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アジアオリンピック2 (連載第280回)

平成26年10月2日

パリの凱旋門の夕暮れ時、角度を変えて撮ってみた。

※パリの凱旋門の夕暮れ時、角度を変えて撮ってみた。

なでしこジャパンの決勝戦

 下馬評どおり決勝戦は北朝鮮と当たった。この試合も観客不在で閑散としたスタンドだろうかと心配していた。それ以上に韓国サポーターが北朝鮮を応援することがありうるだろうか。ゲーム以外にも気になる点が多い決勝戦だった。

 私の試合前のスタメンは次のとおりだ。
GK海堀、DF岩清水、長船、羽座、有吉 MF宮間、坂口、川澄、木龍 FW高瀬、増矢

 実際のスタメンは臼井、吉良が先発だった。(羽座、木龍はスタメン落ち) この試合なでしこには、やっぱり欧州組が必要だと言わせないためにも今のチームの若手ががんばる必要があった。

 試合は北朝鮮の先取点から始まった。あっという間に前半は終わった。ゴール前では北朝鮮が体を張って力強く戦った。結果1-3で負けた。連覇はならなかった。ゲームは決勝戦にふさわしいワールドクラスのレベルの高い良いゲームだった。日本は右サイドからの攻撃が功を奏した。その反面左サイドからの守備がことごとくピンチを招いた。日本の得点は宮間のあざやかなゴールだった。 ボールが北朝鮮ゴールライン上を超えたのは唯一このゴールだけだった。

 北朝鮮は立ち上がりの速攻による先取点の他にカウンターで長距離をドリブルしてサイドから崩すサッカーで二点追加した。堅守速攻の良い例だった。さすがアジア一の実力を持っていた。ゲームは激しい応酬の繰り返しで、汚いファールもなく、時間稼ぎもない綺麗なゲームだった。まさに決勝戦にふさわしい戦いだった。

 冒頭でも述べたがスタンドはガラガラだった気がする。アジアナンバーワンを争った好ゲームは満員の大観衆の中で行われるべきであった。

 なでしこには、欧州組が控えている。来年のW杯にはこのメンバーで生き残れる選手と欧州組とがマッチする。それが世界一のチームである。DFには、熊谷がいる。左サイドには宇津木がいるし、右には近賀がいる。CFには大儀見がいるのである。ショートパスと早いサイドチェンジでゴール前に作り出すチャンスは今回の比ではないだろう。今回のアジア大会準優勝をお祝いしたい。来年が見えた決勝戦だった。

男子の若い世代

 一方男子のU21代表は韓国U23+OAに対して1-0で惜敗している。同日NHK BSチャンネルでは過日行われたU16のアジア予選の韓国戦を放映していた。つまり、U16とU21を続けて見る機会に恵まれた。夕方からテレビにしがみついてフル代表でもない試合を観い入っている自分に家の者からは、ただ一言飽きないねえと言われている。飽きるわけがない。

 アジア大会の開催国の威信をかけた韓国はリオオリンピックを見据えていない。目一杯の年齢制限で23歳のチームにオーバーエイジをフル活用した布陣だ。つまりフル代表に近い。その反面日本は、リオオリンピックを意識した強化試合であり若い世代で望んでいた。
 ある意味、日本の方が将来を投資した形となっている。しかし、来年以降にあるリオオリンピック予選を勝たなければ意味のない大会になりかねない。両国ともツケを背負ったゲームとなった。

 私は何度も言っているが、日韓大会をもうひとつのW杯と位置づけている。その意味するところは、ゲームの良し悪しは別にして国の威信を賭けた勝負だからである。日韓戦は独特の雰囲気が漂う。完全アウェーを背景にどこまで自分たちのサッカーがやれるかが焦点だった。前号でいくつかの注意点を述べた。まず、第一に球際で負けない勇気だった。それにDFの裏に放り込まれるボールを確実にクリアすることだろう。

 私の大まかな感想はU16もU21も韓国チームと大差がないという点だ。U16チームは韓国に0-2で負け来年のWユース大会への出場権を逃している。U21もアジア大会二連覇の道を阻止されているが、結果以上の大差は感じていない。これらの世代はプロリーグの影響やW杯の影響を受けて技術的にレベルは高い。パスサッカーを基本としていて戦術もしっかり把握している。

 では何か違うのか、いつも言われていることである。韓国と日本の違いは球際の強さ、体の使い方、ゲーム全体を見る目、そして図太さである。韓国チームは自分たちの実力以上に場の雰囲気を理解している。日本チームの癖や弱点を選手全員が分かつていてすぐに取れ組むことができる。つまりしたたかであるという点だ。このしたたかさを強化する練習はない。彼ら以上に圧倒的に技術力を磨く以上にないだろう。したたかさは毎日の生活や環境から醸し出されてくる。

日韓定期戦

 アジア大会準々決勝での日本の唯一の失点は、PKであった。あの場面で、つまりペナルティエリア内での接触は日本にPKが与えられる確率が高かった。それは、レフリーのジャッジの癖から判明していた。誰もが延長に突入する直前の時間帯は注意することは分かっていた。韓国の選手が体を背に高いボールをキープするプレーに対してのファウルだった。
 この場面で日本のDFが浮き球を遠くヘッドでクリアすることは容易に出来ることではない。そんな状況なのに日本の選手は飛び込んだ。韓国選手は倒れるだけでPKは取れるのだ。

 不用意なファールだった。無価値な飛び込みだった。それがピッピっと分からないのが日本選手の若さだろうか。サッカーはフル代表での計りが強さのバロメーターだ。日韓定期戦が途絶えて久しい。どんな政治的な背景があってもサッカー日韓定期戦は続けてもらいたい。それが両国を理解する最善の手段だとおもっている。

 アジア大会開会式は仁川競技場6万人収容で始まった。大会組織委員会は半数の3万人の無料入場券を配布していたと発表した。21億円を掛けた式典を成功させるためだとしている。近年華美になりがちな開会式をもっと実利的出来ないだろうか。ここに多額の予算をかける必要性を世界で討議し合う時期に来ている。金をかけるなら選手や競技そのものにかけるべきである。当たり前のことを言っても真実味を帯びないのが残念でならない。

 最後に陸上十種競技で右代選手が最後の競技1500mで首位の選手を大きく引き離して逆転で金メダルを獲得した。キングオブアスリートの称号を持つこの過酷な競技に優勝したことはなによりも素晴らしいことだ。日本人として栄誉に思う。

(十種競技: 一日目100m、走り幅跳、砲丸投げ、走り高跳、400m、二日目110mH、
円盤投げ、棒高跳、やり投げ、1500m)