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アジアオリンピック (連載第279回)

平成26年9月26日

チェコの首都プラハの旧市街地にある市庁舎前広場。観光の中心地。

※チェコの首都プラハの旧市街地にある市庁舎前広場。観光の中心地。

アジア大会

 東南アジアではアジア大会をアジアオリンピックと呼ぶ。そのアジアオリンピックは日本競泳陣や柔道陣の活躍でメダルラッシュだ。とは言っても中国に大差をつけられて第二位の位置に甘んじている。これからレスリング、フィールド、球技等決勝種目が始まると日本の金メダル大量獲得に期待が込められる。

 そのアジア大会であるが、韓国側の運営状況の評判が良くない。不可解な風向きを指摘されたバドミントン会場の空調設備や食中毒直前で食い止めた選手用弁当、停電などだ。その上選手村の施設が安っぽくて快適とは言い難いと言われる。選手村エレベーターの故障で22階まで階段で上り下りしたのがサッカー日本代表チームだった。

 大会組織委員会のエキスキューズが資金不足に起因しているかのようだ。それでは、最初から開催を受けなければ良いではないか。四年前には想定もしていない資金不足なのだろうか。オリンピックと違ってアジア大会では国の援助も期待できないだろうし、仁川市の予算からしてかなり無理をして実行しているのではないだろうか。その上、チケットが売れていない。先日の女子サッカーの試合では数万人の会場に数百人の観衆だった。サッカーは韓国戦以外ガラガラの状態だ。これではがんばっている選手に申し訳ないではないか。チケット販売は人気チームとそれ以外を抱き合わせて販売するなど工夫も必要だし、地元動員も必要だろう。

 これは、対岸の火事ではない。二年後のリオ五輪、六年後の東京オリンピックでもありうることである。気象変動が著しく経済状況の予測も困難な昨今、数年後の状況は予測不可能だろう。かつては大規模イベントの招致が経済上昇の起爆剤となったが、今は経済衰退のスイッチになっている。本質的な問題を解決せずして小手先で大規模大会の実現はできなくなっている。

地方の衰退

 最近の新聞で原発事故の際に県境越えての避難先確保の調整が難航し、避難先策定も30%は不成立である。その上渋滞状況を組したものになるとその割合はもっと悪くなる。そんな記事を読んだ。かつて、ふるさと創生一億円と銘打って政府が地方自治体に一億円を交付した。一億円で金塊を買ってそれを観光誘致の呼び水にした地方の町があった。その後観光客は定着しただろうか。今はその金塊はどうなっているのだろうか。むしろあの時よりも値上がっているのだろうか。一億円を一部にハコモノ行政に邁進した地方都市もあった。大半が事業の失敗や維持コストの問題で続いてはいない。

 今度も何か地方創生と銘打って知恵を出すようだ。ふるさと納税制度のような納税と地方産品の引換は本末転倒である。時を同じくして今年の路線価が発表となった。大都市は値上がり、地方は下がった。都市も地方も空家が目立っている。都市の空家は核家族化の終末だろう。地方のそれは過疎そのものだ。

 先日消滅の危機にさらされている地方を立て直すために「まち・ひと・しごと創生本部」が発足した。国土交通省のグランドデザインによれば2050年には、現時点で人が住んでいる地点の63%で人口が半分以下に減る。少子化や人口減少をただちに止める秘策はない。今問われているのは一時的な景気浮揚策でなく、人口減少や高齢化に耐えうる社会への作り替えだ。現状の市町村の線引きを乗り越えて拠点都市と役割分担してネットワークを構築することが必要だ。(一部ネット記事からの掲載)

 以前仕事柄、県境を超えたネットワークの最たるものが広域観光だと訴えたことがある。今すぐ行政マンが独自の人脈を県外に築くことだ。しかし、これをやる人材がいなかった。

 若者の雇用が最重要課題。美しい景観や伝統文化の掘り起こし、街の魅力を高めることはもちろんだが、最重要ポイントは若者が働きたくなる職場の創出。安定した仕事がないと若者は定着できない。企業誘致だけでなく、起業支援や地域ブランドの育成も不可欠。第二は市街地の「にぎわい」づくり。街に活気や刺激がなくては若い世代は引き付けられない。これは以前ネット記事からコラムにも掲載したことがある。

 まさにJリーグの観客を呼ぶのと同じである。若者が定着する魅力あるチームづくりとまちづくりは共通点が多い。

パレスチナ戦

 アジア大会に戻そう。日本代表の決勝トーナメント初戦はパレスチナが相手だった。パレスチナは1998年にAFCに入会している。日本との対戦は初めてだ。地理的にたどれば過去1973年を皮切りにイスラエルとは7回あたっていて日本は全敗している。少し心配していたが結果4-0で無事にベスト8へ進出した。次はベスト4をかけた韓国戦だ。これは厳しい戦いだろう。若い彼らには良い経験となる。だから思い切り戦って欲しい。私は日韓戦を第二のW杯と名づけている。

 大事なことは、つまらない横パスを相手に取られないこと。後ろ向きのパスではなしに前に向かって縦パスを出すこと。クロスを早めに上げて高い地点で勝負するなどである。守備は、相手を怖がらずに自分から仕掛け、球際は絶対に負けないと自信を持つことだろう。それに最終DFの裏へのボールをはっきりとクリアすること。なでしことともに決勝戦まで勝ち抜いてほしい。