフプレーで最初の時点でイエローカードを示すべきだ。中国チームは予選の時点からこのプレーだったと聞く。要するに彼女らの常套手段なのだ。それを許すことはこの戦法を許容することを意味した。

 準決勝に関してあえて言いたい。このゲームのレフリーは未熟だった。日本のCK。中国ゴール前で宇津木が相手選手にしがみつかれて倒された場面があったがホイッスルは吹かれなかった。後半の中島がハンドの反則を取られたが、あれはハンドの反則にならない場面だった。しかし、レフリーは笛を吹いてPKを取った。整理しておこう。ハンドの反則はボールが手に当たったか、手がボールに当たったかの違いで決定される。中島のハンドは相手キックのボールが中島の手を含んだ体を直撃したのである。あれはハンドではない。

 なでしこはそんな無慈悲なサッカーにおいてもひるむことはなかった。そして、延長の末勝ちきった。まさに正義を貫いた真の王者となった。日本女性の芯の強さを見せてくれた。大会表彰式でなでしこはフェアープレー賞と優勝トロフィーの二冠を取った。この二冠の意味するところは大きい。世界に誇れる二冠なのだ。W杯優勝、オリンピック準優勝、アジア杯優勝とフェアープレー賞。自国を誇れる一夜となった。

もう一つのダービーはレアルマドリードに輝いた

 愛国心とは、忠誠心と祖国愛だという記事を読んだ。忠誠心とはこの国のために戦争に行くことが出来る。祖国愛とは、もう一度この国に生まれてきたい。という事だ。アジアカップのなでしこに愛国心の芽が出た人も多かっただろう。

 週末に注目するダービーマッチがあった。今シーズンの欧州チャンピオンズリーグの決勝でポルトガルのリスボンで開催された。対戦相手はお隣の国スペインリーグのマドリード在籍の二チーム、レアルマドリード対アトレチコマドリードである。このゲームの凄さを日本で例えるとアジアチャンピオンズリーグの決勝戦を韓国のソウルで開催され対戦チームはセレッソ大阪対ガンバ大阪ということになる。本当にまれにみる史上初めての対戦となった。

 結果はご承知のとおり延長戦の末、4-1でレアルマドリードが頂点に着いた。超満員のスタジアムにこだまする歓喜の画面が未明のTV画面に映し出されていた。W杯ブラジル大会直前のワールドカップに匹敵するスポーツイベントが無事に終了した。いよいよ本番が始まる。明日、日本代表はキプロスと強化試合を組む。私はキプロス戦が仮想ギリシャ戦になりうるのだろうか疑問を呈している。