京都新聞社TOP

日本初陣コートジュボアール戦 (連載第262回)

2014年6月16日

日本代表する古都京都、京都観光には金閣寺は欠かせない。この有名な金閣寺(鹿苑寺)は鎌倉時代に創建され何度となく焼失を繰り返しその都度再建されてきた。日本代表もまたその再建を待たれる。輝きを取り戻すために・・・

※日本代表する古都京都、京都観光には金閣寺は欠かせない。この有名な金閣寺(鹿苑寺)は鎌倉時代に創建され何度となく焼失を繰り返しその都度再建されてきた。日本代表もまたその再建を待たれる。輝きを取り戻すために・・・

女神と悪魔

 サッカーのゲームには必ずと言ってよいほど女神が付いている。女神は努力した選手に微笑み、後ろ盾となってゲームを後押ししてくれる。しかし、女神は気短で努力しない選手にはいつの間にか去っていく、そしてその間隙をぬって悪魔が忍び込んでくるのである。

 私の勝手な戯言と思われるだろうが、昨日の代表の初陣にも女神と悪魔が同居していた。本田のゴールに日本国民はシビレタことだろう。それまでの重狂しい雰囲気に閉口していたが彼のゴールで大きく深呼吸をすることができた。一息ついた。先取点は日本が一番ほしい父の日のプレゼントだった。

日本が勝てるシナリオは

 日本がコートジュボアールに勝つためのシナリオは二つあった。一つ目は、普段通りのパスサッカーを繰り返し実行すること。普段通りとは、左サイドでいうと本田、香川、長友が距離感の良い三角形を形成し小さなパス交換で相手の裏を突く。そのタイミングで右サイドから岡崎、大迫そして後方からボランチの一人が走りこむという攻撃である。つまり私が日ごろから言っている流れるパスサッカー、ハーモニーサッカーを実行することだった。

 もう一つは、本田の先取点の後に早い時間に追加点を取ることだった。しかし二点目は取れなかったし、普段通りのサッカーもまた出せなかった。大迫がシュートらしいシュートも打てず。香川は流れるパスを出せないどころか何度も相手に奪われた。岡崎もまた効果的な飛び出しは皆無だった。

 日本はこの二つのシナリオを実演することはなかった。そして、負けた。新聞には惜敗と書かれるだろうが私は完敗に見えた。

ドログバの登場

 レシフェは湿度の高い熱帯特有の雨が降っていた。日本戦の前のマナウスのゲームでイタリアがイングランドに2-1で勝利した。ここもまた消耗戦だった。平均年齢の高かったイタリアが若いイングランドを打ち負かした。試合中足がつった選手はイングランドの方が多数出た。このゲーム同様に日本戦も後半勝負だった。

 両チームとも体力の消耗が激しかった。そんな時にコートジュボアールは温存していたドログバが出てきた。予定通りだろう。彼はスタメンに名を連ねず途中からの登場となった。これは効果的だった。スタンドで応援する人々、母国でテレビ画面に食入る人々、一国のみならずアフリカ全土の声援を背に受けた最優秀選手は偉大だった。チームはのびのびとプレーを再開した。

 ワールドカップのような世界的規模のゲームには英雄は欠かせない。かつてはペレやエウゼビオ、ベッケンバウアーにクライフ、ミュラーにマラドーナ、現在はメッシにネイマールといった具合だ。残念ながら彼らのような選手は日本にはいない。その差は大きかった。中盤でも前線でも彼の動きは説得力があった。

日本の負けパターン

 日本の負けパターンはこのケースだった。DFラインが下がってゴールと相手の間が比較的狭く、そのエリアに早いクロスを入れられることだ。体格的に勝る相手に先手を取られる時はいつもやられている。何度やってもゴールを取られる。瞬発力とフィジカルに勝る相手に対してとってはならない守備的陣形だ。文字通り立て続けに同じパターンで二失点してしまう。万事休すだった。試合後いつものように長谷部のコメントがあった。自分たちのサッカーが出来なかったこと、次に向かって気持ちを入れ替える。次戦まで時間があるので修正して行く。と言う内容だった。

 しかし、ここはレシフェである。また何時間もかけてイトゥへ引き換えし、休む時間も十分でないまま次のべニュー地ナタウへ再移動となる。実際のイトゥでの修正時間は一日程度だろう。

 次戦の相手、ギリシャもコロンビアに負けた。負け同士の再起をかけたゲームになる。ギリシャのベースキャンプ地は移動の少ないレシフェの南方で海岸線沿いだ。距離にしたら日本の五分の一以下だ。圧倒的にギリシャが有利だ。日本首脳陣は初戦に合わせたトレーニングから頭を切り替える必要がある。移動に際して選手は極力休み、監督コーチは頭をフルに使うことだろう。

 初戦敗戦のシナリオをかねてから描けていれば、イトウに戻らずナタウへ移動する案もあっただろう。そしたら、まる四日は時間が取れる。再起を図るには十分ではないがチャンスは広がる。イトゥに戻れば、まともに一日しか時間が取れない。W杯ドイツ大会のオーストラリア戦がよぎってきた後半39分から立て続けに三点取られて負けたゲームだ。

 ナタウの次は内陸部のクイアバとなる。コロンビアが相手だ。もうこれ以上は止そう。悲観的になってもしかたない。本田の先取点が何よりの清涼剤だった。次は負けても良い。しかし、自分たちの納得のいくゲームをやってほしい。女神に見放されることのように、悪魔の時間を絶つように・・・・