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収穫の多かったカナダ遠征 (連載第283回)

平成26年10月31日

ナイアガラの滝 カナダ側からカナダ滝を眼下に望む

※ナイアガラの滝 カナダ側からカナダ滝を眼下に望む

なでしこジャパンのカナダ遠征

 今回のカナダ遠征は収穫の多いミッションだった。まずは来年に迫っているW杯カナダ大会の現地事情を体得することだ。その第一に挙げられているのはカナダ大会は人工芝のピッチで行われることだろう。気候の悪い北国特有の現状だろうが、ほとんどが人工芝のスタジアムとなっている。日本やドイツのスタジアムのように屋根が開放されたり、ピッチが移動したりして太陽光に直に芝を当てて育成するには多額の費用が必要になる。現状はすべてのチームが人工芝を使用することに決定した以上、これに慣れる必要があった。 人工芝は天然芝に対してデメリットが大きい。

 グランドが固く選手の足腰にダメージを与える。特に膝と足首に疲労が貯まる。そしてボールが弾みやすくバウンドが読みづらい。またグランダーのキックが速く天然芝の時のようにキックするとパスが繋がらない。雨天の場合はその度合いが強調される。今回は、スタジアムの雰囲気しかり人工芝のピッチに慣れることが一番の目的であった。

 そして、忘れてはならないもうひとつは、海外組の現状把握だろう。先日の準優勝で終わったアジア大会は国内の若手中心で挑んだ大会だった。若手の実力やなでしこジャパンの戦術の理解度が試された。しかし、今回は海外組と国内ベテラン組のマッチングを図る目安となる。もちろんこのメンバーは前回のW杯、オリンピックのメンバーで戦術の理解度はすでに合格点に達している。

 結果は2試合とも強豪カナダに勝利して満足のいくゲーム展開に終始した。佐々木監督にとってはグランドと選手を見極められた収穫の大きいカナダ遠征だった。

なでしこ海外組の実力

 W杯で優勝をしたなでしこジャパンに対して全ての国が分析し対策を練ってきている。体格的に外人選手より劣る日本人の戦術はボールをつなぐパスサッカーだ。ボールはGKからビルドアップされていく。次のパスはふたりのボランチでサイドや前線に繰り出されていく。そしてゴール前に素早く走り込んでピンポイントで合わせて得点するパターンである。

 外国選手のようにボールを大きく蹴り込んでスピードで相手を抜き去るようなサッカーではない。しかし今や日本の戦術は研究し尽くされている。そんな状況でW杯を連覇するには、これまで以上に機敏なパスワークとサイド攻撃が必要でそのためには海外組のレベルアップに期待するところとなっていた。

 一般にボールの持ち方が良いという事がある。これは、常にボールをコントロールする位置にキープしていることで体が地に着いていて安定感があることである。今回の海外組を見ていて全員に安定感があった。国内組と比較してみるとその差は歴然としていた。第一戦が3-0、第二戦が3-2で勝利した。GK、ボランチからのビルドアップもスムーズだし、DFに安定感が見られた。その上、FW陣の大儀見、永里、大野、川澄の想像力あるプレーはワールドクラスと言えた。

 第二戦の終盤の鮫島の復活ゴールは劇的な締め括りとなった。このゴールはロスタイムのこり0分であったが、その1分前のカナダの同点ゴールにカナダベンチの喜びようが映し出されていた。あの歓喜はまるでアマチュアチーム並だった。そしてその1分後の鮫島の鮮やかな勝ち越しゴールに驚嘆したことだろう。カナダベンチは1分間に天国と地獄を味わったのだ。それ程になでしこチームの実力は半端でなかった。

W杯メンバーは

 佐々木監督は80%選手選考は終わっていて、残り20%数人を来春のアルガルベ杯までに決めるといった。海外組と国内のベテランを中心に数人の新人が加わってW杯メンバーは決定される。数人の新人に10名近い選手がしのぎを削る形だろう。中島、猶本らもその中にいる。国内ベテラン組の当落線上には、澤、菅澤らの大物も入る。海外組の当落線上には、岩渕や永里などがいる。

 現時点での確定組は、大儀見、川澄、大野、高瀬、宮間、阪口、近賀、川村、熊谷、岩清水、宇津木、有吉とGKの三人だろう。23人枠で残り8人枠を争う。より確実で精度の高いビルドアップサッカーを目指すなでしこジャパンに必要な23人。硬い人工芝のピッチで世界一級のプレーが出来る選手が必要なのだ。