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天皇杯決勝は今年のJを象徴する対戦 (連載第288回)

平成26年12月13日

箱根の大涌谷 魚眼レンズ使用

※箱根の大涌谷 魚眼レンズ使用

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 ゲームのイベントでのことだが岡田元監督は日本代表監督への復帰について二度とありえないと語った。これはアギーレ監督の八百長疑惑報道などで揺れている現状を見据えてのことだったのか? 私には先手を打った言葉だと思えてならない。

 来年はアジアカップの年で年明け早々オーストラリアで開催される。その上、初夏からW杯ロシア大会の一次予選も始まる。大切な一年になることはわかっている。しかし、日本代表は漂流している。日本人らしさのサッカーの完成度は低い。八百長疑惑を否定しているアギーレ監督は代表の目標をトップ15とブチまけた。私は、FIFAランク現在53位の日本が15位に登ることは信じられない快挙である。もしも日本が15位に行くならばアジアカップに優勝し、コンフェデレーションカップでも決勝戦まで行きW杯ロシア大会でベスト4に行かないと難しい。それほど困難な道のりである。

 今の代表はベテラン頼みで4-3-3システムか4-2-3-1システムか迷っている。鳴り物入りで欧州トップリーグ入りした本田、長友、香川らも低迷し続けている。その上若手も伸びていない。心配な年の瀬となっている。

 J2のプレーオフ山形が全員サッカーで千葉に勝ってJ1昇格を決めた。決して欧州リーグのような完成度の高いサッカーでないが、しっかりと自分たちのサッカーを貫いた山形に栄光がさした。敗れた千葉はかつての輝かしい歴史に負けずに挑戦者として再度チャレンジしてほしい。もちろん京都サンガも同様だ。

 来年の女子のW杯カナダ大会の組み合わせが決まった。なでしこジャパンはC組で比較的安心な組み合わせだ。スイス、カメルーン、エクアドルと一次リーグを戦う。一位抜けしたら移動の少ないバンクーバーで決勝トーナメントを戦うことができる。ラッキーな組み合わせにニンマリしている。

 Jリーグアワードが開催された。今年のMVPはG大阪35歳の遠藤だった。彼はなんと初受賞だった。いつもの飄々とした彼からは想定外の厳しい表情で年齢とは関係なしに頑張る決意が表明された。私は率直に嬉しかった。

 華やかなニュースの影に忘れられそうなゲームがあった。前節大雪で延期になっていた新潟対柏戦だ。観客数の少ない鹿島スタジアムでの再試合だった。柏が勝って4位に浮上した最終戦だった。

 来季のJ1は2シーズン制を実施する。その先には欧州リーグの冬夏制に移行するアイデアが浮上する。現在のJは春秋制の1シーズンである。冬季移行した場合のリスクは大きい。観客動員数の低下を食い止められていない状況では冬夏制は避けたいところだ。その上、ドームスタジアム建設やドイツのようにピッチの下に温熱装置を設置する投資も困難だ。雪で延期となった新潟戦を繰り返してはならない。

天皇杯決勝は今年のJを象徴する対戦

 今年の天皇杯決勝は例年と違う点が3点あった。まずは例年の元旦決戦が12月13日に前倒しになった。これは来年早々のアジアカップの日程による。第二に場所が横浜国際だ。これはご承知のとおり国立競技場の解体作業による。当面は横浜が代替会場にならざるえない。第三点目は、いつものJ1対J1の決戦ではない。J1を制したG大阪は後半の猛追で浦和を破ってJ1の覇者となった。ナビスコカップ優勝と合わせて二冠獲得している。この天皇杯で鹿島以来の三冠を狙う。今年のJ1を象徴したチームだ。試合前長谷川監督は清水時代に二度準優勝していて今回が三度目の正直だと言った。

 相手の山形はJ2を6位で終えての生き残りを賭けたプレーオフ初戦でタイムアップ寸前にGKを含めた全員攻撃で勝利した。それもコーナーキックからGK山岸がヘッドで入れるという前代未聞のゴールだった。そして先週千葉を全員サッカーで勝ち抜いてJ1への切符を勝ち取った。M山形にとっては初タイトルの掛かった天皇杯決勝だった。これまた今年のJ2を象徴するチームだ。試合前石崎監督は勇気を持って戦うと言った。

 ゲームは決勝にふさわしい展開で始まったがガンバのワンチャンスにパトリックがヘッドでずらし宇佐美が反応してファーストシュートで得点した。宇佐美とパトリックの出足が素晴らしかった。しかし、山形の攻撃は止まらない。山形攻撃の22分にガンバの堅守速攻が実を結ぶ。今度は宇佐美の頑張りにパトリックが反応して二点目を取った。今日のガンバはロングパスを多用した積極的なサッカーだった。

 守備は分厚く攻撃はシンブルなサッカーだった。それに引き換え山形はパスを多用した攻撃的サッカーで組み立てた。前半は山形に攻めさせてボールを奪ったら速攻でシュートまで行くガンバの戦術がはまった。山形は分かっていてもパトリックと宇佐美のツートップを抑えきれない。ガンバ第三の男、倉田の存在が光っていた。前半は2-0 G大阪リードで終了した。

 後半山形の攻撃は衰えていない。ガンバの速攻もパトリックへの一本のパスだが、決定機も決めきれなかつた。後半17分に山形の攻撃が実を結んで1点を返す。圧倒的に山形の攻撃が続くがガンバの守護神・東口の好セーブが続く。その後も白熱したゲームが続く。互の守護神がゲームを引き締めている。時折遠藤にボールが収まるとゲームを落ち着かそうと意識したプレーをする。しかし、すぐまた山形の迫力ある前への攻撃が再開される。山形のディエゴがなりふり構わず再三に渡って点を取りに行く。その姿勢が山形を象徴したプレースタイルだった。

 方やパトリック方やディエゴだ。後半40分宇佐美が中央から二点目を叩き込む。これで3-1とリードして磐石のままタイムアップとなった。ガンバ大阪堂々の三冠達成であった。

 勝因は宇佐美とパトリックのツートップの働きが大きい。大多数の時間は独自のパスサッカーでなく、大旦なロングパスでの単純攻撃で勝利した。前線のパトリックにボールを集めた。山形も自分たちの前へ前へのサッカースタイルは貫いた。あっぱれな戦いだった。今季の最後を飾るすばらしいゲームだった。

 次は海の向こうのクラブW杯だ。なんといってもレアルマドリードの優勝がかかっている。注目は29歳Cロナウドだけじゃない。フランス代表の26歳ベンゼマとコロンビアの貴公子23歳ハメスロドリゲスだ。毎年今年の最後に世界有数のゲームが見られる。これが本当の最後の最後の好ゲームだろう。