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本番さながら試練のザンビア戦 (連載第258回)

2014年6月8日

不遇のF-1レーサー、アイルトン・セナの墓には今も花束が絶えない。今年はセナ没後20年の節目にあたる。ブラジルにとってはW杯優勝しなければならない所以のひとつだ。ブラジル人にとってセナは永遠のヒーローである。セナの勇気がセレソンを一つにしていると言っても過言でない。逝った翌年の95年にブラジル訪問時に有志で墓参に訪れた。今朝その時の写真が見つかった。
※不遇のF-1レーサー、アイルトン・セナの墓には今も花束が絶えない。今年はセナ没後20年の節目にあたる。ブラジルにとってはW杯優勝しなければならない所以のひとつだ。ブラジル人にとってセナは永遠のヒーローである。セナの勇気がセレソンを一つにしていると言っても過言でない。逝った翌年の95年にブラジル訪問時に有志で墓参に訪れた。今朝その時の写真が見つかった。

まずは世界のサッカーの主流を考えよう

 今一度現代サッカーの動きを確認しよう。守備はゾーンで守るのが主流である。もちろんコーナーキックやフリーキックの場合にマンツーマンで守ることはある。しかし基本は攻撃側のスペースを消してボールの展開をストップさせるゾーンディフェンスである。

 一方攻撃は小さなパス交換の繰り返しで局部的に優位性を高めてスペースを見つけ出し最終的にゴールを奪う。よってダイナミックなサッカーは影をひそめ緻密で早いパスサッカーがもてはやされている。スペインやイタリアが良い例である。日本のサッカーもこの例と同じである。だからディフェンスの奥からパスをつないでビルドアップしていく。今やセンターバックでさえ楯パスを出すし、ドリブルで中盤に駆け上がることだってある。後はその精度と決定力の差が優勝へと導かれるわけだ。

 そして、もうひとつ大切なのはドリブル力である。攻守ががっちりと四つに組む場合に局面を抜け出るドリブル力が必要になってくる。現代サッカーはスモールフィールドと言われる狭い地域でパスサッカーをするため、ドリブルもまた狭い地域を駆け抜けるための技術が要求される。ボールを動かす技とすり抜けるスピードに自分の体のバランスが付いてこなくてはならない。心技一体ということだ。ブラジル、アルゼンチンが良い例だ。

 これに反して一部のアジア、アフリカ諸国ではフィジカルの強さを生かして、大きく前線の裏に蹴り、走りこむサッカー、FWの力量に頼る単発的サッカー、速攻のみに頼るサッカーが見られるが世界の上位には食い込んでいない。唯一ブラジルがパスサッカーにドリブル力そして時には中盤を省略した駆け抜けるサッカーを可能としている。最強のチームと言って過言ではない。

 今度のブラジル大会でどのようなサッカーが展開され新しい世界の主流になるか知ることが私の課題である。

昨日のザンビア戦から見えるもの

 以前日本のサッカーはハーモーニーサッカーだと言った。中盤の底から細かいパスワークでゴール前までつなぐ。その流れるパスはまるで旋律を奏でている様で美しい。後はシュートの精度とフィニッシュだ。最後が悪いとそれまでのハーモーニーは崩れてしまう。その内相手も聞き慣れてしまう。インパクトのある旋律を奏でている間に得点することが大切なのだ。

 最終のザンビア戦はすごい相手だった。強いと言うよりうまいチームだった。日本の選手は鋳物のように強いがアフリカの選手はハガネのようにしなって強い。開始早々からともにトップスピードだった。後半までもつのか、後半勝負と読んだ。

 日本は今回もまた先取点を取られた。ミスといえばそれまでだか、W杯ではミスはそのまま失点につながる。前半で2点失点した。柿谷の動きが付いて行っていない。日本の両サイドの攻撃も鳴りを潜めた感じだ。下を向く選手も見えてきた。

 後半日本は柿谷に代わって大久保が入る。大久保の日焼けした顔が頼もしくて良い。後半怒涛のサッカーが始まる。本田のPKに香川のクロスのゴールイン、森重のあざやかフェイントとセンタリングに本田の滑り込みゴール、そしてロスタイムの大久保のワンタッチボレーへと4点を取って4-3の逆転で勝ちきった。すごい大久保のゴールだった。値千金とはこのことだ。

 大切な強化試合の最後で攻守ともに良いところと修正するところが現れた一戦だった。ワントップの構想にボランチの構想とようやく初戦スタメンの姿が見えてきた。多くの課題が集約されたゲームだった。貴重なゲームだった。

 このゲームの課題は、日本の理想とするハーモーニーサッカーは90分間持続するのは困難だと判った。そんな場合でも強引にゴールを狙うアグレツシュブルなプレーが必要という事だ。体格の差を考えるとより意外性や強引性が求められる。パスワークを重視したこれまでのサッカーは、きれいなゴールを生んできた。しかし、それを上回るパワフルでアグレツシュブルな世界があるのだ。重要な教訓だ。選手はそれを肌で感じ取った。

ロードtoブラジル

 日本を発ったのが29日で本日は7日だ。一週間強の時間が経過した。そろそろ体の変調を感じる期間に入っていく。発熱するもの、体の張りを訴えるもの、コリもでてくる。そしてこの後はメンタルの変調期に入ってくる。

 私が以前のコラムで言ったこと長期間の団体旅行の最初の疲労ピークは一週間直後。日本代表は今ピークに来ている。そして、次のピークは二週間後にやって来る。そう、コートジュボアールの初戦に疲労の二回目のピークがやって来る。

 ブラジルでは休養と息抜きが絶対必要なのだ。これを克服するのは監督、選手、スタッフが一丸となることだろう。毎日の生活リズムをしっかり管理するのは選手個人の役目でもある。ワールドクラスとはサッカーだけでなく自身の生活コントロールが重要なポイントでもあるのだ。

 日本やここアメリカとブラジルキャンプ地を比較して愚痴をこぼしてはならない。ブラジルの方が設備やインフラは劣っていると考えてポジティブに一日を終えてほしい。これからが本番だ。